多重債務

多重債務

取扱分野

  • ・自己破産
  • ・個人再生
  • ・債務整理、過払返還請求
  • ・特定調停
  • ・保証人になった場合の債権者の対応

債務整理が必要になる場面

借金の返済を、他社からの借り入れでまかなうようになるなど、自分の収入のみでは返済できる状態になくなった場合、債務整理が必要になります。

債務整理をするにはどのような方法があるか

「任意整理」「民事再生」「破産」という3つの方法があります。

1.
任意整理とは、債権者とそれぞれ話し合って、債務の減額・分割払いなどの交渉を行うことです。
 任意整理の場合,若干の債務が残ることがありますが、その債務がご自身の収入では支払いきれないと思われる場合、法的整理(民事再生または破産)を選択し、法律的に強制的に債務を減額・消滅させる手続を選択することになります。
2.
民事再生とは,法律で決められた基準にしたがって債務の一部を数年間(多くは3年間)で分割弁済することで、残りの債務を消滅させる方法です。
3.
破産とは,破産する方の財産をお金に換え、それを債権者に分配して,残余の債務を消滅させる方法です。
どの方法をとるべきかについては、持っている財産・債務の額・収入などから判断することになります。

具体的な手順

債務整理事件を受任した後,債権者に対し弁護士名で弁護士が介入した旨の通知を送付し,債権者からの請求をストップさせるとともに,債権額の調査を行います。
同時に、依頼された方の財産状態を開示していただき、判明した債権額とを照らし合わせて、「任意整理」「民事再生」「破産」のうち、依頼された方の経済的再起更生に最適な方法を選択します。

破産について

債務整理の方法のひとつに、破産という方法があります。
破産手続とは、とても簡単に説明すると、「今ある借金や財産をすべて開示し、その財産のうち債権者の分配の対象にしなければならない財産についてはすべてお金に換えたうえで、債権者が平等に分け合うこと」です。
債権者の分配の対象にしなければならない財産は、法令や裁判所の運用で決められています。
生活に必要な動産や給料の4分の3は、破産してもなお自らの財産として確保することが許されている財産です。 

債務整理に入ってから完了するまで

よく「どの程度時間がかかりますか?」というご質問を受けますが、これは事案によって様々です。早ければ半年程度で終結することもありますが、長ければ1年を超えることもよくあります。
ただ、債権者との交渉等は弁護士に一任していただくため、直接債権者と応対する必要はありません。また、手続が長引いても、その間はほぼ普通に生活していただくことが可能です。(ただし、手続進行にご協力いただくため、情報を提供していただいたり、ご説明いただく必要はあります)

債務整理が完了したら

任意整理の場合は、債権者との間で結んだ和解に従った弁済(あるいは過払金の受領)をしていただくことになります。
破産の場合は、免責許可を受けられたら、以後はそれまでの借金から原則として開放された新しい生活を送っていただくことになります。
再生の場合は、再生計画認可決定を受けられたら、以後は債務が圧縮され、再生計画によって定められたとおり残りの債務を弁済しつづけていただくことになります。
このようにして、経済的再起更生を図ることが可能となるのです。 

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多重債務のQ&A

多重債務を整理する方法について
Q1 借金を整理する方法にはどのようなものがありますか?
通常の方の場合,
①任意整理
②個人再生
③破産という方法があります。
①任意整理とは,債権者とそれぞれ話し合って,債務の減額・分割払いなどの交渉を行うことです。任意整理の場合,若干の債務が残ることがありますが,その債務が,ご自身の収入では支払いきれないと思われる場合,法的整理(②個人再生または③破産)を選択し,法律的に強制的に債務を減額・消滅させる手続を選択することになります。
②個人再生とは,法律で決められた基準にしたがって債務の一部を数年間(多くは3年間)で分割弁済することで,残りの債務を消滅させる方法です。
③破産とは,破産する方の財産をお金に換え,それを債権者に分配して,残余の債務を消滅させる方法です。
どの方法をとるべきかについては,持っている財産・債務の額・収入などから判断することになります。
Q2 任意整理という方法について,もう少し詳しく教えてください。
まず,弁護士から債権者に対して,弁護士が介入したこと・請求を一時ストップしてもらうこと・取引経過を開示することを,文書をもって求めます。その後,債権者から送られた取引経過を,利息制限法に照らして,事務所において改めて計算し直します。その結果,もし利息の払いすぎがあった場合には,債権者に対して,払いすぎた金利を返すよう請求します。他方,もし債務が残る場合には,債権者に対して減額を求めたり,無理のない範囲での分割払いを求めるなどの交渉を行います。
Q3 個人再生という方法について,もう少し詳しく教えてください。
ひとことで言えば,
①5000万円以下の債務(住宅ローンを除きます)を負う人で,かつ,
②将来において継続的に収入を得る見込みがある人について,債務の一部を減額してもらい,残った一部を分割して支払う計画(再生計画)を立てて,裁判所の承認を得る手続です。
Q4 破産という方法について,もう少し詳しく教えてください。
破産する方の持っている財産を原則としてすべてオープンにして,お金に換え,そのお金を債権額に応じて債権者に平等に分配し,それでも返しきれなかった残りの債務を免除してもらう(免責)手続をいいます。もっとも,福岡地方裁判所の運用では,原則として持っている財産が50万円を下回る場合には同時廃止事件となり,この場合には財産を換価せずに免責手続をすることになります。
Q5 貸金業者から,「あなたの夫が金を借りたが返さない。あなたは夫婦なんだから,夫の借金を返してくれませんか」と言われました。私は払わなければならないのですか?
あなたが保証人になっていない限り,原則として返す必要はありません。このような取立行為は法律違反となり(貸金業法21条7号)営業停止などの行政処分の対象になります。但し,夫(妻)が生活の必要上した買物の借金が,日常家事債務(民法761条)に含まれると判断される場合には,例外的に返さなければならないことがあります。
Q6 ヤミ金※からお金を借りてしまいました。金利が高すぎて返しきれません。元本だけでも返さないといけないのですか?
※ヤミ金とは…簡単に言えば,
①貸金業登録番号が示されていない業者
②携帯電話で営業している業者
③年利29.2%を超える業者がこれにあたります。
なお,零細事業者を顧客とするいわゆる日掛金融(更新回数カッコ内に「N」が入っている業者。例えば,「福岡県知事(N3)第01234号」)については,年利54.75%(日歩15銭)まで認められています。ヤミ金から受け取ったお金は,借りたことになりません(貸金業法42条,民法90条)。そもそも貸し借りではないのです。
そして,そのお金は,不法な原因に基づいて交付されたお金ですから,返却の必要もありません(民法708条1項)。
破産について
Q1 破産したら,どんなメリットがあるのですか?
主なメリットとしては,免責が挙げられます。免責というのは,債務者から債務弁済の責任を免れさせる手続です。
破産のデメリットについて
Q1 私は会社員ですが,破産すると会社を解雇されるのですか?
破産したことのみを理由とする解雇は,法律上,原則として認められません。なお,破産する方が,お金を直接扱う部署におられるような場合には,別の部署への配置転換をされることが考えられます。ただし,法律に定められた破産による資格制限(Q2をごらん下さい)により,仕事ができなくなるような場合には,解雇の可能性がありえます。
Q2 破産したら,できない仕事があるのですか?
破産手続開始から復権まで(破産手続開始決定から約3ヶ月~半年,ただし財産を分配する必要がある場合にはそれが終了するまで)の間,一部の仕事が制限されます。制限を受ける主な仕事としては,警備員・生命保険募集人及び損害保険代理店とその役員、建築士、宅建業などがあります。
Q3 破産したら,全財産を取り上げられるのですか?
  • 全財産を取り上げられるわけではありません。例えば下記のような財産は原則として取り上げられません(お住まいの地域の裁判所によって,基準額についての運用が異なる場合がありますので,ご注意下さい)。
  • ・ 99万円以下の現金
  • ・ 基準額以下の預貯金(福岡では残高合計20万円以下)
  • ・ 処分見込額が基準額以下の自動車(福岡では処分見込額合計20万円以下。ただし、初年度登録から5年を経過した車で、外車又は排気量2500ccを超えない車は、処分見込額0円とみなされます)
  • ・ お住まいの賃貸住宅の敷金
  • ・ 破産時点での退職金支給見込額の8分の7
  • ・ 生活に必要な家財道具
  • ・ その他、差押えを禁じられている動産・債権
  •  もっとも,これに該当しなくても,裁判所や破産管財人が適当と判断した範囲の財産は,破産者に返却されることがあります。他方,総財産が一定基準額(福岡の場合は50万円)に満たない場合は,破産手続開始決定と同時に破産手続は終了します(免責手続は引き続き行われます)。手持ちの財産はそのまま継続してご使用できます。もし総財産が50万円を超える場合は、裁判所が、破産管財人(弁護士が選任されます)を選任し、破産者の財産を管理(場合によっては売却換金して債権者に分配)することになります。
Q4 破産したら,信用事故情報(ブラックリスト)に載るのですか。また,載るとどうなるのですか?
そもそも、俗にブラックリストと言われているのは、顧客が契約通りの返済ができなくなった場合(たとえば、破産・民事再生・長期の延滞)に、その顧客への重ねての貸出を防ぐため、金融機関同士で提携して作られた信用情報機関(全銀協やCIC、JICC)にその情報が登録されます。この状態が、いわゆる「ブラックリストに載った」状態です。もしこのような状態になると,一定期間、カードを作ったり融資を受けたりすることが困難になります。
Q5 破産すると選挙権を失うのですか?
失いません。選挙権は憲法に定められた国民の権利ですから,財産状況を理由にこれを制限することはできません(憲法44条)。
Q6 破産すると戸籍に載るのですか。また、外部の人や家族に知られるのですか?
戸籍には 載りません。ただし、官報に掲載されます。しかし、一般の方が官報を見ていることはまずありませんし、仮に会社が官報を見ていて破産の事実が発覚したとしても、それだけでは解雇するなどの不利益を及ぼさせることは原則として許されていません。他方、市町村が管理する破産者名簿に載せられる場合があります。しかし、破産しても常に名簿に載るわけではなく、平成16・11・30民三第113号最高裁民事局長通達により、免責許可が下りなかったなどの例外的な場合しか載せない扱いとされています。そして、破産者名簿は、身分証明書を市町村役場が発行する場合のチェックを目的とする名簿(たとえば、弁護士になる人は、弁護士会に提出するためにこれを発行してもらう必要があります)であって、本人以外は見ることが出来ません。
破産手続について
Q1 個人破産にかかる費用はどのくらいですか?
状況に応じて異なりますが,一般的にかかる費用は以下の通りです。
①弁護士に支払う申立手数料
※法テラス(日本司法支援センター)による費用の立て替えを受けられる場合があります。
事件の規模(債権者数や負債・資産の額)に応じて異なります。
ただし,非事業者である個人様につきましては,当事務所では31万5000円~(法テラスによる立替を利用する場合を除く)とさせていただいております。 ②印紙代・切手代等の実費
※法テラス(日本司法支援センター)による費用の立て替えを受けられる場合があります。
③予納金
※原則として,法テラス(日本司法支援センター)による費用の立て替えの対象となっていません。但し,生活保護受給者は立替を受けることができるようになりました。裁判所に納める費用であり,破産管財人が選任されない同時廃止事件の場合,福岡地裁本庁においては,10,290円となっております。破産管財人が選任される場合には,事件の規模により異なりますが,約20万円~必要となります。
Q2 弁護士に,破産を依頼しようと相談に行きましたが,その後,今日の生活費が足りなくなりました。消費者金融でお金を借りようと思うのですが,許されますか。また,欲しいものがあったので,クレジットカードで買い物をしようと思うのですが,許されますか?
どちらも厳に謹んでください。破産を申立てる直前は,もう借金を返済できない状態に陥っていると見られますから,そのような状態で借金(カードでのショッピングも含む)をすることは,いわばその借金を支払わないことをわかっていながらお金を借りたとみなされる危険があります。もしそのようにみなされてしまうと,免責が認められなくなる可能性がありますし(破産法252条1項5号),他方,そのような状況でお金を借りる行為が詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性もありえます。
Q3 破産せざるを得ないと思い,どうせ破産すれば借金は消えるのだから,持っているカードでどんどん電化製品を買ったり,借入を増やしたり,あるいは自分の預貯金を親族名義の口座に移し替えたりしようと考えたのですが,このような行為は問題ないですか?
こういう方法は極めて悪質であり,免責が認められなくなる可能性が高くなります(破産法252条1項1号,5号等)。また,詐欺破産罪(同法265条)や詐欺罪(刑法246条)等の犯罪に該当する可能性があります。そもそも,破産は,債権者間の公平・平等を守ったうえで,債務者の財産を適正かつ公正な清算を図るがゆえに,債務者に経済的再起更生の機会を与えるべく債務弁済の責任を免れさせる(免責)することが正当化されるものです。したがって,上記のような方法で故意に債権者の損害を拡大させたり,財産を隠匿して切り抜けようとすることは,あってはならないことです。
Q4 近いうちに弁護士に破産申立を依頼したいと考えているのですが,債務の中に,知人から借りたお金があり,しかもこの借金には連帯保証人もいるので,知人と連帯保証人に迷惑をかけたくないから全額を返済しようと思いますが,許されるでしょうか?
それは許されません。破産手続開始決定後は,原則として,一部の借金だけを優先して返済することは禁止されています(破産法100条1項)。また,破産手続開始決定前であっても,支払不能となった後に一部の人に対してだけ優先して借金を弁済してしまうと,破産管財人から否認権を行使され,弁済を受けた債権者に対して返還請求がなされる場合もあり(同法162条等),さらに,免責が認められないおそれがあります(同法252条1項3号)。破産手続は,各債権者による個別取り立てを禁止し(破産法100条1項),いわば早い者勝ちを許さないこととすることによって,債権者間の平等を図るものだからです。したがって,破産を決意ないし弁護士に相談・依頼した後の借金の返済は,厳に謹んでおくべきです。それでもその知人が取立に来る場合は,弁護士に連絡するように説明してください。
Q5 いま手許で使っている車を使い続けたいのですが,どうしたらよいですか?
ローンが残っていない場合と残っている場合で異なります。
(残ローンのない場合)
まず,管財人の選任されない同時廃止事件か,管財人の選任される管財事件かで異なります。福岡地方裁判所の運用基準では,現金・預貯金・生命保険解約返戻金・自動車など,裁判所の指定する一定の財産総額が50万円未満であれば同時廃止事件となりますので,これらの基準に従って同時廃止事件となれば,車を使い続けることは可能です。他方,管財事件になった場合,福岡地方裁判所の運用基準では,下取価格の査定が20万円以下(なお,福岡地裁の運用基準では,初年度登録から5年を経過した自動車は,外車又は国産でも排気量2,500ccを超えるものでない限り,0円として計算されます)であれば,そのまま車を維持することが可能です。この査定には,中古車業者等が作成した「査定書」を破産申立の際に提出して対応します。
(残ローンのある場合)
債務整理に弁護士が介入した旨の通知を送ると,通常,ローン会社から,車の引き揚げを求められます。この場合,
・ローン会社が車を引き揚げる
・ローン会社において価格を査定し,売却する
・ローンの残りから,売却金額を差し引いた残額の債務を裁判所に届け出る(ただし,車の代金がローンを上回る場合,そのお金は返金されることになりますので,その返金額を届け出る。
これは基本的に債権者への分配に充てられるべき財産となるので,その返金額を裁判所に届け出る)ことになります。という流れになり,原則として車は手放さざるをえないことになります。
Q6 破産を申し立ててから,手続がすべて完了するまで,どのくらいの期間が必要ですか?
事案によりますが,
①総財産が一定基準を下回る(福岡地裁の場合50万円未満。ただし裁判所によってこの基準額は変わることがあり得ます)同時廃止事件の場合,破産手続開始決定と同時に手続が終結しますが,以後は免責のための審理がすすめられることになります。これらがすべて確定するまでは,概ね申立から約3カ月ないし6カ月程度です。
これに対し
②総財産が一定基準を超える場合には,その財産をお金に換えて(換価手続),場合によっては分配(配当手続)を行うことになりますから,その進行度合いによって,要する期間は異なります。また,借金の理由が,ひどい浪費など免責不許可事由に該当するような場合には,管財人を選任して徹底した調査を行うため,時間がかかる傾向があります。しかし,破産手続に入ったら,以後は債権者からの請求も止み,執行手続も停止しますので,手続の行方を見守りながら,通常通り生活していただくことが可能です。
免責について
Q1 自己破産すると,すべての借金を払わなくてよくなるのですか?残る債務はあるのですか?
  • 免責許可決定が確定すれば,法律の規定する一定の債務を除いて,全ての債務が免責される,すなわち,支払う責任を免れます。法律の規定する免責されない債務(支払う責任が残る債務)には,次のようなものがあります。これらの債務は免責許可決定が確定しても,支払が残りますので,注意する必要があります(破産法253条)。
  • ①税金などの公租公課の請求権
  • ②養育費・扶養義務に基づく請求権,婚姻費用請求権
  • ③積極的に害を加えようとする意図をもってした不法行為に基づく損害賠償請求権
  • ④故意または重過失によって生じさせた,人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
  • ⑤破産者が個人事業者などである場合,雇っていた人の給料や預り金の請求権
  • ⑥破産者が,債務があると知っていたのに債権者として届け出なかった人の請求権
  • ⑦罰金などの請求権
  • 特に,税金等は,話し合いによって分割払いにしてもらう余地も全くないわけではありませんから,きちんと話し合いをすることをお勧めいたします。
個人再生について
Q1 私は10年前に家を購入し、現在も住宅ローン返済中です。住宅ローン以外にも800万円ほどの借金があるのですが、不況で給料が減額されて返済が困難となってしまいました。しかし、家を失いたくないため破産はしたくありません。個人再生という手続きがあると聞いたのですが、どのような制度でしょうか?
個人再生とは、平成13年4月に作られた制度であり、簡単にいえば、裁判所を通して借金の額を減額し、残額を分割して支払っていくこととする制度です。破産をすると財産が清算されてしまうため所有不動産は手放さなければなりませんが、個人再生の場合は清算が行われないので、基本的に自宅を失うことはありません。住宅ローンが残っていても、自宅を手放さなくて済む場合があります。また、破産の場合の免責不許可事由のような制限はありません。ただし、ギャンブル・浪費等を行っていたということが、再生計画の履行可能性の1つの考慮事由とはされます。
なお、個人再生には、
①小規模個人再生手続、
②給与所得者等再生手続の2種類があります。
小規模個人再生について
Q1 小規模個人再生手続とはどのような人が利用できる制度ですか?
  • 小規模個人再生手続の要件は以下のとおりです。
  •   ア 個人の債務者であること
  •   イ 破産の原因(支払不能等)の生じるおそれがあること
  •   ウ 再生債権の総額(住宅ローン債権・別除権の行使によって弁済が見込まれる債権を除く)が5000万円を超えないこと
  •   エ 将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること
  • なお、再生計画案に反対する債権者の数が全債権者数の半数未満で、かつ、反対する債権者の総債権額が債権全額の2分の1以下であることが必要です。
Q2 小規模個人再生手続を利用した場合、どのくらい借金額を減額してもらうことができるのですか?
  • 個人再生はある程度の金額を債権者に弁済していくことが前提ですので、破産した場合に債権者に配当される額よりも多くの額を債権者に支払うことが必要とされています(「清算価値保障要件」)。また、最低でも債権者に弁済すべき金額が、以下のとおり定められています(民事再生法第231条)。
  •   ア 債務の額が100万円未満の場合   その全額
  •   イ 債務の額が100万円以上500万円未満の場合   100万円
  •   ウ 債務の額が500万円以上1500万円未満の場合  その額の5分の1
  •   エ 債務の額が1500万円以上3000万円未満の場合   300万円
  •   オ 債務の額が3000万円以上5000万円以下の場合   その額の10分の1
給与所得者等再生について
Q1 給与所得者等再生手続とはどのような人が利用できる制度ですか?
  • 給与所得者等再生手続の要件は以下のとおりです(民事再生法第239条)。
  •   ア 個人の債務者であること
  •   イ 破産の原因(支払不能等)の生じるおそれがあること
  •   ウ 再生債権の総額(住宅ローン債権・別除権の行使によって弁済が見込まれる債権を除く)が5000万円を超えないこと
  •   エ 将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること
    (以上ア~エは小規模個人再生手続と同じです。)
  •   オ 給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、年収の変動の幅が小さいと認められること
  •   カ 過去7年以内に以下の事由がないこと
  • ⅰ 破産手続での免責許可決定
  • ⅰ ハードシップ免責
  • ⅲ 給与所得者等再生手続の再生計画の遂行
  •  なお、小規模個人再生手続とは異なり、再生計画案については債権者の意見を聴くのみで、同意までは必要ありません(民事再生法第240条)。
  • Q2 給与所得者等再生手続を利用した場合、どのくらい借金額を減額してもらうことができるのですか?
    • 個人再生はある程度の金額を債権者に弁済していくことが前提ですので、破産した場合に債権者に配当される額よりも多くの額を債権者に支払うことが必要とされています(「清算価値保障要件」)。また、最低でも債権者に弁済すべき金額が、以下のとおり定められています(民事再生法第241条)。
    •   ア 債務の額が100万円未満の場合  その全額
    •   イ 債務の額が100万円以上500万円未満の場合  100万円
    •   ウ 債務の額が500万円以上1500万円未満の場合  その額の5分の1
    •   エ 債務の額が1500万円以上3000万円未満の場合  300万円
    •   オ 債務の額が3000万円以上5000万円以下の場合  その額の10分の1
    • 以上については、小規模個人再生手続と同じですが、給与所得者等再生手続の場合は、これに加えて、弁済すべき金額が、「1年間当たりの手取収入額」から「最低限度の生活を維持するために必要な1年分の費用」を控除した額の2倍以上であることが必要です(「可処分所得要件」)。なお、「1年間当たりの手取収入額」は、直近2年分の収入から所得税、住民税、社会保険料を控除した額を2で割った額のことを言います。
    Q3 私は銀行等から約800万円の借金があります。サラリーマンをしており継続的な収入はあるのですが、不況で給料が減額され、800万円の借金を返すことは難しくなってしまいました。自宅を手放したくないため、破産ではなく個人再生をしたいと考えていますが、小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらの手続きを利用した方がいいのでしょうか?
    小規模個人再生の場合、債権者の同意が必要ですが、給与所得者等再生の場合には債権者の同意は必要ありません。一方、給与所得者等再生の場合、小規模個人再生の場合にプラスして「可処分所得要件」があるため、弁済しなければならない金額は、基本的に小規模個人再生の場合に比べて大きくなります。一般的に、債権者は、破産されてしまうよりは一部でも弁済してもらえる方がよいと考えるので、個人再生に同意しないということは少ないようです。ですから、同意しないと予想されるような大口債権者がいるような場合でない限り、弁済額が少なくて済む小規模個人再生を利用する方がよいでしょう。
    Q4 個人再生を利用して借金を減額してもらえるとしても、それをどのくらいの期間で弁済しなければならないのですか?
    弁済期間は、原則として、再生計画認可決定の確定日から3年間です(民事再生法第229条2項、244条)。ただし、特別の事情がある時は、3年以上5年以内で定めることもできます。また、弁済期間中、3か月に1回以上の割合で弁済をしなければなりません。
    住宅ローン特則について
    Q1 私は10年前にローンを組んで家を購入し、現在も毎月返済をしています。ローンは残り20年あります。この度、給料が減って借金を返済できなくなり、破産か個人再生をせざるを得ないと考えているのですが、家は手放さなければなりませんか?
    破産の場合、原則として、家は手放さざるを得ません。一方、個人再生の場合は、「住宅資金貸付債権に関する特則」(住宅ローン特則)(民事再生法196条以下)という制度があり、条件を満たせば、ローンの残った住宅を保持しながら、個人再生の手続きを進めることができます。
    Q2 どのような場合に住宅ローン特則を利用できますか?
    • 主として、以下の要件を満たすことが必要です(民事再生法196条、198条)。
    • ① 個人である再生債務者が所有し,債務者の居住の用に供する建物であり、専ら自己の居住の用に供される部分が床面積の2分の1以上であること。
    • ② 住宅の建設・購入・改良に必要な資金の貸付によって生じた債権であり、分割支払いの定めがあり、当該債権又は保証会社の求償債権を被担保債権とする抵当権が設定されていること。
    • ③ 住宅に別の担保権が設定されていないこと。
    • ④ 保証会社が代位弁済等をしている場合、保証債務履行後6か月を経過していないこと。
    Q3 私は建物の1階を店舗として、2階・3階を住居として利用しています。このような場合も住宅ローン特則を利用することはできますか?
    店舗や事務所と併用している建物であっても、建物全体の床面積の2分の1以上に相当する部分が、専ら債務者自身(同居人を含む)の居住のために使用されていれば要件を満たします。
    Q4 住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローンの額が減額されるのですか?
    原則として、住宅ローンの総債務額は減額されません。住宅ローン特則の内容は以下のとおりです。
    ① 期限の利益回復型(民事再生法199条1項)――原則
    分割払いに支払いが滞ったために喪失してしまった期限の利益を回復させるものです。まだ弁済期が到来していない分は、当初の住宅ローンの約定どおりに支払い、すでに返済が滞ってしまっている元本や利息・遅延損害金を、再生計画で定める返済期間(原則3年、例外5年)内に分割して返済することになります。返済額そのものは変わりません。
    ② 弁済期間延長型(民事再生法199条2項)――例外1
    ①による返済の見込みがない場合に、住宅ローンの返済期間を、当初の返済期間よりも最長で10年間延長しようというものです。結果的に、各弁済期に支払う額は当初の約定の額よりも少なくなります。ただし、返済期間延長後の完済時の債務者の年齢は、70歳以下でなければなりません。
    ③ 元本猶予型(民事再生法199条3項)――例外2
    ②による返済の見込みもない場合に、弁済期間の延長に加えて、再生計画中は元本部分の返済を一部猶予しようというものです。すなわち、まず、②と同様に、住宅ローンの最終弁済期を最長で10年間延長してもらい(完済時の債務者の年齢は70歳未満)、再生計画中(原則3年、例外5年)は、利息の返済の他に、元本部分の返済を一部猶予してもらいます。
    ④ 同意型(民事再生法199条4項)――例外3
    債権者の同意を得ることができれば、元本や利息の一部カット、遅延損害金の免除、70歳を超えての最終弁済期の延長などを内容とすることもできます。
    Q5 私は住宅ローンを組んで5年目に住宅ローンの借換えを行ったのですが、そのような場合でも住宅ローン特則を利用することはできますか?
    借換えを行った場合でも住宅ローン特則を利用することはできます。ただし、従前の住宅ローンとの同一性に関する疎明資料の提出が必要となる場合があります。
    Q6 既に抵当権が実行されて競売手続が進行している場合でも、住宅ローン特則を利用することはできますか?
    できる可能性があります。ただし、競売手続がさらに進行して住宅が他人の手に渡ってしまうと、住宅ローン特則を利用して住宅を保持することはもはやできなくなってしまいます。そこで、早急に抵当権実行手続の中止命令を裁判所に求めることが必要です(民事再生法197条)。

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