成年後見・財産管理

成年後見・財産管理

取扱分野

  • ・高齢者の資産確認・資産整理
  • ・弁護士による財産管理・財産管理の補助・財産管理体制の構築
  • ・成年後見・保佐・補助開始審判の申立て
  • ・成年後見人等の業務
  • ・任意後見契約の作成・締結
  • ・高齢者の財産管理に問題が生じている場合の対応・法的措置

高齢化が進む現代社会では、高齢者の財産管理を巡る問題が増加しています。
特に最近は、親の財産を事実上管理していた子どもが、親の財産を勝手に使った等の理由から兄弟間で紛争になるケースも増え、ご本人が亡くなる前から遺産分割の前倒しのような紛争状態になることも多いです。

そのような紛争を避けるためにも、入院等でご本人による財産管理が難しくなる場合に備えて、誰がどのような形で財産を管理していくのかを取り決めておくことは非常に重要ですし、その前提として財産関係をきちんと整理しておく必要があります。
弁護士にご相談いただければ、資産額や資産の内容、親族間の対立が予想されるかどうかなどの観点から整理・検討し、今後どのような管理をしていくべきか(弁護士による管理か、親族による管理か、成年後見等の制度を利用すべきか否か等)についてアドバイスするとともに、必要があれば財産管理契約等を締結したり、成年後見開始審判等の申立てを行っていきます。

また、すでに財産管理に問題が生じてしまっているケースであれば、すみやかに成年後見開始の申立てをするなどして、被害拡大を防止するとともに、すでに生じてしまった被害回復を図っていく必要があります。
弁護士にご相談いただければ、親族による横領その他の問題があるか否か、どのように対応すべきかアドバイスするとともに、必要があれば事実関係の調査や成年後見開始審判等の申立て、保全処分の申立てなどを行っていきます。
一人で悩まずに、早めに弁護士に相談されることをおすすめします。

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成年後見・財産管理のQ&A

成年後見制度
Q1 成年後見制度による財産管理とは?
高齢者が認知症などによる精神上の障害が理由で判断能力が不十分な場合、本人の意思を尊重しつつ適正に財産を管理・処分し、本人を保護する必要があります。
そのための制度が成年後見制度であり、大きく分けると法定後見制度と任意後見制度の二つがありますが、法定後見制度においては、家庭裁判所が本人の判断能力の常況等を審理し、本人の判断能力の程度に応じて、成年後見、保佐、補助のいずれかの開始を決定します(この決定を「審判」といいます。)。成年後見が開始された場合、以後、家庭裁判所が選任した成年後見人が、本人に代わって本人の財産を管理・処分することになり、成年後見人の職務内容を家庭裁判所に報告します。
Q2 成年後見人は何をするのでしょうか?
成年後見人に選任されたら、①すみやかに本人の資産や収入等を調査し、②本人のために財産管理計画を立てなければなりません。③「財産目録」及び「収支予定表」を作成し、④その内容を裏付ける資料(預金通帳の写し等)と一緒に、1か月以内に家庭裁判所に提出しなければなりません。
また、本人の財産状況や生活状況等に大きな変動があった場合には、家庭裁判所に自主的に報告する必要がありますし、家庭裁判所から報告を求められた際にも本人の財産管理状況について、書面を作成して報告する必要があります。
成年後見、保佐、補助のいずれが開始されるかによって異なりますが、成年後見であれば、成年後見人には広範な代理権と取消権が与えられていますので、本人の意思を尊重しつつ権限を適切に行使し、本人を援助することになります。
Q3 成年後見人、保佐人、補助人には誰がなるのでしょうか?
特別な資格は必要ありませんが、法律で定められた欠格事由(未成年者、破産者等)に該当せず、適正な後見等事務を行うことができることが必要です。
家庭裁判所が本人の心身の状態や生活状況、財産状況、候補者の職業・経歴、申立書に記載された候補者と本人との利害関係の有無、本人の意向等を踏まえ、総合的に判断します。
親族間で本人の財産管理等の方針をめぐり意見が激しく対立している場合には弁護士等の専門家が選任されることもあります。
Q4 申立てには何が必要でしょうか?
庭裁判所への申立てに当たっては、本人の戸籍謄本や住民票、成年後見用の診断書、本人の財産に関する資料(預金通帳や不動産登記簿謄本など)等の書類を集める必要があります。
Q5 申立てから成年後見人等が決まるまでの期間はどのくらいでしょうか?
事案の内容によって異なりますが、期間は1~3か月程度が目安です。
任意後見
Q1 任意後見という言葉をよく耳にしますが、どのような制度なのでしょうか?
認知症の高齢者が増えるにしたがって、今は元気でも、将来自分が認知症にかかったときにどうすればよいのか、不安を抱える方が増えてきました。
認知症により判断能力が不十分になると、自分で自分の財産管理ができなくなり、また医療や介護の契約を結ぶこともできなくなってしまいます。
そこで、自分が元気なうちに、将来自分の判断能力が不十分になったときに備えて、自分の信頼できる人を任意後見人にして、将来判断能力が不十分になったときに、自分の財産管理や必要な契約などをしてもらおうというのが「任意後見制度」です。
Q2 任意後見人はどのようなことを行うのですか?
まず、「財産の管理」を行います。預貯金や年金の管理から、税金や公共料金の支払いなど必要な財産の管理を行っていくことになります。
また、「介護や生活に必要な事務」も行います。要介護認定の申請のための手続や介護のための契約締結、入院の手続、生活費を届けたり送金したりするなど様々なことを行っていきます。
Q3 任意後見契約は、私が選んだ人と自分で契約書を交わせばできるのでしょうか?
いいえ。任意後見契約は、法律で「公正証書」で行わなければならないことになっています。公証役場に行って、公証人とともに自分の意思をしっかりと確認してから、法律的に有効な内容になるようにチェックして公正証書を作らなければなりません。
高齢者の財産管理

1 高齢者に判断能力がない場合の財産管理について

Q1 私には高齢の母がおり、3年前に認知症の診断を受け、現在は施設で生活しています。母は認知症により自身で財産を管理することができず、施設に入所した後は私の兄が預貯金や現金の管理をしています。しかし、兄には多額の借金があり、兄が適切に母の財産を管理できているのか不安であり、兄に通帳の開示を求めても開示してくれません。母の財産を適切に管理するためにはどのような方法をとればよいでしょうか?
お母様の判断能力に問題がある場合には、成年後見制度を利用し、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらうことが最善です。
お母様の判断能力の程度に応じて、成年後見人ではなく保佐人や補助人が選任されることもありますが、いずれにしても、家庭裁判所の監督下で成年後見人等がお母様の財産管理を適切に管理することになるため、財産の散逸を防ぐことができます。
詳しくは「成年後見人」のQ&Aをご参照ください。

2 高齢者に判断能力がある場合の財産管理について

Q1 私には高齢の母がおり、母の預貯金は兄が管理しています。ところが、最近、兄が、預かっている預金通帳からATMを利用してお金を引き出し、自分の借金返済に利用していることが判明しました。兄から母に、お金を返済させるにはどのような方法をとればよいでしょうか?
なお、母は高齢ですが、まだしっかりとしており、自分の財産を自分で管理することも可能です。
お母様の判断能力に問題がなければ、お兄様への返済請求等の手続きはお母様自身が行うことが必要で、ご家族が代わり返還を請求することはできません。
まずは、お兄様に請求する金額を特定するため、お兄様が管理している金融機関での取引履歴を確認する必要があります。通帳が確保できない場合には、金融機関で取引履歴がわかる資料を発行してもらうことになります。取引履歴から判明した出金履歴のうち、お兄様が自分のために消費した金額が特定できる場合には、その金額が請求金額となります。お兄様のために消費した金額が特定できない場合には、わかる範囲でお母様のために消費された金額を差し引き、お兄様に差し引き後の金額を請求する方法、又は、お兄様に対して出金された金額の使途を明らかにするよう求める方法等が考えられます。
なお、この場合、お母様のお兄様に対する請求権は、不当利得返還請求権又は不法行為に基づく損害賠償請求権に該当します。このうち、不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害及び加害者を知ったときから3年で消滅時効、又は不法行為の時から20年で除斥期間にかかってしまいます。また、不当利得返還請求権の消滅時効は10年とされていますので、お兄様が預金を引き出した時期やお母様がそれらの事実に気づいていた時期によっては、全額の回収ができない可能性もあります。
また、被害の拡大を防ぐため、お母様の預金通帳、キャッシュカード等をお兄様が保管し続けている場合には、これらの再発行等の手続きを取ることも必要になります。
Q2 私には高齢の母がおり、母の預貯金は兄が管理していましたが、兄による使い込みが判明しました。母はまだしっかりしていて、自分でも財産を管理することができる状態であるため、私から母に、兄に対して返還請求するように勧めましたが、母は兄には世話になっているので返還請求するつもりはないと言っています。結果として、兄ばかりがお金をもらう形になっており、私としてはとても不公平だと感じています。このような場合にはどのような対策をとればよいのでしょうか?
解決方法の例として、以下のようなものが考えられます。
兄が費消した額を考慮した遺言書を作成してもらうという方法があります。
この際に、遺言書の内容だけでみると、兄の遺留分を侵害しているように見える場合には、遺言書の付記事項に、兄が生前に使い込んでしまっているためにこのような内容になっていることを書くことで、後の紛争を防止することがきます。遺言書を作成する前に、専門家に相談することをお勧めします。

3 相続が発生した場合について

Q1 先日、私の母が亡くなりました。母は晩年、寝たきりの生活を送っており、私の兄が預貯金等の母の財産を管理していました。母の死亡後、相続人である私と兄と弟の三人で母の遺産分割協議を行おうと思いましたが、母の預貯金の残高がほとんどないことが判明しました。仮に、兄が母名義の預貯金から勝手に引き出して使い込んでいるとすれば、今回の遺産分割においてきちんと清算すべきであると思いますが、どのような方法があるでしょうか?
まず、お母様名義の預貯金の取引履歴の開示を受け、晩年の預貯金の動きを調査する必要があります。
仮に、不自然な多額な払戻しがなされお兄様が取得している場合には、それがお母様のお兄様に対する生前の贈与であるのか、お兄様がお母様に無断で引き出したかによって取扱いが異なってきます。
生前贈与の場合には、一定の場合には相続分の前渡しと評価して、遺産分割の中で考慮することができます。
他方、お兄様がお母様に無断で引き出した場合には、法律上、お母様のお兄様に対する不当利得返還請求権ないし不法行為に基づく損害賠償請求権を相続人3名が3分の1ずつ相続したとして、お兄様に対して返還を求めることができます。
いずれにしても、お母様の生前の状況や財産管理状況等を調査した上で、方針を決めることになります。

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