昨日、二回試験の発表がありました。

昨日、二回試験の発表がありました。

2011/12/15

弁護士の向原です。

今日は、業務から少し離れて、私たち弁護士になるために
受ける試験のお話をさせていただきたいと思います。

弁護士になるために受ける試験というと、「司法試験」が
パッと思い浮かぶと思います。
確かに、弁護士になるためには、まず、司法試験を受験し
なければならないことになっています。
司法試験に合格すると、周りの人は「よかったねー!これ
で弁護士になれるね!」と言って下さいます。そして、お
そらく、ほとんどの方が、そのように考えておられると思
います。

しかし、これは、厳密に言うと、間違いなのです。

弁護士になるためには、原則として
1 司法試験に合格すること
2 合格後、最高裁が営む「司法研修所」に所属し、指定さ
れた修習地(北は北海道の旭川から南は沖縄の那覇まで)
の裁判所に赴任しての司法修習を受けること
3 そして、司法修習を修了すること
が必要です。これらをすべて完了してから、ようやく、弁護
士として登録する資格が得られるのです(裁判官・検察官に
なるためにも、この司法修習を修了する必要があります)。

つまり、司法試験に合格して得られるのは、弁護士として
登録する資格ではなくて、上記2の、司法研修所に所属して
司法修習を受ける資格なのです。

そして、上記3の「司法修習の修了」とは、司法修習の一番
最後に行われる「司法修習生考試」という試験に落ちないこ
と(合格すること)を意味します。
この、「司法修習生考試」という試験(これも国家試験です)
こそが、司法試験に合格してウキウキな司法修習生を最後に
苦しめる「二回試験」と言われる試験です。

二回試験の試験科目は、司法試験と科目がまったく違います。
司法試験は、憲法・行政法・民法・刑法・商法(会社法等も
含む)・民事訴訟法・刑事訴訟法と法律選択科目(倒産法や
労働法などから一つ選べる)を受験科目としますが、二回試
験は、刑事裁判・民事裁判・検察・刑事弁護・民事弁護とい
う5つの科目を受験科目とします。
司法試験で問われた法律の知識があることを前提に、それを
駆使して、実際にあった事件記録を元ネタにした記録(白表
紙と俗称されます)を用いて、事案解決の練習をするのです。
例えば、刑事裁判という科目では、白表紙に記載された事例
について、「被告人は犯人かについて論ぜよ」という問題が
出されます。
白表紙には、実際の事件記録と同じように、証拠となる書類
が綴られ、その証拠をしっかりと見て、被告人が犯人かにつ
いて論述していくのです。

さて、この二回試験、知力より、体力気力が勝負です。
というのが、1科目あたり、7時間30分の試験時間だから
です。
これが5日間繰り返されるので、体調を崩したりすると、か
なりしんどい戦いを強いられることになります。また、集中
力も必要です。

ただし、二回試験の合格率は、例年90%前後ですから、
落ちることはあまりないのです。
しかし、落ちてしまうと、司法修習を修了したことになり
ませんから、次回の二回試験に合格するまで、弁護士にな
ることができないのです。
すると、もし就職先が決まっていれば、就職先の事務所に
も迷惑をかけてしまいかねないので、絶対に落ちられない
というプレッシャーが二回試験にはあります。

この二回試験の7時間30分×5日間の戦いは、時間の長
さもありますが、プレッシャーとの戦いでもあり、まさに
自分との戦いです。

しかし、弁護士になると、様々な案件を多数かかえるので
一つのことに専念できない状況下で、それでも重要な判断
を次々と下していかなくてはなりません。毎日が戦争のよ
うなものですし、その判断のたびにかかるプレッシャーは
大きいですが、それになんとか耐えていけているのも、こ
の、二回試験という関門があったからかな、と、思います。

今でも、仕事で苦しくなったときは、二回試験のときのこ
とを思い浮かべます。そして、なんとかあれを乗り切った
のだから、大丈夫!と自分に言い聞かせて、前に進むよう
にしています。

平成23年12月15日
文責 弁護士 向 原 栄 大 朗

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