「ネット選挙運動解禁」をもっと詳しく~誹謗中傷・なりすましの対策~
2013/05/28こんにちは!弁護士の野村と矢口です。
今日は、ネット選挙運動が解禁されて一番懸念されている「誹謗中傷」「なりすまし」について少し詳しくお話します。
以前から、選挙運動中の「誹謗中傷」については
公職選挙法235条2項で
①虚偽事項公表罪
刑法230条、231条で
②名誉棄損罪
③侮辱罪
によって規制されていました。
ただ、インターネットに関しては、情報の発信者がわからないことが多いという特徴があります。
ツイッターや2chでは、未だに有名人のなりすましや誹謗中傷行為が後をたちませんが、誰から誹謗中傷を受けたのかわからないのでは、これまでの対策ではなかなか効果がでません。
今回のネット選挙運動解禁によってこれまでより「誹謗中傷」や「なりすまし」による被害が大きくなることが予想されています。
そこで、今回の改正により
①選挙運動用、落選運動用のウェブサイトには発信者の電子メールアドレス等の表示をする義務を課す
②氏名などの虚偽表示罪の対象にインターネット等を利用する方法を追加
③誹謗中傷記事を削除してもプロバイダ業者に責任が問われないように、プロバイダ責任法の特例として、プロバイダ業者の免責の要件を緩和
が規定されました。
①②の改正により、「なりすまし」をある程度防ぐことができます。
また、一旦誹謗中傷を受けてもそれを急いで削除できるように③を追加しています。
ただ、今回の改正によっても、「誹謗中傷」や「なりすまし」を完全に防ぐことができるわけではありません。
他方でウェブサイト等を使った選挙運動が可能になったので、誹謗中傷などに対してはブログやウェブサイト等で正しい情報を発信したり反論していくことが期待されています。
また、どのような「なりすまし」による被害が出てくるかはまだ不明ですが、法律で防ぐことができない「なりすまし」に関しては、認証サービスなどによって対策を取っていく必要があります。
平成25年5月28日
弁護士・登録政治資金監査人 野村 俊輔
弁護士・登録政治資金監査人 矢口耕太郎