税務実務は、国税庁の出した膨大な数の通達に基づいて運用されていますが、最近の税務訴訟における納税者勝訴の事案では、国税庁の通達が租税法令の解釈として間違っていると判断された事案や、事実認定が決め手となった事案がみられています。税務訴訟に先立つ不服申立手続は通常、弁護士が関与することなく進められますが、上記のような最近の税務訴訟の状況を踏まえると、不服申立手続の段階から弁護士が関与することが重要といえます。弁護士は、通常の事件処理における事案の検討の中で、法令の趣旨に立ち返って考えたり、証拠と格闘しながら事実関係の把握をおこなっており、税務訴訟の分野においても、国税庁の通達にとらわれることなくより上位の税務法令に立ち返って事案を検討することや、証拠に基づき事実を検討することが重要となっているからです。
また、税理士に業務過誤があった場合、その損害額は莫大なものとなりかねません。一方で、税理士による過失の有無についての主張・立証は、相手方が専門家であるということもあり、専門性の高い弁護士への相談・委任が重要といえます。