10人の真犯人を逃したとしても・・

10人の真犯人を逃したとしても・・

2012/10/27

10人の真犯人を逃すとも
1人の無辜(むこ)を罰するなかれ

 

という言葉があります。
周防正行監督が痴漢冤罪事件について取り上げた映画「それでも僕はやってない」の冒頭でもこの言葉が流れていましたね。

 

これは、「たとえ10人の真犯人を逃したとしても、1人の無実の人を処罰しては絶対にならない」という意味の刑事事件の大原則を示した言葉です。

 

平成4年に福岡県飯塚市で少女2人が殺害され、久間三千年さんが犯人であるとして死刑判決を受けた事件で、捜査段階の鑑定で使われた写真とネガを専門家が分析した結果、「元死刑囚とは異なる第三者のDNA型が見つかった」ということが、再審を請求している弁護団から10月25日に発表されました。

 

久間さんは、この事件について逮捕されてから判決を受けるまで一貫して「自分は犯人ではない」と、犯人であることを否定し続けていました。

 

しかし、死刑の有罪判決が出ました。その後、既に死刑判決は執行されています。

 

実際に第三者のDNAであったことが本当なら、取り返しのつかない事態が生じたことになります。
どのような手段をつかっても、久間さんを生き返らせることはできません。

 

パソコンの遠隔操作事件で、実際には逮捕した4人は無実だったという事件が先日ありました。
この事件では、無実のはずなのに自白した方が複数いました。

 

自白は「証拠の女王」と呼ばれ、起訴されて本人が争わなければほぼ間違いなく有罪になります。
真犯人が名乗りでなかったら、確実に無実の人が処罰される事態が生じていたのです。

 

この時も警察は「真犯人をつきとめる」ということをいっていましたが

 

10人の真犯人を逃すとも
1人の無辜(むこ)を罰するなかれ

 

に照らす限り、問題なのは無罪の人を有罪に仕立てあげてしまったことです。

 

日本には、簡単に無実の人が有罪になってしまう仕組みが存在します。
日本の有罪率は90%を超えていますが

 

否認事件の弁護をしていると
特に無罪判決が高裁で有罪にひっくり返ったときなど、
なんでこの人が有罪になるんだろう?と思うことがあります。

 

判決の内容を聞いていても
実際は大雑把なところで有罪、無罪の印象を決めているんじゃないかなと感じることもあります。

 

外国では無罪になった場合には
検察官側の控訴を認めていない国もあります。

 

法曹三者全員が

 

10人の真犯人を逃すとも
1人の無辜(むこ)を罰するなかれ

 
をしっかり胸に刻んでいきたいですね。

 

もちろん我々鴻和法律事務所の弁護士も
日々刑事弁護を研究して、絶対に無辜の処罰をさせないためにも、能力を高めていきます。

 

ちなみに、今日10月27日は土曜日ですが、10時半からTNCで放送される「CUBE」という番組に、当事務所の甲木真哉弁護士が「どうして自白してしまうのか」等についてコメントします。良かったら見てみてくださいね!

 

平成24年10月27日
文責 弁護士 矢口耕太郎

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