「赤い靴底のハイヒールといえば」
2015/04/01平成27年4月1日、改正商標法が施行されました。
これによって、従前、商標登録ができなかった、色彩のみからなる商標、動き、ホログラム、音などの新しい形式の商標が登録できるようになりました。
色彩のみからなる商標とは、単色又は複数の色彩の組み合わせのみからなる商標であって、輪郭なく使用できるものをいうとされています。
特許庁の「新しいタイプの商標保護制度に関するQ&A」によれば、「色彩のみからなる商標」の例として、商品の包装紙の色彩を付する対象物によって形状を変えて使用する色彩が挙げられています。これに関連するものとして、ティファニーブルーの色彩は、ティファニー(Tiffany & Co)社が米国で商標登録されています。
また、商品等の特定の位置に色彩を付すものも「色彩のみからなる商標」に含まれるため、例として、ゴルフクラブ用バッグのベルトの部分を赤色とすることが挙げられています。これに関連するものとして、2012年に、ニューヨークにおいて、クリスチャン・ルブタン(Christian Louboutin)社が、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)社に対して、同社の靴底を含む全体が赤いハイヒールについてクリスチャン・ルブタン社が有する商標権を侵害するとして提起された訴訟が思い出されるところです。
なお、単一の色彩は、継続的な使用により周知となって識別力を獲得した等の事情がない限り、原則として、本来的な識別力を有しないとされていることには注意が必要です。
赤い靴底のハイヒールといえばクリスチャン・ルブタンを連想するように(赤い靴底の紳士靴もあるようです!)、日本においても、○○色の□□といえば△△といえるようなブランドは少なくないのではないでしょうか。
今後、色彩のみからなる商標については、積極的に商標登録することによって、商標権者となり、登録商標を独占して使用できたり、登録商標と同一・類似の商標の使用を止めさせることができたりします。改正商標法を踏まえて、今一度、ブランド戦略を再検討すべき時期にあるように思います。
平成27年4月1日
弁護士 竹永 光太郎