信託って何!?

信託って何!?

2013/08/26

Q1 最近よく「信託」という言葉を耳にしますが、「信託」とは何ですか?

 

A 簡単に言うと、あなたの財産を特定の者に託し、その財産を一定の目的に従って管理や処分などをしてもらうことです。
例えば、あなたが多くの預貯金や不動産を持っているものの、病気で死期が近いとします。あなたは、財産の一部を孫の学費のために使って欲しいと思っていますが、孫はまだ幼く、孫や親に直接渡したくはないと考えています。そこで、あなた(「委託者」)は、信頼のできる者(「受託者」)に財産を移転し、孫(「受益者」)が高校生になったら学費等を支出するよう管理してもらうようにすることができます。

 

Q2 「信託」には、どのような機能があるのですか?

 

A 主に次のような機能があります。
⑴ 意思凍結機能
委託者が意思能力を喪失したり、死亡した場合でも、信託設定当時の委託者の意思を長期間にわたって維持することができます。
⑵ 受益者連結機能
信託受益権を複数の受益者に連続して帰属させることができます。これにより、受益権を本人→長男→孫へと連続して承継させることが可能となります。
⑶ 倒産隔離機能
信託財産は、委託者名義から受託者名義に変わりますので、委託者が倒産しても、その影響を受けません。また、受託者が分別管理等の義務を果たしていれば、受託者が倒産しても、その影響を受けません。
ただし、債務者である委託者が、その債権者を害することを知りながら信託を設定したような場合には、債権者はその信託を取り消すことができます。

 

Q3 「受託者」には誰でもなれるのですか?
A 信託の引受を営業として行おうとする場合には、免許が必要になります。このような信託を「商事信託」と呼んでいますが、例えば、信託銀行などがこれに該当します。
他方、営利を目的とせず、特定の者から1回だけ信託を引受ける場合には、免許は不要ですので、誰でも行うことができます。このような信託を「民事信託」と呼んでいます。

 

Q4 どのような場面で「信託」を活用できますか?

 

A 次のような場面で「信託」を有効に活用できます。
⑴ 事業承継対策
社長が保有している株式を信託し、議決権行使にかかる意思決定権を後継者に、配当金を受け取る権利を他の相続人に与えることで、遺留分に関する争いを防止しつつ、後継者へ事業承継させることが可能です。
⑵ 不動産管理・運用
複数所有している不動産を信託することで、受託者によって不動産の管理を一括して行うことができます。特に相続発生後に複雑な共有関係になっている場合には有効です。
⑶ 相続対策
財産をまずは配偶者に、配偶者が死亡した後は長男に順次承継させることが可能です。将来生まれて来るであろう、長男の子供に財産を承継させることも可能です。
⑷ 老後の生活資金管理
判断能力が十分にある時期において、老後の生活のための財産を信託して、受託者に管理してもらうと同時に、信託契約に任意後見契約も併せて組み込むことで、認知症発症後においても、受託者が本人の身上監護、財産の管理を行うことが可能です。
⑸ 家族の生活支援
自宅や収益財産を信託することで、障がいを持つ子供の扶養、本人死亡後の配偶者の生活支援、内縁の妻に対する生活支援をすることが可能です。

 

Q5 「信託」を設定した場合、税金はかからないのですか?

 

A 信託財産を受託者に移転した時点では、所有権が受益権に転換されただけですので、課税されません。しかし、受益権が移転した場合には、贈与税、相続税などが発生し、課税の対象となります。また、受益者に信託配当がなされた場合にも、配当所得として課税の対象となります。

 

平成25年8月26日
文責 弁護士 野村 俊輔

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