面会交流拒否と親権者の変更
2015/03/09平成26年12月4日付で、面会交流に母親が非協力的なことを理由として、親権者を変更することを福岡家裁が認めたとの記事がありました。
親権者を定める基準の中の一つに
「面会交流に対する寛容性重視の原則」というものがあります。
これは、親権者になった場合に、きちんと子どもの面会をさせてあげる意向をもっているかどうかという基準です。
決定例でも
東京高等裁判所の平成15年1月20日決定を見ますと
「抗告人との面接交渉について柔軟に対応する意向を示している被抗告人に監護させ,抗告人に面接交渉させることにより,事件本人らの精神的負担を軽減し,父母双方との交流ができる監護環境を整え,もって事件本人らの情緒の安定,心身の健全な発達を図ることが望ましいというべき」
として、面会交流への対応姿勢が親権に影響することを述べています。
ただ、あくまで基準の一つということもあって、今回、面会交流に非協力的なことを理由に、母親から父親へ親権の変更まで認めたというのは、少し驚きました。
「面会交流の合意をしていたのに合意に反した」というのが大きかったのかもしれませんね。
最近、離婚調停や面会交流の申立てをして思うのは
家庭裁判所は面会交流の実現について、前よりも強く実現させようという姿勢を示しているということです。
子どもの視点からみれば、たとえ両親が離婚したとしても、両親双方と関わりながら育っていった方がより良く育っていくということについて
前よりも強く取り組んでいるように感じます。
今回の審判では、「双方が長男の養育のために協力すべき枠組みを設定することが有益。子を葛藤状態から解放する必要がある」とも指摘したそうです。また、親権者は父親だけれども監護権者は母親になっています。
離婚紛争になると、とにかく当事者は子どもの目線を忘れがちになることがあります。
どんなに夫婦がお互いに嫌いになったとしても、面会交流は子どものために実現させなければなりません。
今回の親権者変更という荒業は、子どものことを一番に考えなさい!という裁判所の警告なのかもしれませんね。
文責 弁護士 矢口耕太郎