面会交流、実施できていますか?

面会交流、実施できていますか?

2022/03/01

1 面会交流とは

面会交流とは、離婚後又は別居中に、子どもと同居していない親(非監護親)が、子どもと面会等を行うことです。

実務では、基本的に、子どもと非監護親との面会交流は、離れて暮らす親子の交流を深め、子どもの健全な発達に資すると考えられており、離婚時には面会交流の方法等について決めることとされています(平成24年4月1日施行民法第766条1項)。

ただし、ケースによっては、面会交流の実施がかえって子どもの福祉に反する結果を招くこともあります。

面会交流の方法等を決める際には、子どもの利益を最も優先して考慮しなければなりません(民法第766条1項)。

 

2 面会交流の現状

このとおり、基本的には子どもの健全な発達のためには非監護親との面会交流が重要だと考えられていますが、実際に、面会交流を実施できているケースはどの程度あるのでしょうか。

厚生労働省が、5年ごとに「全国ひとり親世帯等調査」という調査を行っています。

平成28年度に行われた調査によれば、平成28年11月時点において、離婚を原因とするひとり親世帯数(20歳未満の子を母・父のいずれかのみで養育している世帯)は、約112万世帯もありますが、そのうち、父との面会交流を実施している母子世帯は約30%にすぎず、母との面会交流を実施している父子世帯も約45%と半数に満たないとの結果が報告されています。

令和3年度に行われた調査の結果はまだ公表されていませんが、このように、ひとり親世帯の多くの世帯で、面会交流が実施されていないのが現状です。

 

3 適切な面会交流の実施のために

(1)面会交流を実施しない理由として、「相手が養育費を支払わないから」という話をよく聞きます。

しかし、養育費の支払いは親の扶助義務から生じるものであり、面会交流とは法的根拠の異なる別の権利・義務ですから、養育費の支払いを面会交流の条件とすることはできません。先ほどお話ししたとおり、面会交流は子どもの健全な発達のために重要と考えられていますので、養育費の支払いとは切り離して、子どものために最善の面会交流方法等を考える必要があります。

(養育費については、別途、調停を起こすなどして請求すべきです。)

 

(2)面会交流を実施しない理由として、「相手と関わり合いたくない」という話もあります。

確かに、特に子どもが幼い間は、監護親・非監護親が連絡を取り合って面会交流の日時・場所等を決め、面会交流実施の際には子どもを送迎して相手に引き渡す必要がありますから、監護親・非監護親が顔を合わせることになります。

しかし、婚姻中にDVがあった事案等、どうしても監護親と非監護親とが連絡を取り合ったり、顔を合わせたりすることが難しい場合もあります。

そのような場合には、親戚や知人に協力をお願いすることや、FPIC(家庭問題情報センター)など面会交流のサポートを行ってくれる機関や弁護士を利用することも考える必要があります。

※ ただし、福岡のFPICは事業を停止することが決まっており、既に面会交流の新規サポートの受付を終了しています。

 

なお、婚姻中の事情から監護親が非監護親に恐怖心を有しているというケースにおいて、直接的面会交流の実施は困難であるとしたうえで、監護親から非監護親に子どもを撮影した写真の送付(年4回)をすることと、非監護親が子どもに送付(年4回程度)した手紙を監護親が子どもに読み聞かせることを命じた裁判例もあります(大阪高裁R1.11.20決定)。

直接的面会交流の実施が困難だと思われるような場合でも、弁護士にご相談ください。

 

(3)最近では、「コロナ感染防止を理由に、面会交流の実施を拒否されている」という話も聞きます。

確かに、感染状況によっては外食をしたり室内遊び場を利用したりしての面会交流を実施するのが難しいこともあるかもしれません。

コロナ禍の面会交流については、法務省のHPでも、一定の期間、ビデオ電話や電話・メールを利用した面会交流方法の実施を検討することもあり得ることが案内されています。

ここでも、子どもにとって最善の方法が何かをよく考えることが必要です。

 

面会交流の実施についてお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

 

令和4年3月1日

文責 弁護士 谷口悠子

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