大地震災害と経営者の資金調達
2011/03/18今日は、「中小企業の経営者が大地震で事務所や工場が壊れてしまったり、取引が止まったりして急に資金の流れが止まってしまったとき、資金をどうやって調達すればいいのか」という点について、中小企業庁からの情報を参考にして紹介します。
1 まず、日本政策金融公庫の「災害復旧貸付」を利用するという方法があります。
日本政策金融公庫というのは、国が出資している政府系の金融機関です(昔の国民生活金融公庫と中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、国際協力銀行が統合されてできました)。
今、特別相談窓口が設置されていますが、
①事業所または主要な事業用資産について、全壊、流失、半壊、床上浸水その他これらに準ずる損害を受けた旨の証明を市町村等から受けた方(直接被害にあわれた方)
②被害を受けた方の事業活動に相当程度依存しているため、自らの売上が大幅に減少している等で、当該事実に係る証明を市町村等から受けた方(間接的に被害にあわれた方)
については、非常に低い利率でお金を借りることができます。(1000万円までは貸付金利から0.9%が引き下げられています。)
借りることのできる金額も、中小企業向けに上限1億5000万円(基準金利1.75%)、小規模企業向けに同3000万円(同2.25%)と非常に大きいです。
日本政策金融公庫福岡支店と福岡県弁護士会は、去年の11月に相互連携の覚書を交わしています。こういった非常事態の資金繰りについて、弁護士は借金を背負った方については力を発揮できますが、新たに資金を調達したいという方にはあまり力を発揮できません。
銀行に頼らざるをえない場面が多々あります。
資金調達に困っている方は、一度相談してみましょう。
2 また、商工中金も日本政策金融公庫と同様に、1.5億円まで別枠で低い金利で災害復旧貸付を行っています。
3 さらに、事業再建資金について、融資を受けようとする場合、市町村長等から罹災証明を受けた中小企業者に対して、信用保証協会は、別枠で保証するようになりました。
これは100%保証で、保証限度額も無担保8千万円、普通2億円と非常に大きい枠です。
今回の東北大地震は、激甚災害法の「激甚災害」として指定されており、この指定を受けて、国が様々な方策をこれからとっていくことになります。
確認しただけでも、中小企業基盤整備機構の施設の自治体に対する一時提供、被災地の国税納付の延期措置、地方税、手数料、使用料の減免措置といった方策が次々ととられており、今後もどんどん増えていくと思います。
被災した中小企業の経営者の方は、自分だけで抱え込まずに、まずは相談するようにしてください!
平成23年3月18日 文責 弁護士矢口耕太郎