性被害事件(強制わいせつ、強姦事件)の弁護

性被害事件(強制わいせつ、強姦事件)の弁護

2013/03/11

今日は強制わいせつや強姦などの性被害事件について、どうやって弁護活動を行っていくかというお話です。

 

1 強制わいせつ事件、強姦事件について

 
⑴ 13歳以上の男女に対して暴行したり脅迫したりしてわいせつな行為をすると「強制わいせつ罪」が成立し、「6カ月~10年」の懲役となります。このとき、被害者に怪我を負わせたり死なせたり場合には、致死傷罪として「3年~20年の懲役」又は「無期懲役」となります。
13歳以上の女性に対して暴行や脅迫によって性行為を行うと、「強姦罪」が成立し、「3年~20年」の懲役となります。このとき、被害者に怪我を負わせたり死なせたり場合には、「5年~20年の懲役」又は「無期懲役」が科されます。致死傷罪については、強制わいせつや強姦罪が未遂であっても成立します。
なお、13歳未満の男女とわいせつな行為を行ったり、13歳未満の女子と性行為を行うと、たとえ同意があっても強制わいせつ罪や強姦罪になります。また、薬物などで拒否できない状態にさせた上でわいせつ行為や性行為を行った場合には準強制わいせつ、準強姦罪として強制わいせつ罪や強姦罪と同じ刑が科されます。

 
⑵ 強制わいせつや強姦事件にはいくつかの特徴があります。
1つ目の特徴は、被害者が許してくれるかどうかが極めて重要になるという点です。
致死傷罪の場合は異なってきますが、強姦罪と強制わいせつ罪は「親告罪」といって被害者からの告訴がなければ起訴することができません。その意味でも、被害者が告訴を取り下げてくれるかどうかが極めて重要になります。
2つ目の特徴は、性犯罪の被害者は非常に大きな精神的被害を被っている方が多く、被害者の方を更に傷つけることのないようにしなければならないという点です。被害者とどのように接していくかということが重要な課題となってきます。
3つ目の特徴は、強制わいせつや強姦の否認事件では、「合意があった」「合意があったと思っていた」という主張が行われることがあり、合意の有無や合意の有無の認識が問題となることが多いという点です。そのため、弁護方針も含めて慎重に検討する必要があります。

 
2 強制わいせつ事件、強姦事件の弁護

 
強制わいせつ事件、強姦事件での弁護活動では、上記のような3つの特徴を踏まえた弁護活動が欠かせません。

 
⑴ 被害者との示談交渉にあたっては、被害者がそもそも謝罪のために会ってくれないという場合があるため、警察官や検察官にも協力を求めながら謝罪と被害弁償をさせてもらえないかということを根気強く行っていきます。
特に顔見知りでない人が被害者の事件の場合には、今後一切出会うことがないようにする配慮や、住所などの個人情報が被疑者に知られないよう配慮することなどを説明し、少しでも被害者の不安を取り除くようにしていきます。
その上で、被害者に許してもらうために謝罪と被害弁償(慰謝料)の準備を行っていきますが、強制わいせつ事件や強姦事件においてはその金額が軽微な痴漢事件と比べて高額になる傾向があります。
また、被害弁償金の準備にあたって、被疑者が結婚している場合には離婚問題に発展する場合も多いため、妻に協力してもらうことが難しい場合があります。そういった場合には両親や親戚に協力をお願いします。
被疑者段階で、強制わいせつ、強姦罪の場合で告訴が取り下げられた場合には不起訴となります。起訴された後であっても示談が成立した場合には、刑が軽くなる大きな要素となります。

 
⑵ ナンパや顔見知りの場合などに多く見られますが、強制わいせつや強姦にあたって「合意があった」「合意があったと思っていた」との主張が行われる場合があります。
そのような場合には、具体的に現場がどのような状況だったのか、場所、時間帯、被害者との関係、メールがある場合にはその内容などが客観的な証拠として重要になってきます。
客観的な証拠をもとにして最も重要な証拠である被害者の女性の証言 に虚偽部分がないかということを慎重に調査していくことになります。
その結果、被害者の証言の信用性がないとして無罪となる場合もあります。当事務所においても、不起訴や無罪となったケースがあります。
もっとも、このような主張自体が反省していないことのあらわれとみられて量刑の重くなる要素となる場合もあるため、その方針にあたっては被疑者と慎重に検討していかなければなりません。

 

平成25年3月11日
文責 弁護士 矢口耕太郎

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