子ども手当が変わったことをご存知ですか?

子ども手当が変わったことをご存知ですか?

2011/11/14

この10月1日から、「平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法」(以下「平成23年度法」といいます。)という法律が施行されました。
この結果、子ども手当の支給額等の様々な点が変更となりました。
詳細は、厚生労働省のホームページに記載があります。
(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/h23_sochihou.html)
ここでは、支給額等の点は割愛させていただき、わたしたち弁護士の業務と深い関係を持つ場面、すなわち、離婚を前提とした別居の場合における子ども手当の支給対象者が変更されたことに絞って、説明させていただきます。

これまで、子ども手当は、「父又は母のうちいずれか当該子どもの生計を維持する程度の高い者」(平成22年度における子ども手当の支給に関する法律4条2項。ただし同条1項)に支給されてきました。つまり、多くの場合、父親名義の口座に支給されるのが一般的でした。
ところが、この規定のせいで、夫婦関係が悪化し、母と子が父の元を飛び出して別居していても、所得の高い父親が支給対象者となることが多々ありました。
このような場合、家を飛び出した母子は経済的に厳しい状態に置かれるにもかかわらず、子ども手当は父親名義の銀行口座に振り込まれ続け、これを母親の口座に振り込まれるようにするためには、父親の協力が必要でした。
かしながら、夫婦関係が悪化しているときに、父親からそのような協力を得ることなど、あまりにも非現実的であり、この点、批判が強いところでした。
特に子どもと同居している側からすると、別居の経緯にかかわらず子ども手当は子どもと同居している側に支給されることが、経済的に見ても自然とといえるでしょう。

そこで、平成23年度法においては、この点が改善されました。
すなわち、これまでは生計の高い方の親を支給対象とすることにしていたのに対し、これからは、同居している親を優先して支給対象としました(根拠条文と文言は(※)参照)。
したがいまして、夫婦関係が破たんし、母子が夫の元を飛び出して別居したような場合には、母親側が支給対象者となります(ただし、父母が生計を同一にしていると認められる場合=たとえば単身赴任=には、これまでどおり、生計を維持する程度の高い親が支給対象者となります(4条3項かっこ書参照))。
このことにより、夫婦関係の破たんによって離婚協議を行うためにやむなく夫の元を飛び出さざるを得なかった母子が、父親の協力を得ることなく、子ども手当の支給を受けられることになったのです。

別居を選択した母子にとって、子ども手当は貴重な生活財源の一部に充てられることになると思います。
別居というつらい選択をせざるを得なくなったとき、参考にしていただけたら幸いです。

(※)
「前項の規定にかかわらず、子どもを監護し、かつこれと生計を同じくするその父若しくは母又は父母指定者のうちいずれか一の者が当該子どもと同居している場合(当該いずれか一の者が当該子どもを監護し、かつ、子と生計を同じくするその他の父若しくは母又は父母指定者と生計を同じくしない場合に限る。)は、当該子どもは、当該同居している父母若しくは母又は父母指定者によって監護され、かつ、これと生計を同じくするものとみなす」(平成23年度法4条3項)

平成23年11月14日
弁護士 向 原 栄 大 朗

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