飲酒運転に関する事件の弁護活動

飲酒運転に関する事件の弁護活動



1 飲酒運転に関する事件の特徴

飲酒運転によって成立しうる犯罪としては、道路交通法違反117条の2の2第1号(酒気帯び運転)や同法違反117条の2第1号(酒酔い運転)がありますが、飲酒運転で人を死傷させた場合には、自動車運転過失致死傷罪(刑法211条第2項)や危険運転致死傷罪(刑法208条の2 第1項)が成立する可能性があります。
飲酒運転により人を死傷させた場合に成立しうる犯罪の特徴として次のようなものが挙げられます。

(1)行為態様について

自動車運転過失致死傷罪は、文字通り過失犯であり、簡単に言うと、「不注意」によって人身事故を起こしてしまったというケースに適用されます。
他方、危険運転致死傷罪は故意犯であり、「罪を犯す意思」がなければなりません。つまり、「アルコール…により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ」たことについての認識がなければなりません。
この立証は捜査機関にとってもハードルが高い物であり、比較的新しい犯罪類型であることもあって、その適用範囲についてはいまなお議論があるところです。

(2)法定刑について

自動車運転過失致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金であり、過失が重い場合には、前科前歴がなくても実刑判決になることがあります。
危険運転致死傷罪の法定刑は、負傷させた場合で15年以下の懲役、死亡させた場合で1年以上20年以下の懲役と定められています。自動車運転過失致死傷罪では、仮に被害者が亡くなったとしても法定刑が最高でも7年の懲役刑であったことから、飲酒運転を含む危険運転行為に対する厳罰化の一環として、新たに法定刑が重い危険運転致死傷罪が新設されました。危険運転致死傷罪では、自動車運転過失致死傷罪と比較してより一層、前科前歴がなくとも実刑判決になる可能性が高い傾向にあります。

(3)このように、危険運転致死傷罪は飲酒運転に対する厳罰化の一環として設けられたものの、法解釈や事実認定において難しい問題を含んでおり、裁判例の動向にも精通した弁護人に依頼することが大切であるといえます。

2 飲酒運転に関する事件での弁護活動

(1)事故態様の把握

まずは、弁護人として被疑者と打合せや面会を通じて事故態様について把握することが重要です。
危険運転致死傷罪は故意犯であるため、飲酒の影響により的確な運転操作が難しい状況にあることを自覚しながら自動車を運転していることが必要です。この「自覚」というのは、単に被疑者の供述だけではなく、事故現場の状況、蛇行等の運転状況や運転前の飲酒量、飲酒検知結果等から認定されます。
したがって、弁護人としては事故態様を把握する必要があるため、事故現場に赴くことはもちろん、目撃者や一緒に飲酒していた方から事情を聴取します。
時間が経てば経つほど証拠が散逸してしまいますし、人の記憶力も低下しています。着実な証拠収集をするためには初動が肝心なので迅速に行動します。

(2)取調べへの対応

被疑者段階において特に重要な弁護活動としては、取調べにおいてどのような自白調書をとられているかということを把握し、今後の取調べではどのような点に注意すべきであるか助言することです。
危険運転致死傷罪は、飲酒の影響により的確な運転操作が難しい状況にあることを「自覚」しながら運転することを要するので、捜査機関は、その「自覚」を裏付ける調書をとろうとします。捜査機関に対して「酒に酔って歩けないほどふらついていた」などと安易に自白することがないよう、危険運転致死傷罪の罪質や取調べに対する対応の仕方を弁護人から接見時に助言を受けることは極めて重要といえます。
このように安易に不利な自白をとられないことによって、逮捕罪名が危険運転致死傷罪であったとしても、自動車運転過失致死傷罪に落として起訴される可能性もあります。危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪とでは法定刑が異なるだけでなく、執行猶予になる可能性も大きく異なるため、何罪で起訴されるかは今後の裁判において極めて重要です。

(3)身柄解放に向けた活動

逮捕・勾留された後、起訴されると長期の身体拘束を余儀なくされます。長期の身体拘束は精神的に苦痛なだけでなく、仕事面や家庭面でも重大な不利益を被るおそれがあります。
不当な身柄拘束を阻止するためにも,家族や時には勤務先に連絡をとったり、保釈の申請をしたりするなど,迅速な弁護活動が要求されます。

(4)減刑・執行猶予に向けた活動

起訴された場合には減刑・執行猶予の獲得に向けた活動が重要です。危険運転致死傷罪で起訴された場合には、自動車運転過失致死傷罪と比較して統計的に執行猶予率が低下すること自体は否定できませんが、被害者に対する謝罪や保険金以外の金銭の支払い、自動車の処分といった具体的な活動が重要であることに変わりはありません。
また、危険運転致死傷罪は、前述のとおり法解釈・立証の面で難しい問題を含んでいるため,弁護人においても事案に応じて適切な主張・立証を行う必要があり、公判での弁護活動が減刑や執行猶予の獲得に結び付くことは言うまでもありません。
平成24年11月11日

文責  弁護士 大塚祐弥

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