相続財産管理人

相続財産管理人

2013/07/26

1相続財産管理人が必要となる例
例えば,未婚の子が亡くなって,多額の借金があることが発覚し,父母その他の相続人全員が相続放棄の手続きをとった場合を想定してみます。子は,父名義の自宅の敷地内に子の名義の車を持っていたとしま す。父母は相続放棄をしているので,車を処分することはできません。しかし,車をそのままにしておくと,敷地の利用が妨げられるなど,不都合が生じることが考えられます。
また,別の例として,自宅が夫婦の共有名義になっている状況で,妻が多額の借金を抱えたまま亡くなった場合,夫は相続放棄の手続きを選択することとします。妻には親族がいない場合,または親族がいても全員が相続放棄をした場合,夫が自宅を売却したいと思っても,自己の持ち分を売却することしかできません。そのため,買い手が見つからない可能性が高いでしょう。
以上のような場合に,相続財産管理人選任の申立を行って,子や妻の財産を処分してもらうという解決の仕方が考えられます。

 

2相続財産管理人とは
相続人の存在・不存在が明らかではない場合(相続人が全員相続放棄をして,結果として相続する者がいなくなった場合も含まれます。),相続財産を管理するために,利害関係人又は検察官の請求によって,相続財産管理人が選任されます(民法第951条,952条1項)。
利害関係人とは,相続財産の帰属について利害関係を有する者のことをいいます(同法952条1項)。具体的には,相続債権者,特定受遺者,相続財産上の担保権者,特別縁故者,相続財産の保管者などです。
相続財産管理人は,相続財産を調査し,相続債権者等に対して弁済を行うなどして相続財産を清算し,残余財産があれば国庫に帰属させるという手続きを行います。
相続人がいる場合でも,利害関係人又は検察官の請求によって,相続財産の保存のため,相続財産管理人を選任できます(918条2項,3項)。

 

3申立に必要な書類等
相続財産管理人を選任してもらうためは,家庭裁判所に申立を行う必要があります。
相続人不存在の場合で福岡家庭裁判所本庁に相続財産管理人の選任を申し立てる場合は,申立費用のほか,相続財産管理人の報酬を確保するために,予納金を裁判所に納める必要があります。予納金の額は,事件ごとに異なります。
相続財産管理人選任の申立を行うためには,申立書を作成する必要があるほか,被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書),被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)などの書類を用意する必要があります。

 

平成25年7月26日
文責 弁護士 石田優紀

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