弁護士業務におけるIT活用例

弁護士業務におけるIT活用例

2014/04/30

弁護士の是枝(これえだ)です

 先日、福岡県弁護士会の月報にITコラムとして寄稿した文章がありましたので、一般の方に向けて若干の改訂をしたうえで、弁護士だよりとして投稿します

 今回は、私が取扱う機会の多い投資詐欺に関連して、実際の業務で活用しているITについて紹介させていただきます
 弁護士がどこまでやるべきかという問題はあるものの、一つの情報を端緒に様々な情報を収集するよう、努めています

1 Google https://www.google.com/
・業者や関係者が運営しているサイト等
 インターネット唯一神Googleの手にかかれば、業者や関係者に関連して、各種報道から、国や地方自治体による発表、弁護士や被害者等による情報提供や評判、業者が過去に出していた求人情報まで、様々な情報を得ることができます

2 Internet Archive https://archive.org/
  ウェブ魚拓 http://megalodon.jp/
・過去のサイトの状態や記載内容の記録(過去ログ)
 Internet Archiveでは、自動収集された過去ログの一部を見ることができます
ウェブ魚拓では、自ら保存することができるほか、利用者により既に保存された過去ログがあればそれを見ることができます

3 総務省 http://www.soumu.go.jp/
・固定電話や携帯電話の番号の割当先として指定された電気通信事業者
 業者の使用している固定電話や携帯電話等の番号が判明している場合、当該番号の割当先として指定された電気通信事業者に対して弁護士会照会をすることが有用な場合がありますので、事前に総務省のサイトで電気通信番号指定状況を確認しています

4 JPRS WHOIS /JPRS http://whois.jprs.jp/
  aguse.jp: ウェブ調査 http://www.aguse.jp/
・サイトの運営者に関する情報
 WHOIS(フーイズ)とは、簡単に言えばウェブサイトの運営者を把握する方法の一つで、実際にやっていただいた方が分かりやすいと思います
 例えば、JPRS WHOIS /JPRSで、http://www.fben.jp/のドメイン(fben.jp)をもとに検索すると、登録者名(福岡県弁護士会)等の各種情報が表示されます
 業者のサイトのドメインをもとに検索することが有用な場合があります

5 日本郵便株式会社 http://www.post.japanpost.jp/
・郵便物の配送状況に関する情報
 業者に対して登記や住民票上の住所に郵便物を送付しても、業者が郵便物を転送させる等して、業者の実際の居所を掴むことが困難な場合があります
 郵便追跡サービスを確認することで、郵便物の配送状況に関する情報を把握することができますので、業者の実際の居所の参考になることがあります

6 登記情報提供サービス【有料】 http://www1.touki.or.jp/
・法人の登記の有無や代表者の氏名・住所に関する情報
・法人の所在地や代表者の住所の不動産に関する情報
 いずれも法務局で取得することのできる情報ですが、探索的に業者に関する情報を収集する際、検索機能により効率的に情報を収集することができます
 もっとも、認証文言は付記されていないので、裁判所に附属書類として提出する際は、法務局で認証文言付記謄本を取得する必要があります

7 官報情報検索サービス【有料】 https://search.npb.go.jp/kanpou/
・業者や関係者に関連する官報公告に関する情報
 業者や関係者の氏名等で検索することで情報が得られることがあります
 もっとも、同姓同名の方に関する情報にすぎない可能性もあるので、業者や関係者の属性と官報公告の公告内容を対照する等、内容情報の関連性を十分に吟味する必要があります

8 振り込め詐欺救済法に基づく公告トップページ http://furikomesagi.dic.go.jp/
・犯罪利用預金口座等に係る取引停止等の措置の有無や状況等
 業者や関係者に関して措置がなされているか情報が得られることがあります

9 その他
・業者や関係者が利用しているSNSサイト
 但し、SNSサイトは、全体(不特定多数)に対して公開されている部分ではない部分(友人のみ公開やサイト内のメール等)について、閲覧等がプライバシー権の侵害となる場合もありますので、慎重さが求められます
・業者が加盟している業界団体のサイト
・被害回復に取り組む弁護士のメーリングリスト

 弁護士は、当然ながら、捜査機関等に比べ強い権限があるわけでも組織的な体制があるわけでもありませんので、弁護士会照会で回答が得ることができなかったり情報収集に十分に注力することができなかったりするのが実情です
 しかしながら、投資詐欺について、被害回復のための前提として、業者や関係者の氏名・所在等や資産の保有状況等を把握することが重要ですし、捜査機関に動いて貰えるようにするための前提となる情報や資料を集める必要もあります
 そして、弁護士は、職務上請求による戸籍等の取得や弁護士会による公私の団体に対する照会(弁護士会照会)の申請等、一般の方にはない権限が与えられています

 そこで、私は、職務上請求や弁護士会照会の効果を十分に発揮すべく、実際の業務にITを活用しており、上記のとおりその一部を紹介させていただいた次第です

平成26年 4月30日
文責 弁護士 是枝秀幸(これえだ・ひでゆき)

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