「ネット選挙運動解禁」をもっと詳しく~業者への依頼と買収罪~
2013/05/29こんにちは!弁護士の野村と矢口です!
今日はネット選挙運動と公職選挙法違反事件でもっとも多く検挙されている「買収罪」について少し詳しくお話します。
例えば、ネット選挙運動のためにホームページ業者やコンサルタント業者に対してお金を支払って、ウェブサイト用の文案を作ってもらったり、メールで送る文書を作ってもらったりすることはできるのでしょうか。
買収罪は公職選挙法221条に規定されています。
公職選挙法221条1項1号をみると
「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって選挙人または選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込みもしくは約束をしたとき」は
3年以下の懲役か禁錮、又は50万円以下の罰金とされています。
ただ、公職選挙法197条の2によると
候補者・選挙運動者等の命令・指示に基づいて裁量権のない機械的な仕事に従事する者については、「選挙運動のために使用する労務者」として実費の他に政令の定める基準により報酬の支払いが認められています。
今回のケースも「選挙運動のために使用する労務者」と言えれば報酬を支払うことも許されるということになりそうです。
しかし総務省の見解によると
一般的には
ホームページ業者やコンサルタント業者から助言や企画立案を受けて選挙運動用のウェブサイトやメールの文案を作ってもらったりする行為は、業者が主体的・裁量的に企画作成しているといえると考えているようです。
ですから、原則として「選挙運動のために使用する労務者」には当たらないものとして、買収罪に該当します。
ただ、機械的に候補者の側で作った文章をそのままウェブサイトに載せることを業者に依頼する分には大丈夫です。
ホームページのことがよく分からないからといって業者にお金を支払って全部やってもらおうとすると、買収罪として本末転倒になる危険があります。
平成25年5月29日
文責 弁護士・登録政治資金監査人 野村 俊輔
弁護士・登録政治資金監査人 矢口 耕太郎