著作権侵害事案の弁護

著作権侵害事案の弁護

2013/06/06

最近も組織内におけるパソコン用ソフトウェアの無断複製による著作権侵害事案がニュースになりました。組織内において、著作権に対する意識が希薄であるためか、従業員が安易に著作権侵害行為をしたことにより、結果的に、組織として、著作権者に対し、高額の和解金を支払わなければならなくなったということも珍しくありません。
今回は、著作権侵害事案における弁護士の役割について、概略をご説明いたします。

 

1.著作権を侵害された可能性があるとして来所された相談者の場合
まずは、弁護士において、著作権の成否(著作物として保護されるか否か)を検討します。
具体的には、思想又は感情に関連するものか否か、創作的であるか否か等です。例えば、客観的な事実やデータや、アイデアそのものは著作権法で保護されません。
なお、日本国民の著作物であれば、その日本人が外国に居住している場合でも、保護を受けられます(著作権法6条1号)。また、日本国民でなくても、日本で最初に発行された著作物は保護を受けることができます(著作権法6条2号)。その他、条約に基づいて、日本が保護の義務を負っている著作物もあります(著作権法6条3号)。

 

次に、著作権侵害の有無を調査・確認します。
著作権の侵害とは、原著作物に依拠して作成され、原著作物と実質的に同一又は類似する著作物について、法律上禁止された行為を行うことをいいます。
具体的には、依拠性については、相手方が原著作物を参考にしたといえるかを、著作物の公表の有無等から真似されてしまうような客観的状況にあったか、相談者と相手方の人的関係から相手方は相談者の著作物を知りうる者であったか等から検討します(偶々、原著作物と同一の著作物を創作した場合には依拠性が認められないことになります。)。また、原著作物との実質的同一性又は類似性については、原著作物の本質的特徴を感得できるか否かを検討します。さらに、法律上禁止された行為か否かについては、私的使用のための複製(著作権法30条1項)といえるか、引用(著作権法32条)といえるかなどを検討します。

 

侵害者による著作権侵害であると判断できれば、著作権者が侵害者に対して取り得る法的措置、すなわち差止請求(著作権法第112条)、損害賠償請求権(民法第709条)等のうち、事案に照らしてもっとも適切な法的措置を助言します。
そして、相談者の代理人として、侵害者に対し、上記法的措置を取り得ることを前提に、任意の交渉や訴訟をしていくことになります。
なお、著作権を侵害した者は刑事罰(懲役又は罰金)を受ける可能性もありますので、侵害者に対する告訴を検討する場合もあります。

 

2.著作権を侵害されたとして通知書等を受領した相談者の場合
この場合も、まずは、弁護士において、著作権の成否や著作権侵害の有無を調査・確認します。
そのうえで、相談者の行為について著作権が成立しない場合や著作権侵害に該当しない場合には、相談者の代理人として、著作権者であると主張する者に対し、的確な反論をするとともに、訴訟を提起されて被告の立場となった場合には、被告訴訟代理人として訴訟行為を行うことになります。
なお、相談者の行為が著作権侵害に該当する場合には、その理由を説明して適切な解決方法を助言するとともに、相談者の代理人として著作権者と交渉を行い、和解等の適切な解決を図ります。

 

平成25年6月6日
文責 弁護士 竹永 光太郎

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