中小企業再生のために、新しい特定調停制度の運用が始まりました

中小企業再生のために、新しい特定調停制度の運用が始まりました

2014/06/13

中小企業再生のために、新しい特定調停制度の運用が始まりました。

特定調停とは、支払不能のおそれ等がある債務者が、債権者に対して、債務の条件変更等を求めて簡易裁判所に調停を申し立てる手続で、以前から存在する債務を整理する制度の1つです。
今までは、個人のクレジット債務の処理に利用されることが多く、中小企業に利用されることがあまりありませんでした。
今回、2013年5月の中小企業円滑化法の終了に伴い、中小企業の経営危機が深刻化することが予想されたため、これに対する対策を、金融庁、中小企業庁、最高裁判所、日本弁護士連合会が協議をしました。
その結果、以前から存在する特定調停制度の運用を見直し、中小企業の再生を図る制度として活用することとなりました。
そして、2014年2月以降から新しい特定調停制度の運用を開始することが決定され、金融庁から各金融機関に対して通知がなされています。
今回新たに決定された運用では、①年商20億円以下、負債10億円以下の中小企業を対象とし、②申立前に弁護士をはじめとする専門家がデューデリジェンスを実施するなどして経営改善計画を策定し、③申立前に金融機関と十分に協議を実施した上で、特定調停申立てを行うことになっています。

特定調停には、もともと㋐民事再生手続等の法的整理とは異なり、金融機関のみを対象とすることで一般の取引先に経営危機を知られずに債務の整理をすることができる、㋑手続費用が比較的安価である、㋒債権者と合意が成立しない場合であっても、裁判所が認めた調停条項を示す決定を出すことが可能であり、2週間以内に異議が出されなければ裁判上の和解と同一の効力が生じる、というメリットがありました。
また、今回の運用変更により、債務者には、㋓信用保証協会の求償権を債務免除の対象とすることができる(予定)、㋔一定の要件を満たした場合債務免除について債権者の損金処理が可能となることにより債権者の同意が得られやすくなる、といったメリットが加わりました。

今回の運用変更により、利益が出ているものの金融機関からの借入の返済が原因で自力で経営再建が困難な状態にある中小企業等にとって、新たな債務整理の方法が利用可能となったと言えます。

まだ新しい運用が開始されて間もないため、本格的な運用はこれからとなりますが、この制度の利用をご検討の方は当事務所までお気軽にご相談ください。

文責
鴻和法律事務所 事業再生・倒産専門部

 

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