アーティストの制作活動等に関する法的問題について

アーティストの制作活動等に関する法的問題について

2022/04/13

福岡市によると、今年度、Fukuoka Art NEXT(福岡アートネクスト)をスタートするとのことです。スタートアップカフェのアートバージョンということで、今から大変楽しみですが、アーティストの制作活動を支えるために、マッチングの場を設けるなどの表方のサポートに加えて、弁護士による裏方のサポートも有益と考えます。そこで、今回は、アーティストの制作活動等に関わる法的問題の概略をご説明いたします。

 

1 著作権等の権利侵害の問題

アーティストによる制作活動においては、その自由な発想と芸術的裁量が求められるところ、作品が成立する過程で、トレースやパロディなどの様々な法的問題が生じる可能性があります。

詳しくは、弁護士だよりの「イラストレーターと著作権(無断トレースの問題)」や「著作権侵害事案の弁護」をご参照ください。

最近は、SNSにおいて、法的に著作権侵害に該当するか否かはさておき、「似ている」との指摘を受けて、炎上し、アーティストの制作活動に支障が生じる事例も見受けられます。事前及び事後の炎上対策が必要です。

 

2 契約書の問題

クライアントからの依頼があって作品を制作する場合は、制作委託契約などの契約書を作成してほしいと考えています。

この点に関して、アーティストが画廊(ギャラリー)との間の契約により、専属的制作販売義務を負うこと、他の画廊に直接販売をしたのはこの義務違反であること等によりアーティストが約2億3460万円の損害賠償責任を負うとされた裁判例もあります(東京地方裁判所令和元年9月27日)。

また、アーティストの知名度や魅力があがってくると、本当に欲しい人に作品を届けるための転売対策として、アーティストにおいて、購入者との間で、どのような合意(契約)をするかという戦略も重要です。

一例としては、一定の期間は作品を転売できない合意(契約)をするものも見受けられます。

 

3 相続の問題

アーティストの相続が発生した場合、アーティストがアトリエに保管していた残された作品を誰にどのように承継するのかという将来的な問題があります。特に、作品の価格の安定と上昇のため、一気に市場に作品が流通しないようにしたり、承継者として相応しい者に対して遺贈するなどの対策が必要です。

 

令和4年4月13日

文責 弁護士・弁理士 竹永光太郎

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