金融商品取引法違反の弁護活動

金融商品取引法違反の弁護活動



1 金融商品取引法違反事件の特徴

金融商品取引法は、有価証券を中心とする金融商品取引に関する法律であり、金融商品取引業者を規制したり、有価証券等の発行や売買取引などを規制している法律です。以前は「証券取引法」と呼ばれていましたが、平成19年に「金融商品取引法」という名称に変わりました。
金融商品取引法には、規制違反に対する刑事罰が定められています。例えば、インサイダー取引や相場操縦(見せ玉など)、有価証券報告書の虚偽記載などであり、懲役刑を含めた重い刑事罰が課せられています。

金融商品取引法違反の刑事事件には、大きく3つの特徴があります。

1つ目の特徴は、典型的な経済事犯であり、それまで犯罪や捜査などと無縁だった人が被疑者になり、被告人になることが多い、という点です。つい昨日まで普通に社会人として生活していた人が、突然、捜査の対象となり、逮捕される・・・これが金融商品取引法違反の場合の大きな特徴です。

2つ目の特徴は、証券取引等監視委員会という組織が、捜査に関わってくるという点です。証券取引等監視委員会は、金融商品取引の審査や取引業者に対する検査などを行う組織ですが、金融商品取引法違反の刑事事件に関する「調査」を行う権限も持っています。法律上は「調査」となっていますが、事情聴取を行って調書を作成したり、裁判所の令状に基づいて強制的に捜索・差押ができるなど、実質的には警察官と同じような「捜査」ができる権限を持っています。もちろん、証券取引等監視委員会が直接関わらず、警察や検察(特捜部や特別刑事部)が最初から捜査をする場合もありますが、多くの場合は証券取引等監視委員会の「調査」から捜査がスタートし、同委員会が検察庁に告発するという流れで進んでいきます。

3つ目の特徴は、多額の「追徴金」が課せられることがあるということです。追徴金とは、犯罪で得たものなどを没収できない場合に、その相当額の支払いを命じるもので、金融商品取引法違反の場合には、懲役刑や罰金刑に加えて、違法な金融商品取引により得た「利益」と同額の支払いを求められることがあります。しかも、ここでいう「利益」は、違法取引での売却額そのもので算出し、購入額(経費)を差し引かずに計算したりするため、莫大な金額になります。村上ファンドの事件では11億円を超える追徴金が課す判決が出るなど、ときには本人にとって懲役刑や罰金以上に大きな意味を持つこともあります。


2 金融商品取引法違反事件での弁護活動

金融商品取引法違反事件での弁護活動では、上記のような3つの特徴を踏まえた弁護活動が欠かせません。

まず1つ目は、容疑をかけられた方や関係者の方と頻繁に打ち合わせや面会を行い、細かなアドバイスをすることで、弁護人との信頼関係を強固なものとするとともに、できる限り不安を取り除くことです。それまで、刑事手続や捜査などに無縁な人が、一度捜査の対象となると、日常生活が一変して強い不安を抱えてしまいます。そのような中で証券取引等監視委員会や検察庁での事情聴取や取調べを受けると、捜査官の言うとおりにした方が有利になるのではないか、楽になるのではないかという気持ちになり、事実と異なることを話したり、認めたりするケースが少なくありません。
このような事態を防ぐには、とにかく弁護士との信頼関係を深めることが第一であり、そのためには打ち合わせや面会を重ねる他ありません。もちろん、逆に不安を煽るような弁護人からアドバイスを受けても逆効果ですので、誰を弁護人として選ぶのかは非常に重要な要素になります。

2つ目は、証券取引等監視委員会での調査(捜査)の初期段階から、それが難しくともできるだけ早い段階から弁護活動を開始することです。金融商品取引法違反事件は、かなり専門性の高い経済事犯ですが、警察官や検察官が証券取引や経済関係にそれほど詳しいわけではありません。その意味では、証券取引等監視委員会での調査(捜査)段階で、ほぼ事件の「画」が描かれてしまい、これを後でひっくり返すのはなかなか難しいです。また、証券取引等監視委員会の調査時にいったん調書が作成されてしまうと、そのように話をしたという前提でその後の捜査が進むため、誤った内容の調書ができあがってしまうと、これを覆すのも容易ではなく、取り返しがつかない事態になりかねません。
その意味でも、できる限り早い段階で弁護士に相談するべきですし、弁護人としては証券取引等監視委員会の調査段階で勝負が決まるというぐらいのつもり弁護活動を進める必要があります。もちろん、適切なアドバイスをするには、弁護人が問題となっている金融商品取引について十分な理解を深めておく必要があり、そのような理解がすでにあり、あるいは熱心に勉強してくれる弁護士を選ぶべきでしょう。

3つ目は、細かな点まで争うことの重要性です。金融商品取引法違反事件の中にはグレーゾーンといえるケースも多く、一部の取引については違反にあたるとしても、それ以外の取引は違法とまではいえない、という場合もあります。
この点、一般の刑事事件であれば、余罪が5件でも10件でもそれほどの差はないため、余罪の一部だけ争っても時間がかかるだけと判断し、あえて争わないという戦略をとる場合もあります。しかし、金融商品取引法違反事件の場合、追徴金が課せられることが多く、その追徴金の計算としては1件ずつ計算して加算していくことになるため、余罪が5件なのか10件なのかで、結果が大きく違ってきてしまうことになります。その意味では、一般事件とは異なる観点から弁護戦略を考える必要があり、緻密な弁護活動が重要になります。

平成25年10月1日
文責 弁護士 甲木真哉

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