少年事件に寄り添う人々

少年事件に寄り添う人々

2012/02/05

★非行少年の思い
少年による凶悪犯罪が世間で騒がれるようになり、事件を起こした少年を厳罰化する傾向での法律の改正が繰り返されてきました。少年を弁護する立場(付添人と呼ばれます)で少年事件に携わっていると、どうしても、事件を起こす少年やその家族に対する風当たり・偏見が強い一方で、少年や家族を支える社会的な仕組みが乏しいと感じることが多くなります。
警察での実況見分調書の写真では見るからにガラの悪い格好でこちらを睨みつけている男の子や、濃い化粧と派手な服装でがんばって背伸びをしているような女の子と鑑別所で実際に会って話をしてみると、成育環境に恵まれていないことが多いように思います。時には酷い虐待を受け、親からの愛情を十分に与えられてこなかったために、自らの生い立ちについての不遇感、大人への強い反発心・不信感をもっていることがあります。話を聞いていると、彼らも被害者のうちの一人なのではないか、という気がしてきます。その一方で、少年は、実年齢からすると幼く感じるくらいに親に甘えたい、愛情を注いでもらいたい、という思いを強くもっていたりします。
★非行少年の試練
親との関係が上手くいっていなかったりして帰る場所のない少年は、短期間で再犯に至る傾向が強いと言われています。そこで、そのようなケースでは、付添人活動の初期段階から、少年の生活環境の調整活動(住まいの確保、就労支援など)が必要となってきます。
少年は、打ち込める仕事が見つかると、毎日遊ぶ時間も体力も残らないので誘惑に目が行かないという効果と、周囲から認められて自信がついてくるのでますますやる気がわいてくる、という効果によってものすごいスピードで成長していったりします。定職につく、というのは少年の更生面でとても大事なことだといえます。
★非行少年を支えるネットワーク
福岡では、平成23年、福岡県就労支援事業者機構と組んだ「非行少年就労支援ネットワーク」が設立され、非行少年の就職支援に向けた活動を行っています。付添人をしていて、仕事(住込可ならなおさら)さえ見つかれば少年院送致を免れるのに、という事件は少なくありません。そのようなケースにあたるたびに、保護観察所の協力雇用主さんのようなルートをもっていない自分が歯がゆく、悔しい思いをしていましたが、このネットワークは、その協力雇用主さんからの多くのご協力を得て実現できています。やる気のある少年であれば、場合によっては鑑別所での面会を経て、少年審判にも出席してもらい、社会に戻れる場合には即雇用してもらえることが可能となりました。
そのほか、残念ながら少年院送致され、出所した後の少年が住む場所も仕事もお金もないような場合には、更生保護施設、自立準備ホームといった施設が利用できます。更生保護施設は法務大臣の認可を受けた更生保護法人が運営する施設であり、自立準備ホームは、予め保護観察所に登録されたNPO法人や社会福祉法人が運営する施設です。どちらも、施設の職員さんが、入所者に生活指導や就労支援などを行います。
以前、私は地元の田川ふれ愛義塾さん(http://npo-tfg.org/cms/)にお邪魔して、少年の生活している様子を見学させてもらいました。更生保護施設のほかに、NPO法人として非行型の不登校児童生徒の立ち直り支援を行う施設を併設して運営されているなど、とても新鮮でした。
福岡には、非行少年に寄り添って支援し、彼らの自立を願う人々、団体がほかにもたくさんありますので、今後も折を見てご紹介していきたいと思います。(清水)

鴻和法律事務所なら初回法律相談無料
福岡の「鴻和法律事務所」の弁護士による離婚相談専門サイト
福岡の「鴻和法律事務所」の弁護士による交通事故専門サイト
福岡で刑事事件の相談なら鴻和法律事務所の刑事事件専門チームへご相談ください。
鴻和法律事務所なら初回法律相談無料
ページトップ