刑事弁護・少年付添人
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刑事弁護・少年付添人

取扱分野

取扱分野 イメージ

  • ・逮捕された場合の起訴前弁護活動
  • ・容疑をかけられて事情聴取を受けている場合、受けそうな場合の相談
    や助言、起訴前弁護活動
  • ・被害者から刑事告訴をされそうな場合の示談交渉
  • ・起訴された場合の刑事裁判における弁護活動(保釈・示談交渉等を含む)
  • ・裁判員裁判
  • ・少年事件(未成年者の刑事(非行)事件)に対する付添人活動

突然、被疑者(容疑者)として逮捕されてしまった場合、いったいこれからどうなるのか、いつ頃釈放されるのかなど、不安に思われることや分からないことが多いのではないでしょうか。
事件の内容や事件そのものに争いがあるかどうかによって、事件がどのように進んでいくのか、どのような処罰が考えられるのか、いつ頃釈放されるのかも変わってきます。
当事務所にご相談いただければ、事件に応じて的確にアドバイスするとともに、弁護人や付添人、代理人として適切かつ迅速に対応いたします。

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争いのない事件(自白事件)の場合

容疑がかけられている事件そのものに特に争いがない場合、いかに刑や処分を軽くすることができるか、どれだけ早期に釈放されるか ということが重要なポイントになります。
起訴される前であれば、早期の被害弁償や示談、その他の対応をとることによって、起訴猶 予処分となって刑罰を受けずに済んだり、略式手続で罰金を納めて早期に釈放されたりすることもあります。
起訴された後であれ ば、的確な保釈請求によって保釈を認めてもらえれば早期に釈放されることも可能ですし、被害弁償や示談、その他の十分な情状立 証を行うことにより、結果として刑を軽くしていくことができます。

争いのある事件(否認事件)の場合

争いのある事件(否認事件)の場合 イメージ 容疑がかけられている事件に争いがある場合、処分や処罰を受けないということが最優先事項になります。
起訴される前は、警察官や検察官から取調べにおいて執拗に自白を求められることが多く、虚偽自白をとられないように弁護人 が頻繁に接見して適切に対応していく必要があります。場合によってはこちらに有利な証拠を集めたり確保したりすることも必要で 、起訴直前に検察官に意見書を提出する等して、起訴されずに釈放されることを目指します。
それでも起訴されてしまったら、裁判の中で無罪を目指していくことになります。その際に重要になるのは、検察官の手持ち証拠の 中にこちらに有利な証拠がないかどうか証拠開示を求めたり、他にこちらに有利な証拠がないかを探したりすることです。日本の刑 事裁判での無罪率は非常に低いのですが、当事務所の所属弁護士が担当した事件の中にも無罪判決を勝ち取った事件は複 数あり、最初から諦めてしまう必要はありません。
また、争いの内容によっては(刑事事件では無罪だが、民事事件としては損害賠償が認められる場合など)、被害者との間で示 談することによって起訴されずに釈放されることもあり、事件によって柔軟かつ適切に対応することも重要です。

少年事件

未成年者の刑事(非行)事件である少年事件の場合、成人事件と最も大きく異なるのは、多くの場合に刑罰ではなく「保護処 分」となることもあって、事件の内容そのものより、少年の環境(本人の生活状況や就学・就労状況、ご家族の状況など)が処分に大 きく影響するという点です。
被害弁償や示談も重要ですが、本人をとりまく環境に問題があると裁判所から判断されてしまうような ケースでは、環境を調整するなどして、できる限り本人の処分を軽くし、早期に釈放されるような活動をしていきます。

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解決事例のご紹介(①罪名、②事案の概要、③弁護活動による成果)

窃盗
事例1
①窃盗及び公務執行妨害②20代の男性が、車上荒らしを行い、かつ警察官に対して暴行を働いて逮捕された事案。③逮捕後に受任。被害者と示談交渉を行い、示談が成立した。最終的に執行猶予となり実刑を免れた。
事例2
①窃盗及び傷害②10代の女性が、共犯者とともに万引きを行って追ってくる店員に対して噛みついて傷害を負わせた事案③逮捕後に受任。当初は強盗致傷の被疑事実であった。被害者と示談交渉を行い、示談を成立させ、また両親の協力のもと今後非行を犯すことのないよう生活環境の調整を行い、結果として保護観察処分となった。
事例3
①窃盗及び犯罪による収益の移転防止に関する法律違反②30代の男性が、共犯者ととともに3名のインターネット預金から合計1000万円を超える預金を引出し、また他人名義のキャッシュカードを購入した事案。③逮捕後に受任。示談交渉を行い、被害者3名全てとの間で合計200万円で示談交渉を成立させた。母が情状証人として出廷し今後は徹底して指導監督する旨証言し、最終的に執行猶予となり実刑を免れた
事例4
①窃盗及び道路交通法違反、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律違反②20代の男性が、共犯者とともにバールで自動販売機をこじ開けて現金を盗み、さらに無免許でバイクを運転し、物損事故を起こした事案③起訴後に受任。第一回公判期日後に保釈の申請を行い、保釈が認められた。また、共犯者の弁護人と連絡をとりつつ、自販機会社及び交通事故の被害者と示談を成立させ、判決では執行猶予となった。
事例5
①窃盗②30代の男性がバイクを盗んだとして逮捕された事案。本人は放置されていたものと思っており、遺失物横領にとどまると主張していた。執行猶予中であり、起訴されれば実刑になる可能性が高い状態であった。③逮捕後に受任。接見により取調べの対応について助言しつつ、被害者と示談交渉を行い、示談が成立した。最終的に窃盗罪より軽い遺失物横領罪で略式起訴され罰金で終了した。
事例6
①窃盗②60代の女性が、店舗で、商品を万引きした事件③逮捕後に受任。被害店舗と示談交渉を行い、商品代金相当額を支払うなどして示談成立、夫を身元引受人として、不起訴処分となった。
事例7
①住居侵入・窃盗②深夜に窃盗目的で居宅に忍び込んだとして、窃盗未遂(下着泥棒)及び住居侵入罪で逮捕された事案。本人は窃盗目的での住居侵入ではなかったと主張していた。③下着の撮影目的での住居侵入であって窃盗罪には当たらないこと、勾留延長をする必要がないことを検察官に主張したところ、勾留延長されることなく住居侵入罪のみで起訴された。また、起訴後速やかに保釈請求を行い、請求が認められ身体拘束から解放された。公判では情状弁護の結果、執行猶予付判決がなされた。
事例8
①住居侵入・窃盗②30代男性がギャンブル欲を抑えきれず、他人の住居に侵入し金銭を盗んだとして逮捕・勾留された事案③母親が情状証人として男性を監督することを裁判で誓約するとともに、被害者との示談交渉の経緯に関する報告書を証拠として提出した結果、執行猶予付判決がなされた。
事例9
①窃盗②30代の男性が、夜道を歩いている女性を狙って、背後から自動車で近づいてひったくりをしたという事件。③起訴前の被疑者段階で受任。自動車を利用したひったくり事案であって強盗罪での起訴の可能性があり、また余罪もあったことから、特にそれらの点に関して接見して取調べ状況を確認しつつ対応を助言した。また、起訴前に被害者と示談折衝し、示談が成立したこともあり、強盗罪ではなく窃盗罪での起訴となった上で、執行猶予判決を受けた。
事例10
①窃盗②30代の摂食障害(拒食や過食)の女性が、コンビニエンスストアにおいて食料品を万引きしたという事件。過去にも同様の万引きを繰り返し、2年前に罰金前科がある。③起訴後の被告人段階で受任。摂食障害が原因であることが疑われたため、摂食障害に関する資料等を証拠として提出するとともに、摂食障害となった経緯や治療経緯、前科前歴との関係などを詳細に被告人質問するとともに、将来の通院治療を約束させた結果、執行猶予判決を受けた。
事例11
①窃盗②30代の男性が、夜道を歩いている女性を狙って、背後から自動車で近づいてひったくりをしたという事件。③起訴前の被疑者段階で受任。自動車を利用したひったくり事案であって強盗罪での起訴の可能性があり、また余罪もあったことから、特にそれらの点に関して接見して取調べ状況を確認しつつ対応を助言した。また、起訴前に被害者と示談折衝し、示談が成立したこともあり、強盗罪ではなく窃盗罪での起訴となった上で、執行猶予判決を受けた。
事例12
①窃盗②30代の摂食障害(拒食や過食)の女性が、コンビニエンスストアにおいて食料品を万引きしたという事件。過去にも同様の万引きを繰り返し、2年前に罰金前科がある。③起訴後の被告人段階で受任。摂食障害が原因であることが疑われたため、摂食障害に関する資料等を証拠として提出するとともに、摂食障害となった経緯や治療経緯、前科前歴との関係などを詳細に被告人質問するとともに、将来の通院治療を約束させた結果、執行猶予判決を受けた。
事例13
①窃盗②年金等で生活する高齢者がスーパーにおいて万引きをした事案。なお、万引きを複数回繰り返しており、執行猶予中の再犯であった。③被疑者段階から受任。被疑者段階では謝罪文を書いてもらって反省を深めてもらうとともに、家族と連絡を取って生活状況の問題点を把握した。被告人段階では、親族複数人の情状証人尋問を行ったところ、再度、執行猶予付きの判決を得ることができた。
事例14
①住居侵入、窃盗②50代男性が、複数の場所で、ベランダに干してあった女性の下着を複数枚、窃取した事件③逮捕後に受任。起訴後、妻を身元引受人として、保証金150万円等の条件で保釈の請求が認められた。その後、被害者との間で示談が成立したほか、妻が情状証人となり、執行猶予付の懲役判決となった。
事例15
①窃盗 ②60代の女性が、店舗で、商品を万引きした事件 ③逮捕後に受任。被害店舗と示談交渉を行い、商品代金相当額を支払うなどして示談成立、夫を身元引受人として、不起訴処分となった。
事例16
①住居侵入、窃盗 ②50代男性が、複数の場所で、ベランダに干してあった女性の下着を複数枚、窃取した事件 ③逮捕後に受任。起訴後、妻を身元引受人として、保証金150万円等の条件で保釈の請求が認められた。その後、被害者との間で示談が成立したほか、妻が情状証人となり、執行猶予付の懲役判決となった。
事例17
①窃盗及び公務執行妨害 ②20代の男性が、車上荒らしを行い、かつ警察官に対して暴行を働いて逮捕された事案。 ③逮捕後に受任。起訴後に被害者や被害品の質入れ先の質屋と示談交渉を行い、示談が成立した。最終的に執行猶予となり実刑を免れた。
事例18
①窃盗及び傷害 ②10代の女性が、共犯者とともに万引きを行って追ってくる店員に対して噛みついて傷害を負わせた事案 ③逮捕後に受任。当初は強盗致傷の被疑事実であった。被害者と示談交渉を行い、示談を成立させ、また両親の協力のもと今後非行を犯すことのないよう生活環境の調整を行い、結果として保護観察処分となった。
事例19
①窃盗及び犯罪による収益の移転防止に関する法律違反 ②30代の男性が、共犯者ととともに3名のインターネット預金から合計1000万円を超える預金を引出し、また他人名義のキャッシュカードを購入した事案。 ③逮捕後に受任。示談交渉を行い、被害者3名全てとの間で合計200万円で示談交渉を成立させた。母が情状証人として出廷し今後は徹底して指導監督する旨証言し、最終的に執行猶予となり実刑を免れた。
事例20
①窃盗及び道路交通法違反、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律違反 ②20代の男性が、共犯者とともにバールで自動販売機をこじ開けて現金を盗み、さらに無免許でバイクを運転し、物損事故を起こした事案 ③起訴後に受任。第一回公判期日後に保釈の申請を行い、保釈が認められた。また、自販機会社及び交通事故の被害者と示談を成立させ、判決では執行猶予となった。
詐欺・恐喝
事例1
①詐欺②会社代表者が行っていた商取引において、商品売買代金を受け取りながら、商品の引渡しも代金の返金もしなかったケースで、詐欺罪に問われた事件。③起訴されるまで任意の事情聴取しか行われず、逮捕・勾留されないまま起訴され、起訴された後に受任。本人の言い分としては、商品の仕入れ元との売買契約と販売先との売買契約の交渉を同時並行で進め、先に販売先との売買契約がまとまり、先に売買代金を受領していたところ、仕入れ元との交渉がうまくいかずに商品仕入れができなくなり、このトラブルが原因で他の取引もストップしてしまい、売買代金を返金する資力もなくなってしまったが、お金を騙し取るつもりなどなかったというものだった。かなり複雑な取引であり、仕入れ元と販売先の担当者の供述に虚偽が含まれている点もあったため、公判前整理手続や証拠開示手続を活用して、弁護側に有利な証拠資料を見つけ出し、公判では無罪を争い、証人尋問や被告人質問が行われた結果、無罪判決となり、第1審で確定した。
事例2
①詐欺②20代男性が、他の共犯者と一緒に、いわゆるオレオレ詐欺の架け子として被害者複数から金銭を騙し取ったとして逮捕。勾留された事案③逮捕・勾留段階では、接見等禁止決定がなされていたものの、男性の両親との接見等については証拠隠滅のおそれ等がないことを理由に接見等禁止の一部解除を申請した結果、一部解除決定がなされ両親と男性との接見が可能となった。裁判では、男性に有利な情状を具体的に主張・立証し、検察官の懲役4年の求刑に対し、判決では懲役2年6月まで減軽することができた。
事例3
①詐欺②20代男性が、受給資格がないにもかかわらず訓練・生活支援給付金30万円を不正受給した事案③婚約者の協力の下、被害弁償を行うとともに、検察官に意見を上申し、その結果、不起訴処分となった。
事例4
①恐喝未遂②40代の男性が、高額の金銭を支払わせる旨の念書を書かせたことを理由に逮捕勾留された事件。③逮捕後に受任。本人は許認可が必要な事業者であり、執行猶予付きでも禁錮以上の刑に処せられると許認可を取り消され、施設利用者が介護保険を使えなくなってしまうという問題があった。恐喝未遂の刑罰としては懲役刑しか存在しないため、恐喝未遂での起訴を避ける必要があった。本人によれば、念書を書かせたのは杜撰な工事をされたためであって、不当な金銭要求をするつもりはなかったとのことであった。そこで、杜撰な工事の内容について図面及び写真を収集し、その修補にかかる費用について見積りを取る等して、検察官に報告し、許認可の関係からも恐喝未遂での起訴をすべきではないとの意見書を提出した。その結果、検察官は暴行罪を理由とする罰金刑のみで処分を下した。
強制わいせつ・強姦等
事例1
①逮捕監禁強盗強姦②20代の男性数名が、深夜、通行中の女性を車に引き込んで、山中まで連れていき、強盗強姦をした事件③逮捕後に弁護士2名で受任。他の被疑者の弁護人らと協議し、当事務所所属の弁護士2名が代表して、弁護活動を行った結果、被害者との間で、示談金を支払う等を内容とする示談が成立し、告訴取り下げをしてもらい、起訴猶予処分で終了した。
事例2
①強制わいせつ②20代の男性が、深夜、通行中の女性の胸を触って逃げたという事件③逮捕後に受任。速やかに被害者と示談交渉を行い、示談金を支払うなどして示談成立と告訴取下をしてもらい、不起訴処分となった。なお、逮捕後の勾留請求が却下されたため、身体拘束が長期になることはなかった。
事例3
①強制わいせつ、強制わいせつ致傷②20代の男性が、夜道で女性の体を触る強制わいせつ2件と、強制わいせつの際に怪我もさせてしまった強制わいせつ致傷2件を理由に起訴された事件(裁判員裁判)。③逮捕後に受任。2件の被害者に対しては被害弁償をし、本人が性犯罪を繰り返さないように家族と話し合ってカウンセラーを探し、本人には性犯罪を繰り返さないためのワークブックに取り組んでもらった。このような結果を裁判所と裁判員に説明した結果、検察官は5年の懲役刑を求めたが、懲役3年にとどめることができた。
事例4
①強制わいせつ致傷②30代の男性が、30代の女性を、路上で、下着の中に手を入れ臀部を触るなどのわいせつな行為をし、その際、加療4日間を要する手首打撲の傷害を負わせたという強制わいせつ致傷事件③逮捕後に複数の弁護士で受任。被害者との間で示談金の分割払いの和解が成立し、被害者は告訴を取り下げたほか、勤務先が身元引受人となり、処分保留釈放となった。
事例5
①強制わいせつ致傷 ②30代の男性が、30代の女性を、路上で、下着の中に手を入れ臀部を触るなどのわいせつな行為をし、その際、加療4日間を要する手首打撲の傷害を負わせたという強制わいせつ致傷事件 ③逮捕後に複数の弁護士で受任。被害者との間で示談金の分割払いの和解が成立し、被害者は告訴を取り下げたほか、勤務先が身元引受人となり、処分保留釈放となった。
事例6
①強制わいせつ ②40代の男性が、電車内で、連日にわたり、同一の女性に対し、下着の中に手を入れて、尻を触ったという事件 ③逮捕後に受任。被害者と示談交渉を行い、慰謝料を支払うとともに、具体的な再犯防止策を誓約するなどして示談成立と告訴取下をしてもらい、不起訴処分となった。
事例7
①準強姦致傷、準強姦等 ②元交際相手の熟睡中に姦淫した準強姦罪と、後日、同じ元交際相手に催眠鎮静作用のある薬を飲ませて眠らせている間に姦淫し、その薬理作用で全治約3週間の傷害を負わせた準強姦致傷罪等について疑われた事案。 ③逮捕後に受任。準強姦罪については合意があったか、合意があったと誤信していたため無罪である等と主張した。一方、一部の犯罪について有罪になることは間違いないため、性犯罪者の再犯防止のためのワークブックに取り組んでもらう等して反省と更生を促した。判決では全て有罪となってしまったが、検察官の求刑は懲役13年であったのに対し、9年の懲役(未決勾留日数180日参入)にとどめることができた。
児童福祉法違反・売春防止法違反
事例1
①児童福祉法違反 ②30代の男性で、デリバリーヘルスの運転手が、店長らと共謀して、18歳未満の女性に性交類似行為をさせたとして、児童福祉法違反で逮捕された事件。 ③逮捕後に受任。被疑者には18歳未満の認識がないこと(年齢確認義務がないこと)、店長との共謀がないこと等を主張し、処分保留釈放で終了した。
事例2
①売春防止法違反、児童福祉法違反 ②30代の男性が、出張型デリバリーヘルスを経営し、18才に満たない児童を、売春の周旋をするとともに、淫行をさせる行為をしたという事案 ③逮捕後に受任。起訴後、妻を身元引受人として、保証金180万円等の条件で保釈の請求が認められた。妻を情状証人とするなどして、執行猶予付きの懲役判決及び罰金となった。
事例3
①児童福祉法違反 ②30代の男性で、デリバリーヘルスの運転手が、店長らと共謀して、18歳未満の女性に性交類似行為をさせたとして、児童福祉法違反で逮捕された事件。 ③逮捕後に受任。被疑者には18歳未満の認識がないこと(年齢確認義務がないこと)、店長との共謀がないこと等を主張し、処分保留釈放で終了した。
事例4
①売春防止法違反、児童福祉法違反 ②30代の男性が、出張型デリバリーヘルスを経営し、18才に満たない児童を、売春の周旋をするとともに、淫行をさせる行為をしたという事案 ③逮捕後に受任。起訴後、妻を身元引受人として、保証金180万円等の条件で保釈の請求が認められた。妻を情状証人とするなどして、執行猶予付きの懲役判決及び罰金となった。
福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮・痴漢)
事例1
①福岡県迷惑防止条例違反(スカート内盗撮) ②30代の男性が、女性のスカートの中を盗撮したとして任意で取調べを受けていた事案。 ③逮捕される前に受任。検察官と折衝の上被害者の連絡先を聞き、被害者及び被害者関係者と折衝を行った結果、示談が成立し、逮捕されることなく不起訴で終了した。
事例2
①福岡県迷惑行為防止条例違反 ②電車内で痴漢を行った事案。 ③逮捕はされずに任意で取り調べをされていた被疑者段階から受任。検察官に被害者側の連絡先を教えてもらい、連絡を取って示談をしてもらって、検察官に報告した結果、不起訴となった。
事例3
①迷惑防止条例違反 ②40代の男性が、電車の中で30代の女性に対して、衣服の上から尻を触り続けた事案。 ③任意での取調べ段階で受任。被害者と面談の上、刑事処分を求めない形での示談を成立させ、不起訴となった。
事例4
①迷惑行為等防止条例違反 ②電車に乗車している女性に着衣の上から股間を押し当てたと疑われた事案。本人は仕事の関係で睡眠時間が確保できていなかった為、ふらついていたかもしれないが、女性に股間を押し当てるようなことはしていないと主張していた。 ③逮捕後に受任。取調べでは意に沿わない自白をしてしまわないように接見をし、勾留に対する準抗告をして被疑者側の意見を検察官に伝えるとともに、今後の見通しについて検察官に電話をする等していたところ、10日の勾留後に処分保留で釈放された。
暴行・傷害等
事例1
①傷害致死②60代の男性が、自宅において、精神疾患で暴れていた20代の子どもの首を取り押さえている際にネクタイで首がしまり、低酸素性脳症により亡くなった事件。ネクタイを首でしめたのが故意だったのか、正当防衛が成立するかが争点となった。③逮捕された後に受任。医師に対する事情聴取や救急記録の詳細な検討、鑑定医に対する尋問を経て、判決ではネクタイを首で絞めたのは故意とは認定できないとされ、正当防衛が成立し無罪となった。
事例2
①傷害②20代の男性2人が、繁華街で被害者に暴行を加え、鼻骨骨折等全治約2ヶ月の傷害を負わせた事件。うち、1名は執行猶予中であった。③逮捕される前に受任。弁護活動により示談が成立し、両名とも逮捕されることなく不起訴で終了した。
事例3
①傷害②40代の男性が、知人男性と口論となり、刃物で鎖骨部を刺して傷害を負わせた事件。③起訴前の被疑者段階で受任。刃物を使った傷害事件であり、殺人未遂での起訴もありうる事件であるため、頻繁に接見して取調べ状況を確認しつつ対応を助言した。また、初期段階から被害者へのお見舞いや謝罪を繰り返し、公判継続中に分割払いでの示談が成立し、執行猶予判決を受けた。
事例4
①傷害②男子高校生が、他校の生徒と喧嘩をして怪我を負わせたことを理由に逮捕された事件。③逮捕後に受任。本人と会って事情を聴いてその家族とも会い、本人がこのまま勾留されると高校を退学しなければならないかもしれないことや、勾留をしなくても家族が本人を捜査に協力させること等を誓っていることを書類や面接で裁判所に説明した。その結果、逮捕後の勾留は認められず、本人は3日で警察署から出ることができた。また、示談を成立させ、日記をつけてもらうなどして少年が生活態度を見直した結果を家庭裁判所に報告した結果、保護観察処分にとどめることができた。
事例5
①生命身体加害略取、監禁、殺人未遂②被害者に制裁を加えようと考え、2人の共犯者と共謀の上、被害者を車に乗せて場所を移動し、移動先で共犯者の1人が殺意をもって被害者の右胸部にクロスボウで矢を数発撃ち込んで全治3か月を要する傷害を負わせたにとどまった事案。③被疑者段階から受任。頻繁に接見して事実関係を具体的に聴取し、被疑者には殺意がなかったことや関与の程度も低かったことを意見書にまとめて検察官に提出したところ、意見が認められ、生命身体加害略取、監禁、傷害幇助被告事件として起訴された。起訴後は被害者に被害弁償をする等の活動を行い、執行猶予付きの判決を得ることができた。
事例6
①傷害②20代の男性が、酒席の場でのやりとりで被害者の態度に立腹し、被害者の顔面を手拳で殴打し、怪我を負わせたという事件。③起訴後の被告人段階で受任。裁判時にも被害者の治療が終わっておらず、後遺症も残ることが予想される事案であったが、被害弁償金として200万円を支払い、後遺症についても別途支払い義務を負い、被告人の妻も連帯保証して裁判終了後も協議していくという内容で示談を成立させた結果、執行猶予の判決を受けた。
事例7
①傷害 ②20代の男性が、繁華街の道路で喧嘩をはじめ、2人に対して怪我を負わせた事案。 ③起訴前に受任。被害者2名とそれぞれ面談を行い、謝罪の上慰謝料を支払い、刑事処分を求めない形での示談を成立させた。その結果、不起訴処分となった。
事例8
①傷害 ②20代の男性が、エレベーターの中で口論となり、激昂して男性を殴りつけ、被害者に外傷性くも膜下出血、頭蓋骨骨折等の怪我を負わせた事案。 ③起訴前に受任。被害者の被害感情が強く、当初は示談を拒否されるも、起訴後に示談に応じてもらい、刑事処分を求めない形での示談を成立させた。その結果、傷害結果は非常に重いものであったが、判決では執行猶予となった。
事例9
①傷害(逮捕罪名は殺人未遂) ②50代の女性が、内縁の夫に対し、口論の末に折り畳みナイフで左胸を1回突き刺し、傷害を負わせた事案。 ③逮捕段階で受任し、当初の逮捕罪名は殺人未遂罪であった。本人は当初から殺意を否認していたため、頻回に接見を行い、殺意を認める自白調書を取られないよう取調べに対する対応について助言するとともに、検察官に対し、当初は脅す目的でナイフを刺し向けたに過ぎないという事情や、左胸ではなく左肩付近を狙ったところ結果的に左胸部に刺さってしまったという犯行態様、被害の結果の程度等の状況から、殺意は認められず、傷害罪にとどまる旨の意見書を提出した。その結果、殺人未遂罪ではなく、傷害罪で起訴された。
公判では、本人の反省の弁や親族による監督が可能であることなど、有利な情状に関する証拠を提出し、執行猶予付き判決がなされた。
交通事犯
事例1
①道路交通法違反(無免許運転)②30代の男性が無免許運転を数回繰り返し、逮捕された事案。③起訴後に受任。証拠隠滅や逃亡のおそれがないとして保釈を求めたところ、保釈が認められた。また、母が情状証人として出廷し今後は絶対に車を運転させない旨証言し、判決では執行猶予となった。
事例2
①道路交通法違反(無免許運転・酒気帯び運転)②50代の男性が、無免許運転と酒気帯び運転を行い、逮捕された事案。③逮捕後に受任。起訴後直ちに保釈の申請を行い、証拠隠滅や逃亡の恐れがないとして保釈が認められた。また、仕事の取引先の方が情状証人として出廷し、今後は絶対に車を運転させない旨証言し、判決では執行猶予となった。
事例3
①自動車運転過失致死②交差点右折時に横断歩道を歩行中の被害者を自動車でひき死亡させた事案③被害者の遺族に対し謝罪の機会を与えてほしいと申し入れるとともに、保険会社と連携し示談交渉の状況を確認するなど、有利な情状に関する証拠を収集して公判に提出し、執行猶予付判決がなされた。
事例4
①道路交通法違反(無免許運転)②約半年前に無免許運転で罰金刑を受けていた中、再度、無免許運転を行い、逮捕・勾留された事案。過去にはシートベルト装着義務違反等、交通違反が多数あった。③同居人の母に情状証人として二度と交通違反を犯さないよう監督することを誓約してもらうとともに、実刑判決がなされた場合の子の養育の問題等、具体的な事情を公判に提出し、執行猶予付判決がなされた。
事例5
①道路交通法違反(酒気帯び運転)②開業医の男性が、酒気帯び運転で逮捕勾留された事件。③逮捕後に受任。本人から事情を聴いてその家族とも会い、本人がこのまま勾留されると大勢の患者が治療を受けることができなくなってしまうことや、勾留をしなくても家族が本人を捜査に協力させること等を誓っていることを説明する書類を裁判所に提出した。その結果、裁判所が準抗告を認め、勾留請求を却下した。また、公判でも執行猶予判決を得ることができた。
事例6
①道路交通法違反(無免許運転) ②30代の無免許運転での罰金前科のある男性が再度無免許運転を行い、逮捕された事案。 ③起訴後に受任。証拠隠滅や逃亡のおそれがないとして保釈を求めたところ、保釈が認められた。また、母が情状証人として出廷し今後は絶対に車を運転させない旨証言し、車も処分させ、判決では執行猶予となった。
事例7
①道路交通法違反(無免許運転・酒気帯び運転) ②50代の男性が、無免許運転と酒気帯び運転を行い、逮捕された事案。 ③逮捕後に受任。起訴後直ちに保釈の申請を行い、証拠隠滅や逃亡の恐れがないとして保釈が認められた。また、仕事の取引先の方が情状証人として出廷し、今後は絶対に車を運転させない旨証言し、判決では執行猶予となった。
事例8
①道路交通法違反(酒気帯び運転)、過失運転致傷 ②60代の男性が、酒気を帯びた上で車を運転した上、交通事故を起こして被害者に怪我を負わせた事案。 ③起訴後に受任。被害者との間で示談を成立させ、また車を廃車し、運転そのものをしないことで再犯のおそれがないことを訴えた。その上で、同居の妻に今後は断酒させ、監督していくことを誓約してもらった。その結果、判決では執行猶予となった。
薬物事犯
事例1
①大麻取締法違反②40代男性の自宅から大麻の燃えカスが見つかり、本人はその後任意で事情聴取を受けていたが、約2か月が経過した頃に逮捕勾留された。③任意で本人が事情聴取を受けていた段階から相談を受けた。本人によれば、自らは大麻を所有していないし、自宅は事務所を兼ねていて複数人が出入りするので、他の者が所持していたものと思われるとのことであった。本人には、警察の捜査には協力して事情を具体的に説明するように助言した。逮捕勾留後は、意に反した自白をしないように助言し、書類を検察庁と裁判所に提出して、上記の事情に加えて、尿検査からも大麻成分は検出されておらず、証拠が薄弱であることを主張した。最終的に、被疑者は10日ほどで警察署から出ることができ、不起訴に終わった。
事例2
①大麻取締法違反、覚せい剤取締法違反②20代の男性が、自宅に、大麻約0.5グラムを所持し、覚せい剤も使用していた事件③逮捕後に受任。起訴後、保証金合計150万円等の条件で保釈の請求が認められた。また、家族を身元引受人とし、執行猶予付の懲役判決となった。
事例3
①大麻取締法違反、覚せい剤取締法違反 ②20代の男性が、自宅に、大麻約0.5グラムを所持し、覚せい剤も使用していた事件 ③逮捕後に受任。起訴後、保証金合計150万円等の条件で保釈の請求が認められた。また、家族を身元引受人とし、執行猶予付の懲役判決となった。
事例4
①覚せい剤取締法違反事件 ②30代の男性が夜間車内で寝ていたところ警察官から職務質問を受け、車内から覚せい剤が発見され、逮捕された事件。 ③乗っていた車は男性が知人から一時的に借りていた自動車であり、本人は覚せい剤が車内に隠されていたことを知らなかったと主張していた。意に反した自白をしないように接見を繰り返して助言するとともに、尿から覚せい剤反応が出なかったことや、隠されていた覚せい剤に気付かないまま自動車を借用していた可能性が十分にあることを検察官に伝えた結果、不起訴処分となった。
金商法
事例1
①金融商品取引法違反事件②インターネットを利用した証券取引を行っていた20代の男性が、知人の行った「見せ玉」による金融商品取引法違反行為の共犯であると疑われた事件。③証券取引等監視委員会による捜査段階から受任。事情聴取の前後で打ち合わせを行い、取調べの状況や捜査状況を確認しつつ、対応を助言した。逮捕されることなく送検され、検察官の取調べに対する対応助言も行っていたが、突如別件の詐欺罪で逮捕された。別件取調べ目的の違法な逮捕・勾留であると裁判官に説明・説得した結果、勾留請求は認められず、最終的には別件の詐欺罪のみで在宅起訴され、執行猶予判決となり、金融商品取引法違反による多額の追徴金を免れた。
その他
事例1
①器物損壊②20代の男性が、酒に酔って、複数台のタクシーを壊した事件③逮捕後に受任。タクシー会社の示談交渉を行い、休業損害を支払うなどして示談成立と告訴取下をしてもらい、不起訴処分となった。
事例2
①住居侵入②元交際関係にあった女性宅に合鍵を利用して出入りしていたところ、女性から住居侵入で被害届が提出され逮捕・勾留された事案③被害女性との間で、今後、方法を問わず二度と連絡をとらないことを約束する内容で、示談金を支払うことなく示談が成立した。その上で検察官に意見を上申し、不起訴処分がなされた。
事例3
①威力業務妨害②30代の男性が、コインパーキングの料金を支払わずに複数回繰り返し車輪止めを乗り越えて出庫したとして、逮捕された事案。③証拠隠滅や逃亡のおそれがないとして釈放を求めたところ、裁判官の勾留延長決定に対する準抗告が認められ、検察官の勾留延長請求が却下された。そのため、10日間の勾留延長がされることなく早期釈放された。また、処分も罰金で終了した。
事例4
①建造物損壊②30代男性が公共建造物を拳で殴打し損壊し、逮捕・勾留された事案③即座に建造物の管理者と連絡をとり被害弁償を行った。また、両親とも連絡をとり、両親に身元引受人になってもらった。その上で検察官に意見を上申し、不起訴処分がなされた。
事例5
①現住建造物等放火②50代の男性が、飲酒酩酊した状態で借家の大家と口論となり、自宅借家に灯油を撒いて火をつけたという事件。③放火の前の言動や態度に異常な点があったことから、飲酒酩酊により心神耗弱の状態にあったと主張し、関係者の証人尋問等を行って減刑を求めた。判決では心神耗弱は認められなかったものの、放火後に自ら消化活動に携わったことや放火の原因となった飲酒を止めることを誓ったことが評価され、酌量減刑されて懲役4年の刑となった。
事例6
①現住建造物放火 ②70代の男性が、将来を悲観して焼身自殺を図り、自宅に火をつけて全焼させた事案。 ③裁判員裁判となったが、周りに迷惑をかけるくらいなら死にたいと考える高齢者特有の不安、被告人の年齢、健康状態、反省状況などを訴え、執行猶予と保護観察付の判決となった。
事例7
①脅迫及び銃砲刀剣類所持等取締法違反 ②50代の男性が、些細なことで不満を爆発させ包丁を持ち出し、店の店員を脅した事案。 ③起訴後に受任。被害者に対して慰謝料を支払い、刑事処分を求めない形での示談を成立させ、また社会復帰後の雇用を確保するために一旦解雇された勤務先から再雇用保証書を取得し、証拠として提出した。情状証人については、男性に同居の家族がいなかったことから、別居の姉と同僚の2名を申請し、監督していくことを誓約してもらった。その結果、判決では執行猶予となった。
事例8
①殺人未遂(裁判員裁判) ②50代の男性が、妻と共謀して、親子心中を計画した上、自宅で、自分の子(20代)の背中を、ナイフで刺すなどして、殺そうとしたが全治2週間の傷害を負わせたにとどまり、死亡させるに至らなかった事件 ③起訴後に受任。自首の成立を主張が認められるなどして、執行猶予付の懲役判決となった。
少年事件
事例1
①無免許危険運転致傷、窃盗②少年がバイクを盗み、赤信号を無視して交差点に侵入して衝突し、怪我を負わせた事件。少年は以前に保護観察処分を受けたことがあった。③被疑者段階から受任。被疑者段階や少年鑑別所にいる時の少年が反省していく様子を細目に裁判所に報告した。両親を介して示談を成立させるとともに、社会復帰後の継続雇用を職場に約束してもらった上で、当該職場関係者の嘆願書を取得する等したところ、試験観察を経て、保護観察処分にしてもらうことができた。
事例2
①傷害、恐喝未遂、窃盗②高校生の少年が、他の少年と一緒に、現金を脅し取ろうとして、被害者2名に対し暴行を加え傷害を負わせ、逮捕された事案。余罪として、他の少年と一緒に自転車を盗んだ窃盗の非行事実もあった。なお、少年には過去に窃盗の前歴が2件あった。③逮捕段階で受任し、当初の逮捕罪名は強盗致傷罪であったが、取調べに対する対応について助言した結果、家庭裁判所送致段階では恐喝未遂及び傷害に罪名を落とすことができた。少年の両親の協力の下、被害者との間で示談するとともに、少年は共犯者である複数の先輩に強く犯行を促されたためにやむを得ず犯行に及んだという事情があったため、審判では共犯者との関係性や犯行に及んだ経緯などの具体的事情を主張した。その結果、家庭裁判所調査官は試験観察が相当であるとの意見が提出されていたものの、審判では保護観察処分がなされた。
事例3
①窃盗②無職の少年が、他の少年と一緒に、原動機付自転車を複数盗んだ事案。③家庭裁判所送致後に受任。少年は深夜徘徊や喫煙等の補導歴を多数有していたものの、観護措置の期間を通じて、非行事実の重大性を認識して真摯に反省したこと、父親の協力の下、就職先を確保するなど、少年の環境を整えたことにより、保護観察処分がなされた。
事例4
①福岡県迷惑行為防止条例違反(痴漢)②高校生の少年が、列車内で女性の太ももを触った事案。③逮捕段階で受任し、勾留がなされずに在宅で捜査が進み、両親とともに非行の原因を深く考えて反省したこと、少年を取り巻く環境に特段問題がないこと等を主張した結果、観護措置をとられることなく保護観察処分となった。
事例5
①窃盗②無職の少女が、交際相手と一緒に、洋服やマンガ等複数の万引きを行った事案。③逮捕段階で受任し、被害弁償を行うとともに、今後は一人暮らしをやめて親と一緒に生活するよう誓約させるなど、少女の環境を整えた結果、保護観察処分がなされた。
事例6
①強制わいせつ②高校生の少年が、被害女性に対し後方から抱きつき、被害女性の胸を揉んだ事案。③被害女性との間で示談するとともに、過去にも同種前科があったため精神科を受診させ、行動制御力の向上を目的として精神科への継続的通院や、少年の周囲の環境を整えた結果、保護観察処分がなされた。

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刑事弁護の弁護士費用の具体例について専門法律相談について詳しくはこちら

以下の具体例は、事案簡明な事件の一例であり、個別具体的な刑事事件の弁護士費用については、担当弁護士と依頼者との間の合意により決定いたします(以下に記載する金額はすべて消費税込です。また、別途交通費などの実費が発生します)。

(1)起訴前弁護
ア. 商品(時価3000円相当)を万引きしたという事実で、窃盗罪で逮捕され(自白事件・前科なし)、起訴前に弁護士を依頼し、被害者(被害店舗)とあまりもめることなく被害弁償・示談が成立し、不起訴処分となり釈放された場合
  →着手金21万6000円、報酬金21万6000円
イ. 成年女性に対し、衣服の上からその太ももを触れたという事実で、福岡県迷惑行為防止条例違反で逮捕され(自白事件・前科なし)、起訴前に弁護士を依頼し、被害者と複数回の交渉を重ねてようやく被害弁償・示談が成立し、略式罰金処分となり釈放され正式裁判にはならなかった場合
  →着手金32万4000円、報酬金32万4000円
(2)起訴後弁護
ア. 成人女性に対する強制わいせつ罪で逮捕され(自白事件・前科なし)、起訴後に弁護士を依頼し、被害者との間で複数回の交渉を重ねてようやく被害弁償・示談が成立し、第1回公判期日で情状証人の証人尋問を経て結審し、第2回公判期日(判決期日)で刑の執行猶予となった場合
  →着手金43万2000円、報酬金32万4000円
イ. 覚せい剤を使用したという事実で、覚せい剤取締法違反で逮捕され(自白事件・前科なし)、起訴された後、弁護士を依頼し、第1回公判期日で情状証人の証人尋問を経て結審し、第2回公判期日(判決)で刑の執行猶予となった場合
  →着手金32万4000円、報酬金21万6000円
(3)起訴前弁護及び起訴後弁護
ア. 被害者に対し全治1か月の怪我を負わせたという事実で、傷害罪で逮捕され(自白事件・前科なし)、起訴前に弁護士を依頼し、被害弁償示談が成立せず、起訴された。起訴された後、被害弁償・示談が成立し、第1回公判期日で情状証人の証人尋問を経て結審し、第2回公判期日(判決期日)で刑の執行猶予となった場合
  →着手金32万4000円、起訴後追加着手金10万8000円、報酬金32万4000円
イ. 酒気帯び運転及び自動車運転過失致死で逮捕され(自白事件・前科なし)、起訴前に弁護士を依頼し、様々な弁護活動を行い、第1回公判期日、第2回公判期日を経て、第3回公判期日(判決期日)で刑の執行猶予となった場合
 →着手金32万4000円、起訴後追加着手金16万2000円、報酬金43万2000円

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刑事弁護・少年付添人のQ&A

刑事事件について
Q1 被疑者と被告人の違いは何ですか?
被疑者とは,犯罪の嫌疑を受け,捜査機関による捜査の対象とされており,未だ公訴を提起されていない者をいいます。被告人とは,公訴を提起され,その裁判が確定していない者をいいます。
Q2 黙秘権とは何ですか?
自己にとって不利益かどうかを問わずに、刑事事件の捜査段階において自己の意思に反して供述をすることを強要されない権利(刑訴法198条2項)、自己にとって不利益かどうかを問わずに、刑事訴訟において、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる権利(刑訴法第291条3項,同311条1項)をいいます。このように,黙秘権は,被疑者・被告人に認められている権利で,捜査機関が暴力的脅迫的な手段によって虚偽の自白を得てきた歴史を踏まえて憲法上認められたものといえます(憲法38条1項)。また,たとえその被疑者・被告人が本当に罪を犯した犯人であったとしても、自分が有罪になるような供述をしなければならないという義務を法律で負わせることは、人間の人格を尊重する観点から許されないという考えが基礎になっています。
被疑者段階の任意の取り調べについて
Q1 被疑者として任意で取調べをしたいので警察署まで出頭するようにと捜査機関から求められましたが、どのように対応したらよいですか?
任意の取調べについては、法的には応じる義務はありません。しかし、任意の取調べに応じないという態度が捜査に協力しないと評価され、犯罪の嫌疑との関係で逮捕に至るおそれもあります。他方、任意の取調べに応じる場合には、取調室という密室において、長時間にわたる場合もあるため、精神的負担は相当なものになり、かつ、不本意な供述調書を作成されないように注意をする必要があります。なお、逮捕の可能性が高い場合には、あえて任意の取調べに応じておくことで、勾留(身体拘束)の必要性がないことを主張できる場合もありますので、この段階で、弁護士に相談することをおすすめします。
Q2 任意の取調べのために警察署に出頭した後、自分の都合で警察署から退去することはできますか?
任意の取調べの場合、いつでも退去することができることになっています。しかし、事実上、捜査機関による任意の取調べが続き、警察署から退去することが容易でない場合もあります。そこで、予め取調べの時間を決めておいたり、再度の取調べに応じることを誓約したりすることで、警察署から退去することが容易になる場合もあります。また、この段階で弁護士に依頼していれば、弁護士による抗議や警察署まで出迎えること等の方法で、任意の取り調べを打ち切ることができます。
Q3 任意の取調べにおいて、警察官から、机を叩かれたり、大声で怒鳴られたりして威圧的な対応をされました。今後もこのようなことがなされないか不安です。どのように対応したらよいですか?
弁護士から警察署・担当検事宛に抗議文を内容証明郵便などの方法で送付して抗議することが可能です。自白の任意性にも関わる問題ですので、弁護士に相談することをおすすめします。
逮捕・勾留手続について
Q1 逮捕とは何ですか?
逮捕とは,被疑者の身体を拘束して一定の場所に引致し,一定期間留置することをいいます。人を逮捕するには,その者が特定の犯罪を犯したとの嫌疑の存在と,その者の逮捕の必要性がなければなりません(刑訴法199条2項)。なお,司法警察員(いわゆる警察官)が逮捕した場合,48時間以内に検察官に送致するか釈放をしなければならず,検察官は被疑者を受け取ったときには,24時間以内に勾留の請求をするか釈放をしなければならないとされています(刑訴法203条1項,205条1項)。
Q2 逮捕手続にはどのようなものがありますか?
  • ①通常(令状)逮捕(刑事訴訟法199条)、
  • ②緊急逮捕(同法210条)、
  • ③現行犯逮捕(刑事訴訟法212条1項、なお2項で準現行犯逮捕を規定)
の3種類があり、これ以外の逮捕は認められていません。なお、逮捕は、あくまでも捜査手続の一環にすぎません。嫌疑がなければ逮捕はできませんが、逮捕された人が常に犯罪者と決まったわけではないことを申し添えさせていただきます。
Q3 逮捕に不服があるのですが、対抗する手段はないのですか?
ありません。逮捕は最大72時間(刑事訴訟法205条2項。この間に勾留するかどうかを判断する)と比較的短期の身体拘束であることから、これに対して異議を申し立てる手続は規定されていません。したがいまして、逮捕に異議のある場合は、逮捕から概ね2~3日以内に行われる勾留に関して行うことになります。
Q4 現行犯逮捕における「現行犯」というのは、どういう場合をいうのですか?また、現行犯逮捕の特徴は何ですか?
現に犯罪行為を行っている者、または行い終わった直後の者を言います。ただし「行い終わった直後」といえる範囲を考慮するにあたっては、
  • ①犯罪行為が行われた時間との近さ
  • ②犯罪行為が行われた場所との距離
を総合的に考慮することになります。 例えば、事件が起きて110番通報が行われ、数分後に警察官が駆けつけたところ、現場に呆然と立ちつくしていた犯人がいたという場合は、「行い終わった直後」といえるでしょう。さらに、下記の場合も、犯罪行為を行い終わって間がないと判断される場合には、現行犯に準じて扱われます(準現行犯)。
  • ① 犯人として追いかけられているとき
  • ② 盗まれた品物や、明らかに犯罪に用いられた兇器等を所持している場合
  • ③ 身体や服に、犯罪のはっきりとした痕跡が残っている場合
  • ④ 何をしているのかと尋ねられた途端、逃走したとき
こうした、現行犯・準現行犯の特徴としては、まず、令状なくして逮捕することができることが挙げられます。また、警察官でなくても、誰でも現行犯逮捕が可能です。ただし警察官以外が逮捕する場合は、直ちに警察官にその身柄を引き渡さなくてはなりません(刑事訴訟法214条)。
Q5 緊急逮捕という言葉を新聞やTVでよく目にするのですが、通常逮捕と何が違うのですか?
緊急逮捕の最大の特徴は、緊急の場合に、逮捕の時点では令状のないまま逮捕できることです。ただし、逮捕後に、逮捕状の発布を求めることが必要です。加えて、
  • ①重大な犯罪(死刑、無期、長期3年以上の刑の犯罪)でなくてはならないことと、
  • ②罪を犯したことを疑うに足りる「十分な理由」(通常逮捕の場合は「相当な理由」で足りる)が存在すること、
  • ③緊急に逮捕することを要すること、がすべて必要である点も、通常逮捕と異なる、緊急逮捕の特徴といえます。
Q6 被疑者の勾留とはどのような制度ですか?
被疑者の身柄の確保と罪証隠滅の防止を目的として,警察署の留置場または拘置所に一定期間身体を拘束することをいいます。勾留の要件は被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で,次の各号の1にあたるときとされています。
  • ①被害者が定まった住居を有しないとき
  • ②被疑者が罪障を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
  • ③被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
ただし,30万円以下の罰金(刑法,暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の対以外の罪については,当分の間,2万円以下の罰金),拘留又は科料に当たる罪については,被疑者が定まった住居を有しない場合に限られています。検察官は被疑者を勾留した場合,勾留の請求の日から10日以内に公訴を提起しない場合には,直ちに被疑者を釈放しなければなりません。ただし、やむを得ない事由があるときは、検察官は裁判官に勾留の期間の延長を請求することが出来ます。やむを得ない事由とは,捜査未了のため,勾留期間内に起訴・不起訴あるいは起訴するにしても公判請求をすべきか決めることができず,かつ,このまま釈放することは罪証隠滅又は逃亡のおそれがあるため適当ではないという状況をいいます。一般的には延長期間の合計が10日を越えてはならないとされています(刑訴法208条2項)。
Q7 夫が逮捕されたのですが、今度は勾留されたと聞きました。しかし、夫は会社勤めで、今は病気と言って休んでいますが、これ以上長く休むと会社を解雇されるかもしれません。釈放してもらう方法はありませんか?
一般論として、勾留に対する対処方法を以下のとおり述べます。なお、勾留は、検察官が請求し、裁判所が可否を判断します。勾留をするためには、
  • ①犯罪の嫌疑と
  • ②身体拘束の必要性が必要ですから、
勾留に対する対処方法としては、この二つのいずれかが欠けているかを考えるのがポイントです。また、逮捕が違法な態様で行われていたなど、逮捕の違法性も、勾留の可否の判断に影響を及ぼします。
  • ① まず、勾留請求をしないように検察官にお願いする。既に示談が成立していたり、被害者の処罰感情が強くないことが明白な場合は、そのことを、書面などで示して、勾留の必要性がないことを訴えかける。
  • ② 勾留決定をしないように、担当裁判官にお願いする。ここまでで、そもそも勾留請求ないし勾留決定自体がされないことがあります。
  • ③ 勾留決定されてしまった場合、勾留決定に対する準抗告を行う(刑事訴訟法429条1項2号)。
  • ④ 勾留取消・執行停止を求める(刑事訴訟法87条、91条、95条)。
    ※ただし、これらの方法は、病気や尊属の葬儀など、きわめて例外的な場合にしか認められていないのが実情です。
  • ⑤ 公判請求後(起訴後)は、保釈(刑事訴訟法88条)を求めることも考えられます。
  • ⑥ 略式手続の場合や、不起訴や処分保留の場合も、釈放されます。
なお、以上はあくまでも一般論であり、身柄解放が認められるかは事案ごとの個別の事情に応じて異なります。
Q8 起訴後に保釈された被告人が有罪判決を受けた場合はどうなりますか?
禁錮以上の刑に処する判決の宣告があったときは,保釈は効力を失います(刑訴法343条)。これは,有罪の実刑判決の宣告があることによって,被告人の無罪の推定が破れるからです。その結果,被告人は刑事施設(拘置所)に収容されます(刑訴法98条1項)。ただし,有罪判決であっても執行猶予がついていれば,収容されません。
起訴までの流れについて
Q1 逮捕・勾留された被疑者は、その後どういう扱いを受けるのですか?
勾留期間内(10日までが原則、さらに10日まで延長可能(刑事訴訟法208条1項・2項、ただし内乱罪などのごく一部の犯罪についてはさらに5日の延長が可能。刑事訴訟法208条の2)に、検察官としての終局処分を決定します。つまり、裁判にかける(起訴)か、かけない(不起訴)かが決定されることになります。起訴される場合でも、刑事裁判には、事件の性質や内容に応じていくつかの種類があります(正式裁判、即決裁判、略式手続)。
Q2 起訴か不起訴を決めるのは誰ですか?
原則として検察官だけです(刑事訴訟法247条、起訴独占主義)。犯罪被害者等が特定の事件について、告訴を行うなど裁判がなされることを希望しても、検察官が起訴しないことが適当と判断すれば、不起訴となることがあります(刑事訴訟法248条、起訴便宜主義)。ただし、以下の例外があります。
  • ① 検察官の不起訴判断に不服がある場合、検察審査会が、申立てまたは職権により、検察官の判断に対する審査を求めることができ(検察審査会法2条2項、30条)、場合によっては、起訴議決(同法41条の6、41条の9以下)により、強制的に起訴となる場合があります。
  • ② 公務員の職権濫用等の罪(刑法193条ないし196条)については、告訴人の請求がある場合、裁判所が決定によって事件を審判に付し、起訴したのと同様の効果を生じさせることが認められています(刑事訴訟法262条1項以下、付審判請求)。
Q3 起訴された場合の裁判の種類について、教えてください。
  • ① まず、正式裁判があります。これは通常の裁判手続です。
  • ② 次に、即決裁判とは、平成18年に創設された新たな裁判制度で、公訴を提起しようとする事件(死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる事件を除く)について、事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれることその他の事情を考慮し、相当と認めるときに、被疑者の同意を条件として、簡略化された手続で行われる裁判です(刑事訴訟法第350条の2)。 その特徴は以下のとおりです。
    ・ 伝聞法則が適用されない(つまり調書の証拠能力が高まり、簡略な処理が期待される。同法350条の12)
    ・ 判決は原則として公判当日に下される(同法350条の13)
    ・ 起訴されてから公判まで原則として2週間以内とすることが求められる(同法350条の7参照)
    ・ 懲役・禁固刑を言い渡す場合は、執行猶予の言渡しをしなければならない(同法350条の14)
  • ③ 略式手続とは、公判を開かず書面審理によって一定範囲の財産刑を課す、簡易な裁判手続です。検察官が、簡易裁判所の管轄に属する事件で、50万円以下の罰金または過料に処するのが相当と考えたときに、被疑者に異議がなければ、公訴提起と同時に略式命令(罰金刑または過料)を請求できるものです(同法461条以下)。
起訴後の流れについて
Q1 起訴された後は、どのように手続が進むのでしょうか?
正式に起訴されると、裁判所での裁判の手続が進んでいくことになります。
まず、起訴前に弁護人がついていなかった場合には、裁判所から被告人に対して弁護人を付けるつもりがあるかどうか確認の連絡があります。被告人の方でお金を払って弁護士(私選弁護人)に依頼するわけではなければ、裁判所の方で国選弁護人を選任するのが通例であり、国選弁護人で進めるのか、私選弁護人を依頼するつもりがあるのかの確認がなされるわけです。
弁護人が決まれば、弁護人とも日程調整をして、第1回の公判期日(裁判期日)が決まります。
第1回公判期日の時期は、裁判所やケースによって異なりますが、起訴から1ヶ月半から2ヵ月半くらいの時期に指定されることが多いです。
自白事件であり、特に余罪もないケースであれば、審理は1回の期日で終了し、次の期日(1週間~1ヶ月後くらいが多い)で判決となることが多いですが、第1回の期日の審理後にそのまま判決が言い渡されることもありますし(即日判決)、事情によっては期日が2~3回開かれることもあります。
争いのある事件(否認事件など)では、複数回の期日が開かれていくことになり、場合によっては公判前整理手続という争点整理等のための期日が開かれることもあり、裁判にかかる期間はケースによって様々です。
Q2 起訴された後、裁判に向けてどのような準備をしていく必要があるのでしょうか。
裁判に向けた準備の内容は、自白事件と否認事件とで大きく変わっていきます。
自白事件の場合、弁護人と被告人とで接見や打ち合わせをしながら、検察官が証拠提出を予定している証拠の開示を受けて問題がないか検討したり、被害者がいる事案であれば被害弁償を進めたり、家族や勤務先の方などと打ち合わせをして情状証人に立ってもらう準備をしたりします。
否認事件の場合、検察官が証拠提出を予定している証拠の開示を受けた上で、さらに検討が必要な証拠の開示を受けたり、事実関係の調査や資料集めをしたりして、どのように争っていくのか、どういう証拠を弁護人側から提出していくのか検討していきます。もちろん、弁護人による検討も重要ですが、被告人やその周囲の人しか知らない事実も多いですから、被告人や関係者とも接見・打ち合わせをしながら準備を進めていくことになります。
そして、証人尋問や被告人質問に向けた接見や打ち合わせも重要です。
Q3 否認事件での裁判手続(公判手続)はどのように進むのですか?
否認事件といっても、事実関係を争うのか、法的評価を争うのか、証拠の収集方法の問題を争うのか、何が争点となるのかによっても公判の流れは大きく違いますし、どのような証拠があるのかによっても公判の流れは大きく異なります。そこで、事実関係を争う事件を例にとって、大まかな公判の流れを説明することにします。
まず、公判での最初の手続として「冒頭手続」と呼ばれる手続きがありますが、その中で「罪状認否」と呼ばれる手続きがあり、起訴されている事件について、争うのか・争わないのか、争うとすればどのような点を争うのかを被告人及び弁護人において明らかにします。 その上で、事案によっては検察官による冒頭陳述(検察官が立証しようとする事件の内容その他の事情を説明するもの)に引き続いて、弁護人も冒頭陳述を行い、被告人・弁護人が考える事件のストーリーや無罪である理由などを述べることもあります。
その後、証拠調べ手続きに入っていきますが、まずは検察官側から提出したいと考えている証拠についての証拠請求がなされます。この検察官の請求した証拠について、弁護人から「同意」や「不同意」というような意見を述べることになり、この意見によってどの範囲の証拠が取り調べられるのかに大きな影響を与えるため、特に否認事件ではこの証拠意見をどうするかが非常に重要になります。 さらに、それに引き続いて、必要に応じて検察官側から証人尋問の請求がなされ、裁判所が必要性を判断した上で、検察官側の証人尋問が行われます。 証人尋問は、検察官の主尋問の後に、弁護人が反対尋問を行うという形で交互に行われ、反対尋問で証人の証言の信用性を弾劾できるかどうか、被告人に有利な証言を引き出せるかどうかが重要なポイントとなります。
その後は、弁護人側から証拠や証人尋問の請求をしていくことになります。その前提として、被告人に有利な証拠を見つけ出したり、証人と十分に打ち合わせをしたりすることが重要になっていきます。 事件や争点によっては、専門家による鑑定などが実施されることもあります。
Q4 公判前整理手続とはどのような手続なのですか?
 公判前整理手続とは、起訴された後、公判が始まる前に、争点等を整理するための手続です。
裁判員裁判制度が始まるのを機に作られた制度・手続であり、裁判員裁判の場合には必ず行われますし、それ以外の事案でも否認事件等で争点が複雑な事案で行われることがあります。
具体的には、裁判官・検察官・弁護人とで協議する形で進められ、被告人も出席することができますが、非公開であり、家族も被害者も傍聴することはできません。
この手続の中では、まずは立証責任を負う検察官の方で、公判で証明を予定している事実関係をまとめた書面(証明予定事実記載書面)と証拠調べ請求書を提出し、あわせて弁護人に対して請求予定の証拠が開示されます。
弁護人は、それらの書面や証拠を検討し、被告人とも打ち合わせをしつつ、不明部分の釈明を求めたり、他の関係する証拠の開示を求めたりして、弁護側の主張を固めていき、弁護側で予定している主張をまとめた書面(予定主張記載書面)や証拠意見書、弁護側の証拠調べ請求書を提出していきます。 特に、検察官の手持ち証拠をいかに開示させ、検討していくかが重要であり、この公判前整理手続のやりとりで、裁判の勝敗のかなりの部分が決まってしまうといっても過言ではないかもしれません。
Q5 執行猶予とはどのような制度ですか?
一定期間以下の懲役等の言渡しをするとき,情状により,裁判確定日から1年以上5年以下の期間,刑の執行を猶予する制度です(刑法25条)。これにより,例えば懲役刑に執行猶予が付いている場合には,裁判が確定しても,被告人は直ちに刑務所に入れられてしまうということにはなりません。刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したときは,刑の言渡しは効力を失います(刑法27条)。一方,裁判で言い渡された執行猶予の期間内に被告人が再び罪を犯したりすると,再度の執行猶予が付かない限り,執行猶予が取り消され,新たに科された刑も含め決められたとおりの刑を執行されることになります。
保釈について
Q1 逮捕・勾留されていた被疑者が正式に起訴された場合、その後の身体拘束はどのようになりますか?
被疑者段階で逮捕・勾留されていた被告人は、保釈等が認められない限り、身体拘束が継続します。保釈等が認められない場合には、裁判の準備や社会復帰などに支障が生じ得ますので、速やかに保釈の請求を検討することが重要です。
Q2 保釈とはどのような制度ですか?
保釈は、起訴された後に勾留されている被告人について、住居の限定や保釈保証金の納付等を条件として釈放をする制度です。
重大犯罪の場合や常習性がある犯罪の場合、罪証隠滅のおそれがある場合や、住居不定の場合等には、保釈の請求をしても、許可されることは少ないのが現状です。
他方、重大犯罪ではない場合で、初犯で執行猶予が見込まれるような場合には、保釈が許可されることが少なくありません。
Q3 保釈の具体的な手続きを教えてください。
保釈を請求した後、裁判官は、検察官に対して保釈についての意見を求めることになります。
検察官の意見を踏まえて、裁判官は、被告人の保釈を認めるか否かを判断します。
裁判官が保釈の許可(又は不許可)の判断に要する期間は、早ければ1日ですが、2~3日を要する場合もあります。
保釈の許可又は不許可の決定については、裁判所から弁護人及び被告人に対して連絡があります。保釈が許可された場合には、同時に、保釈保証金の額の連絡もありますので、保釈保証金を裁判所に納付します。
その後、検察官が、留置所又は拘置所に、被告人の釈放の指揮をした後、被告人の身柄が解放されます。
Q4 保釈金は返ってくるのですか?また保釈中に制約はありますか?
保釈保証金は、保釈の条件を守らなかったり、裁判に出頭しなかったりして保釈が取り消され、保釈金が没取(没収)されることがなければ、裁判が終わった後に全額返還されます。
保釈中の制約としては、保釈決定の際に裁判所の方で、住居の限定、宿泊を伴う旅行の制限、被害者への接触(連絡)禁止などの条件が定められることが多く、条件が定められれば、これを守る必要があります。
Q5 否認事件の場合、保釈は認められないのですか?
事件の内容を争っている事件、いわゆる否認事件の場合でも、保釈は認められないわけではありません。
ただ、否認事件の場合は、自白事件よりも罪証隠滅(証拠隠し)の可能性が高いという理由で、保釈が認められにくいというのも事実です。
しかし、保釈するかどうかを判断する場合の「罪証隠滅のおそれ」の判断は、抽象的な可能性では足りず、罪証隠滅の現実的・具体的な可能性があるか、罪証隠滅行為に出た際の実効性があるかどうかということが具体的に検討されなければなりません。
そこで、すでにどのような証拠を捜査機関が確保しているのか、被害者や関係者への働きかけが現実的に可能かどうかなどの観点を踏まえて弁護人が保釈請求書を作成することにより、保釈の可能性を高めることができます。
また、裁判の進行具合によっても、罪証隠滅の現実的・具体的な可能性や実効性も変わってきますので、どうすれば保釈が認められやすくなるかということを念頭におきつつ裁判を進めていくことで、全面的な否認事件でもできるだけ早く保釈を勝ち取ることができます。
Q6 保釈金はいくらくらいかかるのですか?相場はあるのですか?
保釈保証金(保釈金)の金額は、事件の内容や被告人の供述内容、被告人の資力などを考慮して裁判官が決定します。
執行猶予が見込まれる自白事件で、被告人や家族にそれほどの資力があるわけではないという場合であれば、100~250万円くらいの金額になることが多いですが、ケースバイケースであり、もっと高額になる場合も少なくないですし、100万円を切る場合も稀にあります。
Q7 保釈金を準備することができない場合は保釈を諦めるしかないのですか?
平成25年から、全国弁護士協同組合連合会(全弁協)において「保釈保証書発行事業」という制度が始まりました。
全弁協というのは、全国の弁護士が任意に加入している協同組合であり、裁判所が認めれば、保釈保証金の代わりに、この全弁協が発行してくれる保釈保証書を裁判所に提出することで、保釈が認められます。
保釈保証書を発行してもらうには、被告人の家族等が申請人となって全弁協に申請した後、全弁協の審査をクリアする必要がありますし、保釈金額の2%の保証料(戻ってきません)と10%の自己負担金(問題がなければ事件終了後に戻ってきます)を負担する必要がありますが、保釈金額の12%程度のお金の準備ができるようであれば、保釈が認められる可能性が出てくる制度となっています。
但し、仮に保釈が取り消され、保釈金の没収がされる場合には、全弁協が契約している保険会社から、家族等の申請人に対して求償請求を受けることになります。
Q8 保釈を請求する時期は制限がありますか?
保釈の請求については、起訴後であれば、その回数に法律上の制限はありませんが、タイミングを考えて行う必要があります。
例えば、執行猶予が見込まれる事案においては、起訴後に速やかに保釈請求をして、被告人の身柄を釈放させることができる場合があります。
しかし、重大事件や否認事件の場合には、起訴後直ちに保釈請求をしても許可されることは稀です。
もっとも、第一回公判後や公判が進行した後であれば、起訴状に対する被告人の意見と検察官請求証拠に対する被告人及び弁護人の意見等が明らかになり、被告人による罪証隠滅のおそれが低下した等とされて、保釈が許可されることがあります。
Q9 保釈はどのような場合に取り消されますか?
刑事訴訟法96条各号に定める事由に該当する場合に、検察官の請求又は職権で保釈を取り消すことができるとされています。例えば、被告人が召喚を受けたのに正当な理由なく出頭しないとき、証拠を隠滅したとき、裁判所の定めた条件に違反したときなどです。また、保釈を取り消す場合には、保証金の全部または一部を没取することができるとされています。
控訴審について
Q1 一審では有罪の実刑判決を受けました。判決内容に不満があり、更に争いたいのですが、どうしたらよいのでしょうか?
一審の判決に不服がある場合には、判決宣告の翌日から2週間以内に高等裁判所宛の控訴申立書を一審の裁判所に提出しなければなりません。
その後、裁判所が定める期限までに控訴趣意書という書面を提出する必要があります。
Q2 一審では有罪の実刑判決を受けました。判決内容に不満があり、更に争いたいのですが、控訴審ではまたはじめから審理することになるのですか?
控訴審では、一審のようにあらためて一から審理を行うのではなく、一審の判決の当否を審理するものであり、基本的に、一審で取り調べられた証拠を基に認定した事実関係に誤りがないか、一審判決の量刑が不当なものでないか、一審の訴訟手続に法令違反がないか等を審理する手続きです。そのため、一審で取り調べられていない証拠を新たに請求する場合には一定の成約があります。
Q3 私は一審では事実関係を争い無罪を主張していましたが、有罪判決を受けました。控訴審であらためて無罪を主張したいのですが、どうすればよいでしょうか?
まず、一審判決がどのような証拠をどのように評価して事実を認定したのか、判決文を詳細に検討する必要があります。そのうえで一審判決の事実認定が誤っていることを主張するとともに、一審で取り調べられていない有利な証拠がある場合には控訴審で証拠請求(事実取調請求といいます。)を行い、無罪を主張することになります。
Q4 私は一審で事実関係を認めていたものの、執行猶予が付かずに実刑判決を受けました。控訴審で争いたいのですが、どうすればよいでしょうか?
一審判決の量刑に不服がある場合、一審判決の量刑が不当であることを主張することになります。また、一審判決後の事情も加味されることがあるので、被害弁償が未了である事件の場合には、示談交渉等の弁護活動が重要となります。
Q5 私は一審の期間中、保釈により一時的に身体拘束を解かれていましたが、一審判決で実刑判決を受け収容されました。控訴して一審の判決を争うと同時に再度保釈の請求をしたいのですが、どうすればよいでしょうか?
一審で保釈中の被告人に実刑判決の言渡しがなされた場合、保釈の効力は失効し直ちに収容されてしまいます。再度、保釈の請求を行うことは可能ですが、一審で実刑判決の言渡しがなされている以上、一審での保釈請求のときと比較して請求が認められにくく、仮に保釈が認められたとしても追加の保証金の納付を求められることが多いです。
当番弁護士について
Q1 家族や知人が警察に逮捕されたので,すぐにでも弁護士に面会にいってほしいのですが,どうしたらいいですか?
知り合いに弁護士がいない場合でも、「当番弁護士を頼みたい」と最寄りの都道府県の弁護士会に連絡すれば、弁護士がすみやかにその人に面会(接見といいます)にいってくれます(1回目の面会は無料)。当番弁護士は24時間以内,遅くとも48時間以内に被疑者に接見することとされています。当番弁護士は、警察官の立会なしに逮捕された人と面接し、その人の言い分を聞いたり、その人の権利やこれからの手続きなどについて説明してくれ ますし、家族との連絡もとってくれます。また,被疑者国選弁護人制度もあります。
被疑者国選弁護人制度,刑事被疑者弁護援助制度について
Q1 弁護人を頼みたいのですがお金がありません。依頼する方法はないでしょうか?
被疑者国選対象事件は「死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件」(刑訴法37の2第1項)です。例えば,窃盗(10年以下の懲役),詐欺(10年以下の懲役),傷害(15年以下の懲役),自動車運転過失致死傷(7年以下の懲役若しくは禁錮)などがこれに該当します。一方,被疑者国選対象事件以外の事件の場合でも,刑事被疑者弁護援助制度があります(刑事訴訟法上は私選の一種です)。この制度は,被疑者が弁護人の選任を望み,また,その必要性が認められる場合で,被疑者もしくはその家族に資力がないときに,日本司法支援センター(法テラス)に申し込めば,法テラスが援助費用(実費,着手金等)を 弁護士に直接支払う制度です(弁護士会が法テラスに委託している事業であり、お金は実質的には弁護士会から出ています)。いずれの制度も費用については後日負担を求められることがあります(弁護士会によって運用状況は違います)。
Q2 国選弁護人と私選弁護人との間で違いはありますか?
国選弁護人と私選弁護人との間で、刑事手続の関係で行うべき仕事の内容に違いはありません。
但し、国選弁護人は裁判所が選ぶので、あなたが弁護士を誰にするか選ぶことはできません。他方、私選弁護人はあなた自身が選びますので、経験や専門分野等を考慮して弁護人を誰にするか選ぶことができます。
また、私選弁護人であれば、接見の頻度や刑事手続以外の対応等についても事前に取り決めておくことも可能です。
Q3 国選弁護人又は私選弁護人に付いてもらうことができる時期や事件に違いはありますか?
国選弁護人は、裁判の段階であればどのような事件にも付いてもらうことができるのが通常ですが、裁判が始まる前については、①「勾留」という手続で身体を拘束されている間に限り、②「死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件」についてしか付いてもらうことができません。
そのため、任意に取り調べが行われている間や、「勾留」に先立つ「逮捕」段階ですぐに弁護活動を必要とする場合、軽微な犯罪等について捜査段階から対応するためには私選弁護人を依頼する必要性があります。
なお、現在、裁判が始まる前においても、「勾留」という手続で身体を拘束されている全事件について国選弁護人を付けることができるように法律を改正することが審議されていますが、いずれにしても、任意に取り調べが行われている間や、「勾留」に先立つ「逮捕」段階では国選弁護人に付いてもらうことができません。
Q4 国選弁護人には費用はかからないのでしょうか?
裁判所が刑を言い渡す場合、被告人に「訴訟費用」の全部又は一部を負担させなければならないことになっています。
この「訴訟費用」には国選弁護人の報酬等も含まれていますので、国選弁護人であれば費用がかからないという訳ではありません。
もっとも、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかな場合にはこの「訴訟費用」の負担は免除されることとなっています。
面会について
Q1 家族や知人が警察に逮捕されたら,面会することはできますか?
逮捕された後,勾留がなされるまでの間は面会することはできません(ただし,衣服の差し入れは可能です)。被疑者が勾留されたあとは,裁判官から弁護人以外との面会を禁止される接見禁止の処分がなされていなければ面会することができます(刑訴法80条,81条)が,職員の立ち会いがつく等の制約があります(刑事収容施設および被収容者等の処遇に関する法律116条1項)。
Q2 家族が勾留され面会しようと思いましたが、接見禁止を理由に面会することができませんでした。接見禁止とは何ですか?
接見禁止とは、裁判所が、弁護人以外の者との接見を許すことによって勾留された被疑者に逃亡や証拠を隠滅するおそれがあると判断した場合に、弁護人以外の者との面会を禁止し、または、書類等の差入れを禁止する処分のことをいいます。
Q3 接見禁止処分がなされている場合には手紙や日用品の差入れもできないのですか?
接見禁止処分がなされている場合には、衣類や日用品の差入れを行うことは可能ですが、弁護人以外の者との手紙の授受も原則として禁止され行うことができません。
Q4 接見禁止処分がなされているのですが、一日も早く面会して話をしたいと思っています。何か方法はないのですか?
接見禁止処分は弁護人以外との外部との接触を断たれるため、逮捕された方にとっては精神的苦痛を強いられるだけでなく自営業を営んでいるような場合には必要な引継ぎ等を行うことができず、従業員や家族にとっても大きな影響を及ぼす可能性があります。 そこで、弁護人としては、接見禁止処分に対する不服申立て(準抗告、抗告)を行ったり、少なくとも配偶者・両親等の近親者に限って面会を認める旨の接見禁止処分の一部解除の申立てを行ったりすることで、一刻も早く面会交流を実現することを目指します。
示談について
Q1 私は窃盗事件の加害者ですが、今回の件については魔が差したものであり、大いに反省するところです。そこで、被害者の方に、被害の弁償をしたいと考えていますが、もし弁償ができた場合、刑事手続においてどのような影響があるのでしょうか?
まだ起訴されるか不起訴になるかが未定の段階においては、示談が成立することにより、不起訴(起訴猶予)処分になる確率が高まります。ただし、起訴・不起訴の判断は、被疑者の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の情況を総合的に判断して決められるもので、示談の成立は情状の一事情にすぎないと考えてください。ただ、示談しないよりすることが望ましいのは、いうまでもありません。もし起訴された後であれば、示談書や示談金を支払ったときの領収書を公判で証拠として提出し、情状として扱ってもらうことが考えられます。
Q2 私は、被害者に加療10日間の打撲傷を負わせた傷害事件の加害者ですが、被害者には本当に申し訳なく思っており、治療費や慰謝料をきちんとお支払いしたいと考えていて、示談の申入れをしています。しかし、被害者からは、1000万円払えなどと、過大な要求をされています。それでもこれを払わなければいけないものでしょうか?これを払わず示談が成立しなければ、私の罪は重いままになるのでしょうか?
被害者の方に対して誠心誠意、できるかぎりのことをする態度は、示談を成立させる上では絶対不可欠な態度です。しかしながら、過大な要求や不当な要求にまで応じることまでは求められていません。このような場合でも、誠心誠意交渉する態度が大切です。そこでは、出来る限りのことはするべきですが、しかし、世間の相場を大きく超える額での示談まではできない、という態度を明らかにしておくべきであると考えます。もしそれで示談が成立しなければ、被害者との交渉過程を、起訴前であれば担当検察官に、起訴後でも公判廷で書面ないし口頭で説明すれば、良い情状として取り扱ってもらえる可能性があります。
告訴について
Q1 親告罪とはなんですか?
親告罪とは告訴がないと起訴ができない犯罪のことです。例えば、強制わいせつ罪(刑法176条)や強姦罪(刑法177条)などが親告罪とされています(刑法180条)。本来、被疑者を起訴するか否かについては、検察官に裁量がありますが、性犯罪など一定の犯罪については、被害者の処罰感情等を考慮し、告訴がないと親告罪では起訴できないとされています。
Q2 夫が強姦罪で起訴されました。起訴後でも、被害者に告訴を取り消してもらうことができますか?
起訴後には、告訴を取り消すことができません。なぜなら、告訴の取消しは、被疑者が起訴されるまでという時間的な制限があるからです(刑事訴訟法237条1項)。起訴後は、刑事裁判において、被害者の被害感情が高くないことを有利な情状として主張するしかありません。したがって、弁護活動としては、被疑者段階での示談及び告訴取消しを実現することが極めて重要です。
Q3 夫が強姦致傷事件で逮捕されました。起訴されるまでの間に、被害者に告訴を取り消してもらえば、夫は起訴されないのでしょうか?
法律上、強姦致傷罪は親告罪ではないため、被害者が告訴を取り消しても、検察官が起訴する場合はあり得ます。 もっとも、検察官としては、被害者の処罰感情等を考慮して、起訴するか否かを決めるため、告訴の取消しがある場合とない場合を比較すると、告訴の取消しがある場合の方が起訴する可能性は低くなります。したがって、弁護活動において告訴の取消しを実現することは重要であることに変わりはありません。
Q4 私は、器物損壊事件の被害者なのですが、警察から、「あなたの告訴がないと事件として扱えません。どうしますか」と聞かれました。私は加害者を許せませんから裁判にかけてもらって然るべき処分を下してもらいたいと思っているのですが、このような場合、告訴をする必要があるのでしょうか?
器物損壊罪や強姦罪、強制わいせつ罪や名誉毀損罪といった、いわゆる「親告罪」については、告訴がなければ裁判にかけることができません(刑事訴訟法338条4号)。ですから、加害者を裁判にかけてもらいたい場合は、告訴をする必要があります。
Q5 私は、強姦事件の被害者の父親ですが、私が娘に代わって告訴をすることは可能でしょうか。告訴する権限はどの範囲の人に認められるのでしょうか?
被害者本人(刑事訴訟法230条)は当然告訴できます。また、法定代理人(=被害者が未成年の場合、ご両親は法定代理人ですから、告訴する権限があります)も告訴できます(同法231条1項)。他方、被害者死亡時には被害者の配偶者・直系親族又は兄弟姉妹は独立して告訴できます(同法231条2項本文)。もっとも、これらの人は、被害者の明示した意思に反して告訴することはできません(同項但書)。本件の場合、注意すべきは、被害者が未成年の場合は父親に告訴する権限がありますが、被害者が成年である場合は、父親には告訴権がないことになります。
Q6 私は強姦事件の被害者ですが、加害者側の代理人弁護士との間で、一定金額を支払ってもらう内容で、加害者と示談が成立したため、告訴を取り下げました。しかし、加害者は、約束通り示談金を払ってきません。許せないので、もう一度告訴しようと思うのですが、可能ですか?
告訴は、一度取下げると、再度行うことができません(刑事訴訟法237条2項)。告訴の取下げは、示談金の振込を確認したあとにするなど、慎重に行うのが望ましいと考えます。
裁判員裁判について
Q1 裁判員裁判の対象となる事件は、どんな事件ですか?
法定刑が死刑・無期懲役もしくは無期禁錮に当たる罪に係る事件、及び、法定刑が短期1年以上の自由刑にあたるもので、強盗等の一部の事件を除外した事件のうち、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件が対象となります(裁判員法2条1項2号)。
Q2 裁判員として選任される手続はどうなっているのですか?
まず、毎年11月 ころに、翌年裁判員候補となりうる人に対して、裁判員候補者名簿記載通知と調査票が送られます。この通知が送られた人の中から、抽選で、担当する事件の公判予定日の原則として約6週間前まで に、裁判員候補者となる人に対して、呼出状・質問票が送られます。この呼出状・質問票が送られた人は、原則として、担当事件の裁判員選任手続 に出頭しなければいけません (辞退が認められて呼出しを取り消された方 は出頭の必要がありません)。正当な理由なく出頭しない場合には、10万円以下の過料に処せられる場合があります(裁判所法112条)。この裁判員選任手続で、6名の裁判員と、3名の補充裁判員が選任されます。
Q3 裁判員になるために、法律的な知識は必要ですか?
裁判員裁判においても、法律的な問題については、裁判官が判断します。裁判員に求められているのは、審理の対象とされている事実の有無を証拠に基づいて判断すること(有罪か無罪か)、及び、もし有罪と判断される場合に、どのような刑を科するかを判断することです。もっとも、有罪か無罪かの判断の前提として法律的な知識が必要な場合は,裁判官から説明されます。したがいまして、法律的な知識は必要ありません。
Q4 裁判員候補者となった場合や、裁判員になった場合、そのことを人に話してもかまいませんか?また、裁判員裁判が終了してからも人に話すことはできないのですか?
裁判が終了するまでは、不特定多数の人が知ることのできるような状態(たとえばインターネット)で公表 してはいけません (裁判員法101条1項前段)。ただし、家族や知り合い、友人、会社の上司などのごく限られた人に話すことは許されます。 裁判員裁判が終了したあとであれば、自分が裁判員であったことを公表することは可能です(裁判員法101条1項後段他人が公表することは許されません)。
Q5 当社の従業員が、裁判員裁判に参加するため会社を休みたいと言ってきていますが、辞退するよう命令することはできるのでしょうか?また、その命令に反して仕事を休んで裁判員裁判に参加した従業員に懲戒処分を下すことはできるのでしょうか?
まず、そもそも、辞退が認められるかどうかは、従業員に左右できるものではありません。そして、裁判員裁判は、公務ですから、そのために休みを取ることは認めなければなりません(労働基準法7条)。したがいまして、会社が裁判員裁判への参加を辞退するよう命令することは許されません。また、その従業員が裁判員として仕事を休んだことを理由に懲戒処分など不利益な扱いをすることは許されません(裁判員法100条)。もっとも、業務多忙などの事情があり、従業員が辞退を快諾していれば、会社としては、従業員の辞退が認められやすくなるように、業務多忙であることの証明書等を発行するなどして協力することが望ましいと思われます。
Q6 私は、会社で管理職をおこなっていますが、従業員の中から裁判員が出ると、公判の期間中、従業員が休むことになり困ります。そこで、従業員が裁判員候補者名簿通知を受け取ったことや、あるいは裁判員候補者ないしは裁判員となっているかどうかについて調査したいと思うのですが、このような調査は可能でしょうか?また、その場合に注意するべきことはありますか?
まず、このような調査が可能かどうかについてですが、何人も、裁判員に関する個人特定情報を公にすることは許されないとされている(裁判員法101条1項)ものの、職場という特定の場において、特定の上司に対して知らせることは、「公に」するとはいえません。業務上の必要性があると認められるものであれば、その義務付けや調査は、許されると考えられます。そこで、会社側がとるべき注意点ですが、就業規則等で、裁判員として休暇を与える場合の対象者や、休暇の日数、休暇の申請方法、証明書の提出などについて定めておくことが望ましいと考えます。
Q7 従業員が裁判員裁判に参加することになり、会社を欠勤することを認めましたが、この間、給料は必ず出さなくてはならないのでしょうか?
従業員から有給休暇の申請があれば、休暇中も給与を支給する必要がありますが、既に有給休暇を使い切るなどしている場合には、給与を支給しなくても問題はありません(ノーワークノーペイの原則)。なお、大企業では、CSR対策の一環として、通常の有休休暇とは別に、裁判員裁判のための特別有給休暇を設けている会社もあります。
費用補償について
Q1 逮捕勾留された後に起訴されましたが、公判で徹底的に争い、判決で無罪となりました。無罪判決が確定した場合、何か補償は受けられるのでしょうか?
まず、裁判のために必要となった旅費、日当、弁護士に対する報酬などの費用の補償を受けることができます(刑事訴訟法188条の2)。また、逮捕・勾留されるなど、捜査や裁判のために身体を拘束されていた場合には、一部の例外的な場合をのぞいて、費用補償とは別に身体拘束に対する補償を請求することができます。身体拘束に対する補償の内容は、1日1000円~12500円以下の金額が補償されます。そして、その金額を決めるにあたっては、拘束の種類や期間の長さ、受けた財産上の損害、精神上の苦痛、捜査機関の故意・過失の有無など一切の事情が考慮されます
Q2 無罪判決を出すために、弁護士は私選でお願いしました。無罪が確定した場合の費用の補償について、私選弁護の弁護士費用は全て補償されるのでしょうか?
裁判のために必要となった費用の補償の中には、弁護士費用も含まれますが、弁護士費用の金額は裁判所の裁量により決定されることになっています。一般的には、国選弁護の弁護費用が基準となって決定されることが多いです。
Q3 無罪判決が確定した後の補償請求は、いつまでにしなければならないのでしょうか。
裁判費用の補償請求は無罪判決が確定した日から6カ月以内に、身体拘束に対する補償は3年以内にしなければなりません。
Q4 逮捕勾留されましたが、「起訴猶予」で不起訴処分となりました。不起訴処分となった場合、何か補償は受けられるのでしょうか?
不起訴となった場合に、「罪とならず」又は「嫌疑なし」の不起訴裁定主文がある場合か、「罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由があるとき」には、原則として補償を受けることができます(被疑者補償規定)。但し、一般的に不起訴の裁定主文に「罪とならず」「嫌疑なし」ということが記載されることは少なく、また「罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由があるとき」の要件も非常に厳しいです。「起訴猶予」の不起訴処分では補償を受けることができません。被疑者補償の補償内容は、1日1000円~12500円以下の金額が補償されます。その金額を決めるにあたっては、拘束の種類や期間の長さ、受けた財産上の損害、精神上の苦痛、捜査機関の故意・過失の有無など一切の事情が考慮されます。
その他
Q1 逮捕された私の家族は外国人なのですが,当番弁護士を頼んだ場合,通訳はどうすればよいのでしょうか?
当番弁護士が各自手配します。通訳費用は弁護士会が負担しています。
Q2 留置場の生活はどのようなものですか?
食事は毎日決まった時間に支給されます。体の具合が悪いときには,医療の診察を受けたり薬をもらうことができます。家族等は,歯ブラシ・タオル等の日用品,お金,服など必要なものを差し入れることもできます。手紙を出すこともできますが,手紙の内容は警察官が読んで点検することになっています。ただし,接見禁止命令が出されている場合は,手紙のやり取りをすることはできません。
少年審判手続きについて
Q1 少年事件とは、刑事事件とはどう違うのでしょうか?
少年事件とは、20歳未満の者で、罪を犯した少年(犯罪少年)、法令上犯罪に当たる行為をしたが、14歳未満のため罪を犯したことにならない少年(触法少年)、あるいは将来罪を犯すおそれのある少年(ぐ犯少年。漢字では「虞犯」と書きます)を対象に、少年の非行性を取り除き、将来の犯罪を防ぐために行う手続です。少年法の目的は、できるだけ処罰ではなく教育的手段によって少年の矯正・更生を図ることを目的としています。そのため、刑事事件の手続を準用している部分もある一方で、主なものを挙げると、刑事事件とは以下のような違いがあります。
  • ①審判は、地方裁判所・簡易裁判所でなく家庭裁判所が行います。
  • ②裁判所は審判を行うにあたって、少年の心身の鑑別を行うとともにその身柄を保全するた めの方法として観護措置をとることができ、少年鑑別所に収容される場合があります。
  • ③審判は非公開とされます。
  • ④検察官は審判に必ず出席するわけではなく、検察官関与決定があったときに出席します。
  • ⑤事実の証拠調べは家庭裁判所の合理的な裁量に委ねられ、刑事事件における証拠能力の制限(伝聞は原則として証拠にできないなど、証拠として使ってよいかどうかの資格についての制限のことをいいます。)などは、少年事件にはそのままあてはまりません。
  • ⑥審判にあたっては、試験観察といって、おおむね3~4か月程度様子を見た上で最終的な処分を決めることにする中間的な処分も選択される場合があります。
Q2 少年事件の処分には、どのようなものがあるのですか?
少年法により、以下の処分が定められています。また、中間処分として、試験観察という制度もあります。
(1)保護処分以外の処分
  • ①審判不開始
      事件について裁判官の審判を行わず、調査段階で終了させる場合です。非行事実が 認められない場合や、非行事実は認められるが保護処分の必要がない場合に選択されます。
  • ②不処分
     裁判官の審判を開いた上で、保護処分を行わないと決定する場合です。
  • ③知事又は児童相談所長送致
      児童福祉法による措置を適当とし、児童福祉機関に事件を送致する手続です。18歳 未満の少年に限られます。
  • ④検察官送致
     保護処分ではなく刑事処分を適当とする場合に、検察官に事件を送致する手続です。送致を受けた検察官は、成人と同様に、事件を地方裁判所や簡易裁判所に起訴することになります。  なお、16歳以上の少年が犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪(殺人 や傷害致死など)の事件については、調査の結果、刑事処分以外の処分のほうが適切であると認められる場合でなければ、検察官送致を行うのが原則となるよう法改正が行われました。
(2)保護処分
  • ①保護観察
     少年を家庭や職場においたまま、保護観察官や保護司が指導監督を行い、社会内で少年の更生を図るものです。
  • ②児童自立支援施設または児童養護施設送致
     児童自立支援施設や児童養護支援施設内で、必要な指導を行い、 その自立を支援するものです。
  • ③少年院送致
     少年院(少年の非行等の矯正を行うことを目的とする男女別の収容施 設です)に収容するものです。  収容期間には一般短期(原則6か月以内)、特修短期(4か月以内) 、長期(原則として少年が20歳に達するまで。実際には、390日程度が 平均在院日数とされます)の区別があります。
少年事件と弁護士の活動について
Q1 私の友人の子が、窃盗事件を起こして逮捕されてしまったようで、その友人から弁護士に頼んだ方がいいかどうか相談されました。刑事事件の場合には国選弁護人という制度があることはある程度知っているのですが、少年事件の場合はどのような制度になっているのでしょうか?
まず、事件が家庭裁判所に送致されるまでは、少年であっても「被疑者」の立場となりますので、この段階で弁護士に依頼する場合は、刑事訴訟法上の「弁護人」として選任することになります。自分で費用を支払う私選弁護のほか、当番弁護士制度(逮捕・勾留されている被疑者が希望した場合、一回は無料で接見・助言を行う制度です)があり、また窃盗事件は被疑者国選弁護対象事件でもありますから、国選弁護人の選任を求めることができます。また、仮に被疑者国選弁護対象事件(刑罰として、死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固が規定されている罪の事件)でない場合は、刑事被疑者弁護援助制度を利用して経済的援助を受けて弁護士に依頼することができます。つぎに、事件が家庭裁判所に送致されたあと、弁護士に依頼する場合は、少年法上の「付添人」として活動することになります。付添人は、少年事件手続の目的(少年の矯正・更生)が適正に実現されるための裁判所に対する協力者というのが第一次的な位置づけとされているので呼び方が違いますが、もとろん弁護人的な性格も持っています。被疑者段階で弁護人として選任されていても、そのまま付添人に切り替わるわけではありませんので、それぞれ選任する必要があります。付添人については、私選で依頼するほか、当番付添人制度(当番弁護と同様に、弁護士は1回目は無料で面会に来る制度です)、国選付添人制度があり、少年保護事件付添援助制度も利用できる場合があります。
Q2 少年事件においても国選の制度を利用して弁護士についてもらえるそうですが、気をつけることはあるでしょうか?
平成22年8月現在の法律においては、国選といっても、手続の種類や段階によって利用できる要件に違いがありますので、注意が必要です。
  • ①被告人国選弁護の場合
    これは、通常の刑事事件で起訴されて「被告人」となった後の段階での制度であり、起訴事実の罪の重さは要件となっていません。
  • ②被疑者国選弁護の場合
    これは、起訴前に「被疑者」として勾留されている段階での制度で、非疑事実が「死刑又は向き若しくは長期3年を超える懲役もしくは禁固にあたる事件」であることが要件となります。
  • ③国選付添人の場合
    これは、少年事件で、観護措置がとられて少年鑑別所に送致されている場合の制度で、送致された非行事実が「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」または「死刑若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁固にあたる罪」であることが要件となります。具体的には、たとえば窃盗罪の刑罰は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められていますので、「長期3年」を超えますから被疑者段階では被疑者国選制度の対象になりますが、「短期2年以上」にはあたらないため(特に「○○年以上の懲役」と決められていない場合、その下限は1か月となります)、国選付添人制度の対象にはならないことになります。
このように、最近の法改正などの影響で制度がやや複雑になっていますので、弁護士に相談する際には詳しく聞くようにするとよいでしょう。
少年事件の被害者について
Q1 私の家族が少年事件の被害者となってしまいました。被害者及びその親族として、事件のことやその少年のことを知りたいのですが、少年審判の手続にどのように関わることができるのでしょうか?
2008(平成20)年に成立・施行された改正少年法により、少年事件の被害者に関するいくつかの規定が設けられました。
  • ①重大事件において被害者が少年審判を傍聴できる制度
    故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪(殺人や傷害致死など)と、業務上過失致死傷等(刑法211条)の罪の事件において、被害者から申出があった場合には、少年の健全育成を妨げるおそれがなく相当と認められるときは、家庭裁判所が被害者に審判の傍聴を許可することができます。
  • ②家庭裁判所が被害者に対して審判状況を説明する制度
    犯罪少年または触法少年の事件で、被害者から申出があった場合には、少年の健全育成を妨げるおそれがなく相当と認められるときは、家庭裁判所が被害者に審判期日における審判の状況を説明する制度です。
  • ③被害者等による記録の閲覧・謄写の要件緩和
    平成12年の少年法改正では、被害者は、記録のうち非行事実に関する部分に限って、閲覧・謄写が可能となっていました。平成20年の改正では閲覧・謄写が可能な範囲を拡大し、非行事実に関する部分だけではなく、少年の生育歴・非行歴などプライバシーに関する部分も対象になりました。ただし、「閲覧又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合」や、「(閲覧・謄写を認めるのが)相当でないと認める場合」には、許可されません。
  • ④被害者からの申出による意見聴取の対象者の拡大
    平成12年の少年法改正では、「被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡
Q2 少年事件で被害を受けたので賠償を求めたいのですが、その少年は無職で身寄りもなく、賠償金の支払は期待できないようです。このような場合に救済制度はあるのでしょうか?
「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者の支援に関する法律」に基づき、都道府県の公安委員会に申請することで金銭的な補償を受けられる場合があります。給付金額に上限があるなど(遺族給付金は約3000万円、障害給付金は約4000万円)、必ずしも十分とはいえないものの、14歳未満の触法少年の事件による被害についても適用されますので、少年事件の被害者に対する救済制度として一定の役割を果たしています。
  • ①遺族給付金
    被害者が亡くなった場合に、第一順位の遺族に給付されます。
  • ②重傷病給付金
    重傷・重病(原則として、加療1か月以上かつ入院3日以上)を負った被害者に対して、保険診療の自己負担分や休業損害が補償されます。
  • ③障害給付金
    後遺障害(障害等級1級から14級までが対象)を負った被害者に給付されます。

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