大地震災害と倒壊する危険のある建物

大地震災害と倒壊する危険のある建物

2011/03/19

3月19日の正午時点で、死者と行方不明者が18102人にまでなっているそうです。まだまだ被害が大きくなっていきそうで、本当に胸が苦しくなります。

今日は、倒壊する危険な建物が近くにある場合のお話です。

★今回の大地震によって、隣の家の建物が今にも全部倒れてきそうです。隣の人は違うところに避難してしまったそうで、連絡がとれません。勝手に私が取り壊しても問題はないでしょうか。

一般論としては、建物を壊す権利は所有者であるお隣の人にあるので、取り壊すことはできないことになります。

しかしながら、今にも倒れてきそうで自分のところにも危険が及びそうな場合、また自分でなくてもほかの人に危険が及びそうな場合には、民法の720条の「正当防衛」「緊急避難」行為として違法性がなくなり、例外的に取り壊しても問題がなくなります。

ただ、この場合には、「取り壊す以外に方法がなかった」ことや、「取り壊わさないメリットよりも、取り壊すメリットのほうが大きい」(難しい言葉で「法益の均衡」といいます)といえる場合が必要になりますので、注意が必要です。

隣の人に建物が倒れないような手段をとってもらうように、裁判所に仮処分の申し立てをすることも一応考えられますが、隣の人との連絡が取れない緊急の場合には、実現は難しいです。

★ 今にも倒れてきそうな建物を撤去するように、行政にお願いできないのでしょうか。

災害対策基本法64条という法律があります。そのまま紹介しますと、この法律には、1項で「市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該市町村の区域内の他人の土地、建物その他の工作物を一時使用し、又は土石、竹木その他の物件を使用し、若しくは収用することができる。」と定められています。

要するに、「市町村は、さらなる二次災害を防止するために、応急処置として危険な建物を取り壊すことができる」ということです。

この場合の取り壊すための費用は、行政が負担することになります。

行政にお願いしたほうが、責任の面でも費用の面でも、自分でやるよりはるかにリスクが少ないことになります。

まずは、市町村に連絡して、それでもダメで緊急にしなければならないときに、自分で取り壊すことを検討しましょう!

平成23年3月19日 文責 弁護士 矢口耕太郎

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