再審制度から考えること

再審制度から考えること

2012/04/05

1 判決の確定
日本の裁判制度は三審制が採られ、刑事裁判においても、被告人は判決の内容に不服があれば、最高で二回争う機会が保障されています。被告人が一定期間の間に判決の内容に不服を申し立てなかったり、最高裁判所の判決から一定期間が経過したりした場合には、判決が「確定」することになります。

2 再審制度
判決が確定すれば、被告人は原則として判決の内容を争うことができなくなるのですが、法律には例外が定められています。
刑事訴訟法には「再審」という制度が規定されており,有罪判決が確定した事件について,無罪とすべき明らかな証拠を新たに発見したとき等の理由により,文字通り,再び審理するというものです。最近では,大阪で我が子を保険金目的で放火で殺害したとして、殺人罪などで無期懲役刑が確定した事件について再審開始決定がなされました。過去には死刑が確定した事件について再審で無罪となった事件も4件あります。
前述の大阪の殺人事件では、捜査段階で被告人は自白していたものの、裁判では違法な取り調べによって虚偽の自白調書が作成されたと主張していました。今回、弁護人が再現実験を試み、その結果、実験結果が被告人の自白内容と整合しないことなどを理由に再審開始決定がなされました。もちろん,再審開始決定がなされただけで結論はまだわかりませんが,これがもし冤罪であるとしたら長期にわたり身柄拘束がされ苦痛を味わった人の人生はどうなるのでしょうか。
そのような捜査があってはならないことは言うまでもありませんが,弁護人も違法捜査が行われないようにチェックする責務を負っています。裁判官も自白調書が虚偽ではないか裁判で慎重に判断することが求められます。そして,市民が参加する裁判員裁判では,市民の方も限られた時間の中で判断を求められます。

3 おわりに
再審制度は被告人を救済する非常手続として欠くことのできないものではありますが,他方で現実には発動されてはならない制度とも言えます。氾濫する情報の中で,何が事実であるのかということを慎重に判断しなければならず、あらためて人を処罰することの重みを考えさせられるものです。
(大塚)

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