一般企業法務

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取扱分野

  • ・株主総会指導
  • ・各種社内規定整備、契約書のレビュー
  • ・社内研修、従業員研修のための講師派遣
  • ・顧客対応(クレーム処理)
  • ・手形、小切手関連
  • ・製造物責任
  • ・取引上のトラブル
  • ・株式または出資金に関する問題
  • ・取締役会その他経営会議出席
  • ・日常業務におけるリーガルチェック

例えば契約書のレビューについて考えると、クライアント企業が、契約により実現したいポイントを明確に意識している場合とそうでない場合があります。
前者の場合には、当該ポイントについて、契約書に記載することで解決可能であるのか(強行法規違反等にならないか)等を検討し、可能な限りクライアント企業のニーズに沿った契約書を作成します。
一方、後者の場合にも、ご相談を手がかりに、当該企業の抱える法的な問題を発見したり、起こりうる紛争を予防することに努めて参ります。

一般企業法務といわれる分野は、様々な法的サービスが存在しますが、どのようなサービスにつきましても、クライアント企業の状況に応じて、迅速で的確な法的サービスを提供していきます。

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一般企業法務のQ&A

売掛金の回収について
Q1 当社は取引先に対して、売掛金があるのですが、支払期限を過ぎても取引先が売掛金を支払おうとせず、支払を要求しても、「資金がないので、すぐには支払えない。分割にしてほしい。」と対応してきます。当社としては、分割払いでも構わないのですが、実際に支払ってくれるかが心配です。どのように対応すればよいのでしょうか?
まず、取引先との間で債務弁済契約書を作成する方法が考えられます。
債務弁済契約書を作成することで、債権の消滅時効を中断し(民法147条3号)、時効による債権消滅のリスクを軽減することができます。また、仮にその後裁判になったときに、当該書面が強い証拠力を持つ証拠となります。
次に、公正証書を作成する方法が考えられます。通常の契約書を作成するだけでは、取引先が任意に支払わない場合に、即時に強制執行を行うことができない問題がありますが、公正証書を作成しておけば、この問題に対処できます。公正証書とは、公証人が作成する公文書のことで、公証役場(全国に約300カ所存在し、福岡県下には福岡(舞鶴)、博多、久留米、大牟田、小倉、八幡、田川、直方、飯塚、行橋、筑紫の計11カ所存在します(平成22年2月16日現在)。)で作成することができます。
公正証書を作成し、証書内に取引先が支払を怠った場合には直ちに強制執行に服する旨の内容を盛り込んでおけば、取引先が期限を過ぎても任意に支払わない場合に、裁判を起こさなくても、当該証書をもって強制執行手続に入ることができます。また、取引先にとってみると、支払わなければ強制執行されてしまうという心理的圧力を受けることになりますので、公正証書の作成には、任意の支払を事実上強制する面があります。
Q2 当社はある取引先に対する売掛金の回収に手間取っているのですが、その取引先からの当社に対する買掛金があります。当社としては、この買掛金と売掛金を相殺したいと考えているのですが、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
仮に、取引先との間で取引基本契約を結んでおり、この契約の中に相殺を禁止する特約が盛り込まれている場合には、一方的に相殺することはできません(民法505条2項本文)。そこで、取引先との契約書をチェックして相殺禁止特約がないかを調べる必要があります。
相殺禁止特約が存在しないのであれば、一方的な意思表示で相殺が可能ですから、取引先に対して、相殺の通知を送付することで相殺が可能です。この際、相殺する取引先の債権と、自社の債権を「当社が貴社に対して、平成○○年○○月○○日、○○を売り渡したことによる売買代金債権 ○○円」などという形で特定し、さらに相殺する債権の額を明示する必要があります。
また、仮に相殺禁止特約が存在した場合でも、取引先と相殺契約を結べば、相殺は可能ですので、取引先と交渉することをお勧めします。
Q3 当社は、取引先に対して、支払期限の過ぎた売掛金を支払うよう何度も要求したのですが、取引先は一度支払を約束したものの、その後態度を一変させて、支払を拒むようになり、当社からの電話にも出なくなりました。そこで、友人に相談したところ、弁護士に頼めば、「内容証明」という文書を送ってもらえるという話を聞きました。「内容証明」を送るとどのようなメリットがあるのでしょうか?
「内容証明」とは内容証明郵便のことであり、郵便物の差出日付、差出人、宛先、文書の内容を郵便事業株式会社が謄本により証明する制度のことです。内容証明郵便は、配達証明と併用するのが一般的であり、これにより、相手方へ文書が配達された事実及び配達日付に関しても証明を得ることができます。
内容証明郵便は、弁護士でなくてもどなたでも利用することができますが、弁護士名の入った通知書を内容証明郵便で送付することで、相手方は、「弁護士まで使ってきたのだから、支払わずに放置していると、法的手段に訴えられるかもしれない。」などと、心理的圧力を感じるのが一般的ですので、態度を転じて債務を支払うケースもあります。
Q4 当社は、売掛金を有する取引先に対して、支払期限後度々請求をしているのですが、取引先が支払を拒み続けることから、已むを得ず法的手段をとることを検討しています。ただ、売掛金の額はそれほど多くないので、費用をできるだけ抑えたいと思っています。何か良い方法はないでしょうか?
考えられる方法の1つとして、支払督促の申立(民事訴訟法382条以下)があります。この方法によれば、相手方が異議を申し立てなければ、支払督促に基づき強制執行手続を行うことができます。この方法によるメリットとしては、費用が裁判よりも安く、しかも迅速に強制執行手続に移行できることが挙げられます。
支払督促申立の具体的な手続は、まず、取引先の所在地の簡易裁判所(取引先に支店があり、売掛金が当該支店の業務に関するものであれば支店の所在地の簡易裁判所に対しても可能です。)の書記官に対し、支払督促申立書を提出します(同法383条)。その後、書記官が取引先に対し、支払督促の正本を送達し(同法388条)、この送達を受けた日から2週間が経過した日から30日以内に簡易裁判所に対して、仮執行宣言申立書を提出します(同法391条1項)。この提出を受けて、書記官が取引先に対し、仮執行宣言付支払督促の正本を送達し(同条2項)、御社は仮執行宣言付支払督促に基づき強制執行手続に入ることができます(民事執行法22条4号)。
ただし、取引先が支払督促の送達を受けた日から仮執行宣言付支払督促の送達を受けて2週間が経過する日までの期間のうちに、取引先が裁判所に対して、督促異議の申立を行った場合には、通常の訴訟に移行することになります(同法390条、393条及び395条前段)。この場合、支払督促の費用として納めた印紙代は、訴訟費用に充当されます(同法395条後段)ので、費用が無駄になってしまうわけではありません。
Q5 当社は取引先に対して、売掛金の支払を請求したのですが、取引先が既に支払ったと争ってきたため、裁判を起こそうと思います。ただ、売掛金の額は50万円なので、できるだけ手間をかけずに迅速に済ませたいと思っています。何か良い方法はないでしょうか?
請求する金額が60万円以下の場合には、通常訴訟の他に少額訴訟(民事訴訟法368条以下)を提起することができますので、この方法を用いることが考えられます。この方法によるメリットには、①原則として1回の審理で終了し(同法370条1項)、当日判決が下る(同法374条1項)ので、迅速に裁判所の判断を仰ぐことができる、②裁判所が相手方の支払能力等を考慮し、分割払い、支払の猶予を定めた判決を下すことが可能で(同法375条1項)、相手方に配慮した内容の判決を得ることができるので、相手方からの任意での支払を期待できる、という点があります。
ただし、相手方が、通常訴訟によることを望んだ場合にはその旨の申述をすると、通常訴訟に移行することになります(同法373条2項及び3項)ので、ご注意ください。
Q6 当社は取引先に対して、売掛金の支払を請求したのですが、払おうとしないため、裁判を起こそうと思います。ただ、売掛金の額は50万円なので、できるだけ手間をかけずに迅速に済ませたいと思っています。何か良い方法はないでしょうか?
請求する金額が60万円以下の場合には、通常訴訟の他に少額訴訟(民事訴訟法368条以下)を提起することができますので、この方法を用いることが考えられます。この方法によるメリットには、①原則として1回の審理で終了し(同法370条1項)、当日判決が下る(同法374条1項)ので、迅速に裁判所の判断を仰ぐことができる、②裁判所が相手方の支払能力等を考慮し、分割払い、支払の猶予を定めた判決を下すことが可能で(同法375条1項)、相手方に配慮した内容の判決を得ることができるので、相手方からの任意での支払を期待できる、という点があります。
ただし、相手方が、通常訴訟によることを望んだ場合にはその旨の申述をすると、通常訴訟に移行することになります(同法373条2項及び3項)ので、ご注意ください。
Q7 取引先への売掛金回収には様々な方法があることはわかりましたが、いざというときに手間と時間がかかることもあるように思います。そこで、売買契約の時点であらかじめ売掛金回収を円滑にできるようにするいいアイデアはないですか?
譲渡担保を活用する方法が考えられます。
譲渡担保とは、債権者が、債権担保の目的で所有権を債務者から法形式上譲り受けた形をとり、被担保債権の弁済をもって所有権を債務者に返還する形式をとる担保方法です。
これは、売買契約の際に、商品を目的物とする譲渡担保権を設定する旨の文言を入れた譲渡担保設定契約書を差し入れさせることで、設定が可能です。
その最大のメリットは、競売など法定の手続を経ることなく、任意・簡便に実行でき、譲渡担保権という権利に基づき商品の引渡を直接求めることができる点にあります(Q4の事例のような、単純な売買契約に比べ、合意解除に相手が応じなくても、一方的な実行の意思表示によって、商品の引渡を求める権利が発生します)。

 具体的な実行方法としては、
 ① 債務者が代金を支払わないとき、実行通知を送る。
 ② 担保権の実行手続として、任意の引渡を求める。
 ③ もし応じない場合には、強制執行を行う。

ただし③には時間がかかるため、平行して、現状維持の仮処分(譲渡・質入れなどの処分行為や占有移転を禁止する仮処分)や断行の仮処分(暫定的に、権利が終局的に満足させられたのと同じ結果を生じさせることを目的する仮処分)を行い、その間に取引先を翻意させて任意の引渡に応じさせる方法を取る方法が考えられます
Q8 取引先であるA社は、当社に対して売掛金債権を有していました。ところが、ある日B社から「当社はA社から貴社に対する売掛金債権を譲り受けました」という内容証明郵便が送られてきました。当社はどのような対応を採るべきでしょうか?
B社が、A社から譲り受けたとされる売掛金債権を貴社に請求するためには、A社から貴社への通知が必要です(民法467条1項)。ですから、B社からの内容証明による通知だけでは貴社はB社にその債権を支払う必要はありません。この場合は、A社からの通知を求め、それまでは支払に応じない方がよいでしょう。
ただし、その売掛金債権が債権譲渡登記をされた債権である場合は、その旨の登記事項証明書を交付してきたのがB社であっても、貴社はその売掛金の支払に応じる必要があります(動産・債権譲渡特例法2条2項)。
Q9 当社はA社から商品を購入する取引をしようと思っています。当社としてはA社の商品をぜひ取り扱いたいと思っています。しかし、A社は経営が厳しいようで、同社が保有する他社に対する売掛金債権を、暴力団などに譲渡されることを恐れています。当社としては、取引をするとしても、そのようなところに売掛金債権が流れないようにしたいと考えています。何かいい予防策はないでしょうか?
売掛金債権の譲渡禁止特約を、売買契約に盛り込んでおく方法が考えられます。
債権譲渡禁止特約に違反して債権が譲渡されても、その譲渡自体が無効なものとして扱われます。
ただし、その効力は限定的です。すなわち、債権譲渡禁止特約の存在について知っている、あるいはわずかな注意を払えば知り得た譲受人に対してのみ、譲渡の無効を主張できます。
他方、この債権が差し押さえられたり転付命令を受けたりした場合には、この特約に基づいて債権譲渡を無効と主張することはできません。
Q10 当社が取引先に対して有している卸売代金の売掛金が、支払期日から1年11カ月経過した現在もまだ支払われていません。先月、担当者から取引先に、内容証明郵便で催促しましたが、その後も何の音沙汰もありません。このまま売掛金が時効で消滅すると困りますが、なんとかなりませんか?
卸売代金の売掛金債権は、支払期日の翌日から2年を経過した時点で時効消滅します(民法173条1項)。
しかし、以下の方法によって、時効を中断(それまで進行してきた時効がリセットされること)させることができます。

① 請求(民法147条1号)
ここにいう請求は、単なる郵便や口頭での請求ではなく、裁判所を利用しての請求(訴訟提起、支払督促の申立、調停申し立てなど)をいいます。
② 差押え・仮差押えまたは仮処分(同条2号)
③ 債務者の承認を取り付けること(同条3号)
債務確認書を取引先から取る、債務の一部を弁済させるといった方法があります。これがもっとも現実的な方法と考えられます。

なお、気をつけなければならないのは、ご質問の事案のように、単に郵便で請求するだけでは時効中断せず、時効の完成を最大6カ月遅らせるだけの暫定的な効果しかありません。催告してから6カ月以内に上記①②③の措置を取らないと、時効中断の効力は発生せず、売掛金は時効消滅してしまいますので注意が必要です。
賃貸借関係について
Q1 当社は、賃貸ビルに入居しているのですが、家主の経営状態が悪いらしく、この賃貸ビルが第三者に売却されることもありうると聞きました。その後に当社がこのビルを退去する場合、保証金を、新たにビルを取得した家主から返してもらえるのでしょうか?
賃貸物件が譲渡された場合には、賃貸人としての地位が移転し、保証金についても新しい家主に返還を請求することができるのが原則です。 ただし、仮に家主が破産や民事再生など法的な債務整理を行った場合には、貴社の保証金返還請求権は破産債権(民事再生の場合は再生債権)となり、破産手続(民事再生では再生手続)によってのみ行使できるにすぎないことになり、現実問題として、返還を受けることは困難であると考えられます。
クレームについて
Q1 当社が販売した商品について、お客様から製品が壊れて怪我をしたとクレームがありましたが、当社が責任を負うべき問題かどうかがわかりません。どのように判断すればよいでしょうか?
1 事実関係の把握
まずは、事実関係を把握しなければなりません。製品が壊れてどうなったか、という点だけでなく、①いつ、②どこで、③誰が、④どのように使用していて、⑤どうなったのか、詳しく状況を聞き取る必要があります。当該商品がまだお客様の手元に残っている場合には、商品を引き取りに行くか、そのままの状態で送付してもらって、現物を確認することも必要です。仮に商品をすべて廃棄してしまっている場合には、購入店や購入日時等を確認して、出来るだけ商品を特定できるようにしてください。 また、これらの事実調査の結果は、かならず、その都度、書類に残すようにしてください。
2 法的責任
以上のような調査の結果、商品に欠陥が発見された場合、会社が損害賠償責任を負う可能性が出てきます。 損害賠償責任としては、債務不履行責任と一般の不法行為責任、製造物責任法上の賠償責任等がありますが、それぞれ要件が異なるため、貴社がこれらの責任を負う可能性があるか否か、判断する必要があります。 お客様から請求されている損害の中には、会社側の過失が原因となって発生したものではない損害が含まれている可能性もありますので、どこまで会社が責任を負うべきか、損害が発生した経緯をしっかりと確認することが必要です。 また、中には、商品の欠陥のみならず、お客様の使用方法にも問題があって損害が発生する場合もあります。この場合には、発生した損害について、お客様側にも過失が認められ、損害額が減額されることもあります。
3 とるべき対応
調査した結果、商品に欠陥が発見されなかった場合には、商品の欠陥を理由とするお客様からの請求に応じる義務はありません。この場合に顧客サービスとしてどこまで対応されるかは会社側の判断となります。 仮に、調査の結果、商品に欠陥が発見され、これによってお客様が怪我をしたと確認された場合には、必要な限度で損害賠償請求に応じることになります。事案によってどこまで賠償が必要となるかは異なりますので、この場合には専門家に相談してください。その際、PL保険等の保険内容によっては、損害賠償額のみならず、弁護士費用等についても保険金でカバーされる場合もあります。 また、商品に欠陥が見つかった場合には、被害が拡大しないよう、欠陥の可能性のある商品を特定して商品の回収措置や、場合によってはリコールの措置等を検討することも必要です。

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