大阪都構想が実現すると、「区」が変身する?

大阪都構想が実現すると、「区」が変身する?

2011/11/28

弁護士の向原です。

11月27日、大阪市長選と大阪府知事選のダブル選挙が行われました。
結果は報道のとおり、市長には橋下徹氏、府知事には松井一郎氏が当選しました。

さて、橋下新市長が掲げる「大阪都構想」。
その目玉の一つは、東京都のような「区」を設けることです。
「あれ?『区』って、福岡にもあるじゃない?何が違うの?」と疑問に思われた方もいるでしょう。

そう思われた方は、鋭いです!

同じ「区」という名前をつけていても、東京都にある「区」と、福岡市や大阪市、その他の政令指定都市にある「区」は、法律上まったくの別モノなのです。したがって、中身もまったく違います。

東京都にある「区」(千代田区や新宿区など)は、法律(地方自治法)上、「特別区」と呼ばれています(根拠は、地方自治法第281条)。
他方、福岡市や大阪市にある「区」(中央区や早良区、大阪市ならば旭区や都島区など)は、通称、「行政区」と呼ばれています(根拠は、地方自治法第252条の20)。

簡単にいうと、特別区は、「市」と大体同じ権限を有していて(同法第281条第2項・第283条)、独自に「区長」を区民が選挙で選ぶことができます(同法第283条・第17条)
他方、福岡市や大阪市にある行政区は、条例によって区域分けされ、必要に応じて区の事務所等を置いただけであり、区長はその事務所の長という位置づけでしかありません。区長は、区民が選挙で選ぶわけではなく、市長が任命します(この点、同法第252条の20第3項)

それだけではなく、「区」が担うべき行政事務の範囲が大きく異なります。これを細かく書くとわかりづらいので詳細は割愛しますが、簡単に言えば、特別区は「市」とほぼ同程度の権限を担うことができます。

つまり、「大阪都」になると、「区」が、これまでの行政区から、特別区に変身するのです!

大阪都構想のそもそもの狙いは、大阪市にあった権限を「区」に委ね、区民=市民により密着した行政サービスを行えるというところにあり、その結果、「大阪市」という行政単位が不要となるので、市と府で少なからず重複していた行政事務をリストラして効率化できるところにあります。

私は、大阪市都島区で出生したので、これが「大阪都都島区」になると、「都」が連続して変になるな、と危惧していますが(冗談です)、大阪都構想の狙い自体は悪くないと考えます。

大阪に帰るたびに、地元が、空テナントや空貸工場ばかりになっていくので、とても寂しく思っていましたが、久々に活気の出そうな話だなと思いました。

平成23年11月28日
文責 弁護士 向 原 栄 大 朗

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